不動産売買・投資

借地権売却の注意点

建物を所有する目的で土地を借りる権利である借地権は、不動産上の財産として認められているため、自身の土地ではないものの、売却することが可能です。
しかし、こちらは通常の土地や建物の売却とは違った特徴を持っているため、売却時には注意すべき点が数多くあります。
今回はこちらの内容について解説します。

売却には地主さんの承諾が必要

借地権は、借地権者の方が保有する土地ではないものの、権利であるため売却することができます。
ただし、借地権の売却時は、原則地主さんの許可を取り、承諾してもらわなければいけません。
そのため、地主さんが売却を拒否する場合は、売却できないということになります。
ちなみに、借地権のほとんどは賃借権に該当しますが、こちらが地上権である場合は承諾が不要になります。

地主さんが売却を承諾してくれない場合はどうする?

地主さんが借地権の売却を許可してくれないものの、どうしても売却したいという場合は、裁判所に申立てをするという方法があります。
こちらは、借地非訟というものであり、うまくいけば、地主さんに代わって裁判所が借地権の売却を承諾してくれます。
しかし、借地非訟を行うためには、弁護士費用が必要です。
また、訴訟を起こしていることから、地主さんとの関係は悪化しやすいですし、裁判によって借地権売却の許可を得られるようになったとしても、それまでには8ヶ月ほどの期間がかかってしまいます。
このように、借地非訟には費用面、人間関係、時間の面でデメリットがあるため、あくまで最終手段として利用することを検討しましょう。

譲渡承諾料について

地主さんが売却を承諾してくれた場合は、スムーズに売却に移ることができますが、このときには一般的に借地権者の方から地主さんに対し、譲渡承諾料という金銭を支払わなければいけません。
こちらは、承諾の対価として支払うものであり、金額の相場は借地権価格の10%程度です。
法的な根拠はありませんが、一般的な取引慣行として授受されています。
また、譲渡等許可申立によって裁判所から許可を得る場合でも、譲渡承諾料が求められます。
裁判所が指定する譲渡承諾料も、借地権価格の10%程度であることが通常です。

借地権と通常の不動産売却の違い

借地権は、通常の不動産つまり所有権と比べて、第三者に売却しにくいという特徴があります。
所有権の売買は一般的に行われていて、地域ごとに相場が形成されていますが、借地権の売買は活発に取引されているとは言いづらく、購入を考える方は少ないのが実情です。
なお、同じ借地権でも、定期借地権は期限が来れば原則として土地を地主さんに返還する必要がある分、普通借地権より売却しづらくなっています。
また、一般的な不動産会社では、所有権の売買は活発に取引していても、借地権の売買は実績が少ないことが珍しくありません。
もちろん、そのような不動産会社に借地権の売却を相談しにいっても、効果的に売却活動を行うことはできません。
借地権の実績が豊富にある不動産会社が近くにあれば良いですが、借地権の売却を専門に行っている業者もあるため、探してみることをおすすめします。

借地権の相場について

先ほども少し触れましたが、通常の不動産(所有権)の場合、立地や面積などの要素により、地域ごとにある程度の相場が形成されています。
一方、借地権には、これといった相場が存在しません。
こちらは、地主さんとの交渉によって価格が決定するからです。
そのため、たとえ一般的な不動産の相場より高額であっても、地主さんが了承しなければ、売買が成立しないことも十分にあり得ます。
ただし、土地の相続税評価額から、借地権の目安を計算する方法があります。
具体的には、自用地評価額(路線価×地積)に借地権割合(土地の権利のうち、借地権が占める割合)を乗じて算出します。
ちなみに、路線価や借地権割合は、国税庁が運営する路線価図・評価倍率表で確認できます。

借地権のタイプについて

一口に借地権と言っても、古い借地法に基づくものと、1992年以降の新しい借地借家法に基づくものに分かれています。
また、新しい借地借家法においても、普通借地権と定期借地権で取り扱いが異なります。
簡単に言うと、普通借地権は更新があるタイプで、定期借地権は存続期間の満了時には更新せずに地主に土地を返還するタイプです。
さらに、定期借地権には、一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用定期借地権の3種類があります。
つまり、借地権の内容によっては売却する際の価格も異なってくる可能性があるということです。
売却対象の借地権がどのタイプにあたるのかについては、早めに確かめる必要があります。

まとめ

ここまで、借地権売却における注意点をいくつか解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
借地権の売却では、通常の不動産では見られないさまざまな壁にぶつかることがあります。
また、地主さんの要望によっては、そもそも売却すること自体が難しくなることもあり、売却を考えているのであれば、日頃からコミュニケーションを取るなど、関係を良好にしておくことも大切です。

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