不動産売買・投資

不動産の個人取引をおすすめできない理由について

一般的な不動産売買では、売主と買主の間に不動産会社が入ります。
いわゆる“仲介取引”です。
また、不動産売買は、不動産会社を介さず売主と買主だけで行うことも可能ですが、こちらはハッキリ言っておすすめできません。
今回は、“個人取引”の概要やメリットに触れながら、おすすめできない理由を解説します。

個人取引の概要

冒頭で触れたように、不動産会社を間に挟まず、売主と買主だけで不動産売買を進めていくことを個人取引といいます。
基本的には親子間や兄弟間など、身内同士の不動産売買において行われるケースが多いです。
また、取引相手がすでに決定しているときにも、個人取引が行われる場合があります。
具体的には、以下のようなケースです。

・すぐ隣の土地に住んでいる方に売却するケース
・以前から土地を貸している借主に売却するケース
・借地人に底地を売却するケース など

ちなみに、近年はマッチングサイトなどを利用して売主または買主を探し、相手が見つかったら個人取引を行うという方もいるようです。

個人取引のメリットについて

では、不動産の個人取引には、一体どのようなメリットがあるのでしょうか?

仲介手数料がかからない

個人取引の場合、間に不動産会社が入らないため、当然仲介手数料はかかりません。
仲介取引では、最大で売買価格の3%の仲介手数料が数百万円単位で発生することも考えられますが、個人取引ではこのような心配とは無縁です。
実際、個人取引を行う方の中には、実際「仲介手数料を払いたくない」と考える方も多くいます。

自由に取引できる

不動産の仲介取引では、さまざまなルールを守らなければいけません。
例えば、専任媒介契約を結ぶ場合、他の不動産会社には売却依頼ができなくなりますし、専属専任媒介契約であれば、さらに制約は多くなります。
一方、個人取引は売主と買主でルールを取り決めるため、比較的自由な取引が実現できます。

個人取引をおすすめできない理由について

不動産の個人取引には、いくつかのメリットがあることを解説しましたが、決しておすすめはできません。
なぜなら、デメリットをカバーできるほどのメリットがないからです。
具体的な個人取引のデメリットには、以下のようなことが挙げられます。

トラブルが起こりやすい

不動産の個人取引における1番のデメリットは、なんといってもトラブルが起こりやすいことです。
一般的な仲介取引において必要不可欠な不動産会社は、いわば不動産のプロフェッショナルです。
そのため、これまで積み上げてきた経験と知識を駆使して、トラブルの少ない不動産売買をサポートしてくれます。
一方、個人取引における買主と売主は、不動産のプロフェッショナルではありません。
また、ある程度知識を持っているとしても、不動産会社には敵わないため、どうしてもトラブルが起こりやすくなってしまうのです。
特に、売買価格や契約書の内容、瑕疵などに関する揉め事は起こりやすく、これらのトラブルを事前に防ぐのも非常に難しいでしょう。

住宅ローンを利用できない場合がある

不動産売買における買主は、基本的に住宅ローンを利用します。
しかし、個人取引の場合、住宅ローンが利用できないことも考えられます。
なぜなら、個人取引において交わされた売買契約書は、不動産会社と交わされるものに比べて信頼性が低いからです。
つまり、「ちゃんとした取引なのか?」と疑われて、金融機関に融資を拒否される可能性があるということです。
また、住宅ローンを利用する際、買主は重要事項説明書を提出しなければいけないこともあります。
ただし、こちらの書類は瑕疵の有無を判断し、物件を評価する上でとても重要な書類のため、宅地建物取引士の記名・押印がなければ、正式な書類として扱われないことがあります。

契約書の作成が大変

個人取引の場合、仲介取引と違って“必ず売買契約書を作成しなければいけない”というルールがありません。
つまり、口約束だけで不動産売買をしても構わないということです。
ただし、数千万あるいは数億という単位の金銭が動く取引において、売買契約書を作成しないのはリスクが高すぎます。
ただでさえトラブルが多い個人取引において、売買契約書が存在しないとなれば、「言った」「言わない」の押し問答が起こることは避けられません。
また、だからといって個人で売買契約書を作成するのも、それはそれで決して簡単なことではありません。
特に、不動産に関する知識に乏しい売主や買主が売買契約書を作成した場合、まず間違いなく見落としや誤表記などが出てきます。
もちろん、作成が難しいだけでなく、作り方を理解しながら作成するのには、単純に膨大な時間がかかります。

まとめ

たとえ親族間の不動産売買であろうと、すでに相手が決まっている取引であろうと、個人取引をするのは非常に危険です。
そのため、「不動産会社に依頼するのが面倒臭い」「仲介手数料を払いたくない」といった理由で個人取引を選ぼうとしている方は、一度考えを改めましょう。
個人取引をする方が、後々面倒になったり、金銭面で損をしたりする可能性は格段に高くなります。

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