火災が発生したことのある不動産を売却するケースについて
火災が発生したことのある不動産を売却したい場合、“火災が発生したことがある”という事実は、買い手に伝えなくてはならないでしょうか?
また火災が発生したことのある不動産の売却価格は、一体どれくらいになるのでしょうか?
今回は、これらの事柄について徹底的に解説します。
“火災が発生したことがある”という事実は伝えるべきなのか?
結論から言うと、火災が発生したことのある不動産を売却する場合、火災発生の事実は伝えなければいけません。
なぜかと言うと、不動産仲介業者が買い手に対して行う“重要事項説明”において、告知が義務付けられる項目の中に、“火災が発生したことがある”という事実が含まれているためです。
これは“心理的瑕疵”と言って、その事実を知ることで、買い手が不動産の購入をキャンセルする可能性があるとされる欠陥は、必ず伝えなければいけないのです。
したがって、火災が発生したことのある不動産を売却したい方は、その事実を隠して不動産を売却することはできません。
ちなみに、“火災が発生したことがある”という事実以外にも、以下のようなことが心理的瑕疵に該当します。
- 自殺が行われたことがある
- 殺人が行われたことがある
- 事故、事件によって人が亡くなったことがある
- 近隣で事故、事件、火災が発生したことがある
- 近くに嫌悪感のある施設がある
- 近くに反社会勢力の事務所などがある
“嫌悪感のある施設”には、廃棄物処理場や下水処理場、火葬場や刑務所、原子力関連施設などが該当します。
何年前に発生した火災まで伝えるべきなのか?
例えば、去年、一昨年に発生した火災であれば、伝えるべきだと言われても頷けます。
ただ数十年前に火災が発生した不動産を売却する場合でも、買い手には火災発生の事実を伝えなければいけないのでしょうか?
実は、“○年前の火災までは伝えなければいけない”というような、明確なルールは存在しません。
ただ後々のトラブルを回避するためには、たとえ大昔に発生した火災でも、買い手に伝えておくべきです。
また数十年前に発生した火災でも、周辺の住宅を巻き込んで発生した大規模な火災である場合、死者が出ている場合は、必ず伝えるようにしましょう。
建物や土地の欠陥についても伝えるべき
“火災が発生したことがある”という事実は、“心理的瑕疵”に該当するという話をしました。
また火災が発生したことのある不動産には、心理的瑕疵だけでなく、“物理的瑕疵”がある場合もあります。
これは、火災が発生したことによって、建物や土地に生じる欠陥のことを指します。
例えば、火災によって建物の一部が欠損している場合などは、その事実を必ず買い手に伝えなければいけません。
火災が発生したことのある不動産の売却価格はどうなるのか?
火災が発生したことのある不動産を売却したい方は、売却価格にどのような影響が出るのか気になると思います。
一般的に、火災が発生したことのある不動産は、通常の不動産よりも20~30%程度、売却価格が低くなると言われています。
つまり、2,000万円で売却できるはずの不動産でも、火災発生の過去がある場合、1,400~1,600万円の売却価格になるということです。
ちなみにこれは、火災が発生したことのある不動産だけでなく、いわゆる事故物件と呼ばれるすべての不動産に言えることです。
また、最初からあまり買い手候補が多くない地方で売却する場合は、通常の不動産の半額程度でしか売却できないこともあります。
まとめ
火災が発生したことのある不動産を売却するケースについて、さまざまな角度から解説しました。
火災発生の事実は必ず買い手に伝えるべきであり、事実を伝えたからと言って、決して有利な条件で売却できるわけではありません。
ただ事実を隠して売却すると、後々裁判にまで発展する可能性もあるため、売却価格が低くなることは受け入れて、買い手を探すのが賢明だと言えます。