不動産売買・投資

借地権売却の方法と税金

借地権は、借地借家法で定められている、建物を建てるために第三者から土地を借りる権利です。
また、こちらは土地の所有者である地主さんがいて初めて成立するものですが、借地権者の方でも地主さんの許可さえあれば、借地権を売却できます。
今回は、借地権売却の方法、売却時に課される税金について解説したいと思います。

借地権の主な売却方法4選

借地権の売却方法には、主に以下の4つが挙げられます。

・地主に売却する
・第三者に売却する
・買い取り業者に売却する
・等価交換

地主に売却する

借地権のもっともポピュラーな売却方法としては、地主さんに売却する、つまり買い取ってもらうという方法が挙げられます。
地主さんに借地権を売却した時点で、借地権は消滅します。
ただし、こちらの方法では、地主さんが借地権の譲渡価格、売却に納得しない限り話が進まないため、交渉が難航するケースも度々見られます。

第三者に売却する

借地権の売却方法としては、地主さん以外の第三者に売却するという方法もあります。
こちらは、売却相手が誰なのかに関係なく、必ず地主さんの許可が必要です。
また、地主さんの承諾を得るためには、譲渡承諾料という金銭を支払うのが慣習とされています。
こちらは、法律で定められているものではありませんが、借地権を第三者に売却する場合に、借地権価格の10%程度を地主さんに対して支払うというものです。

買い取り業者に売却する

買い取り業者への売却も、借地権における売却方法の一つです。
買い取り業者に売却するメリットは、業者によっては現況のまま買い取ってもらえる可能性があるということです。
本来であれば、売却時には借地権者の方が費用を負担し、建物の解体などを行わなければいけませんが、買い取り業者はこれらの費用を負担してくれます。
また、建物の解体後、建物の敷地内から埋設物が出てきた場合や、測量に伴う隣地の所有者への依頼など、トラブルや面倒な手続きへの対応についても、すべて買い取り業者に任せることができます。
ただし、こちらの方法を選択する際も、当然地主さんの許可は取らなければいけません。

等価交換

等価交換とは、価値の等しいものを交換することをいいます。
具体的には、建物と、地主さんの持っている底地権を同等なだけ交換し、それぞれが所有権を得ている状態にしてから、借地権者の方と地主さんで同時に売却するというものです。
底地権とは、借地権が設定されている土地の所有権のことをいいます。
例えば、交換前は借地権者の建物価格1,000万円、地主さんの土地価格1,000万円だったとした場合、半分の面積を交換することにより、借地権者の方は土地と建物の所有権を50%、地主さんも土地と建物の所有権を50%とするものです。
この場合、借地権者の方は、50%に値する不動産を売却することができます。

借地権の売却時に課される税金について

借地権の売却時には、建物の解体費用や譲渡承諾料といった金銭が必要になることがあります。
また、以下のような税金が課される可能性もあります。

・譲渡所得税
・登録免許税
・印紙税

譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産の売却時に得た利益にかかる税金のことです。
具体的には、借地権を譲渡した時に譲渡所得が発生した場合に、所得税と住民税が課税されます。
譲渡所得は、不動産の売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

・譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)

取得費とは、不動産の購入価格に仲介手数料などの諸費用を加えたものから、建物の減価償却費用を差し引いた金額をいいます。
また、借地権の場合、取得費には借地契約料や更新料、増改築の承諾料などが含まれますが、毎月支払う地代は含まれません。
ちなみに、譲渡所得税は所有期間によって短期譲渡所得・長期譲渡所得の区分があり、それぞれ税率が異なります。

登録免許税

登録免許税とは、登記簿に登記するときにかかる税金のことをいいます。
不動産を所有したときや手放したとき、抵当権を抹消したりするときには登記簿に登記します。
登録免許税を納めるには、現金で納付し、登記申請書にその領収証書を貼付して法務局に提出するのが一般的です。
しかし、納付金額が30,000円以下だった場合は、収入印紙を購入して申請書に貼り付けます。

印紙税

印紙税とは、売買契約書にかかる税金のことをいいます。
借地権などの売買契約書のみならず、証書や受取書のような書類を作成するときには税金を納める必要があり、こちらを印紙税といいます。
また、印紙税の納め方は、収入印紙を購入し、課税対象となる文書に貼り付けます。
そして、その収入印紙に消印を押したら、納付は完了です。
他の税金のように、支払っているという感覚は少ないです。

まとめ

ここまで、借地権の主な売却方法や、売却時に課される税金などについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
借地権の売却は、借地権者と地主さん両方の意見を採り入れ、お互いが納得する形で行われるものです。
また、売却に伴い、さまざまな税金が発生することや、これらの税金のおおよその金額などについては、売却前にある程度把握しておくべきです。

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