固定資産の等価交換における課税について解説します!
固定資産の等価交換とは、土地や建物などの固定資産を同価値で交換することを言います。
固定資産を売却して利益を得ると、譲渡所得税の課税義務が生まれますが、固定資産の等価交換には課税義務が生まれるのでしょうか?
また課税義務が生まれる場合、課税を免れることができる特例はあるのでしょうか?
詳しく解説します。
固定資産の等価交換に課税義務が生まれるケース
固定資産の等価交換をする場合、通常は等価交換の対象となる固定資産の譲渡によって利益を得たとみなされるため、譲渡所得税の課税義務が生まれます。
つまり固定資産を売却して利益を得たときと、同じような扱いになるということです。
ただ固定資産の等価交換は、固定資産の売買とは異なり、金銭のやり取りは行われない場合がほとんどです。
したがって、譲渡所得税の課税義務が生まれても、納税に充てる資金がないというケースに陥ることがあります。
そんなときに利用したいのが、“固定資産の交換の特例”です。
どんな特例なのか詳しく見ていきましょう。
固定資産の交換の特例について
先ほど、固定資産を等価交換する場合、金銭のやり取りが行われていなくても、譲渡によって利益を得たとみなされ、譲渡所得税の課税義務が生まれるという話をしました。
ただ固定資産の交換の特例を利用すれば、固定資産の等価交換は“譲渡がなかった”という扱いになるため、課税を免れることができます。
ではこの特例を利用するために、クリアしなければいけない要件を確認してみましょう。
・等価交換する資産がどちらも固定資産であること
こちらが譲渡する資産、相手から譲渡される資産は、どちらも固定資産でないとこの特例は利用できません。
例えば不動産仲介業者が販売目的で所有している不動産などは、固定資産ではなく“棚卸資産”に該当するため、この特例の対象外となります。
・等価交換する固定資産が同じ種類のものであること
等価交換する固定資産が同じ種類のものでないと、この特例の対象にはなりません。
例えば土地と建物の交換などはNGです。
ちなみに借地権は“土地”として扱われ、建物に付属する設備などは“建物”として扱われるので覚えておきましょう。
つまり、住宅と住宅に付属する設備の等価交換であれば対象になるということです。
・等価交換される固定資産の所有期間がどちらも1年以上であること
等価交換される固定資産は、どちらも1年以上所有しているものでないといけません。
・等価交換された固定資産の用途が交換前と同じであること
等価交換によって得た土地、建物などは、交換前と同じ用途で使用しないといけません。
例えば同じ種類の固定資産を交換しても、交換前に宅地として使用されていた土地を、交換後に山林として使用する場合、この特例の対象にはなりません。
・等価交換される固定資産の時価の差額が、時価の高い方の価額の20%以内であること
参考:国税庁 「土地建物を交換したときの特例」
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/3502.htm
固定資産の交換の特例における注意点
特例の対象となり、固定資産の等価交換における課税を免れることができたとしても、油断してはいけません。
前述の要件をクリアしている場合でも、固定資産の等価交換時に金銭などを受け取ってしまった場合、その金銭などに対して所得税の課税義務が生まれてしまいます。
またこの特例の対象となるには、確定申告の際に定められた事項を記載し、譲渡所得における内訳書を提出しなければいけません。
まとめ
固定資産の等価交換における課税について、さまざまなことを解説してきました。
特例の対象となることができれば、固定資産の等価交換に課税義務が生まれることはありません。
ただ対象になったとしても、確定申告で適切な手続きをしなかった場合、金銭のやり取りが確認された場合は、課税義務が生まれてしまうので十分注意しましょう。
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