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供託は差押命令が出された場合、どうする?

一言で供託と言っても、機能的要素から様々に分類されますが、そのうちの一つ、差押と密接に関わるものがあります。
みなさんはそれが何か、ご存知でしょうか。
そう、執行供託です。
本記事では、供託や差押といった言葉の意味から執行供託の内容まで、分かりやすく解説していきたいと思います。

供託と差押の意味について

まず、供託と差押の意味についてご説明しましょう。
基本的な用語の概念を理解すれば、応用的な話も理解できるようになるものです。
法律関連の用語は簡単ではありませんが、頑張って覚えていきましょうね。

「供託」とは、金銭や有価証券などを供託所に委ね、その後適切な対処をしてもらう事です。
供託所にその財産を預ける事で、「支払った」のと同義になります

供託所は国が管轄しています。
また、供託の機能的な分類は、弁済供託・担保保証供託・執行供託・保管供託・没取供託という、五種類に分けられます。
次章では、この中の執行供託について、より詳しくご説明しますね。

さて、話を戻しましょう。
もう一つの用語「差押」とは、国家権力により、私人の権利を事実上そして法律上の処分を禁止し、確保する事を意味します。

例えば、債務者が法律上決められた支払いをしない場合、どうすればよいでしょうか?
その場合、債務者は、国に債務者の財産を確保してもらう事ができます。
この、国に債務者の財産を確保してもらうというのが、差押にあたるのです。

執行供託と差押について

執行供託が供託の機能的分類の一つである事は、既にお話しました。
後半は、執行供託について、さらに詳しくご説明しましょう。

金銭債権について、裁判所から差押命令の送達を受けると、当該金銭債権の債権者は、その金銭債権に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託する事が出来ます。
これを、執行供託を呼びます。
供託の機能によって、使われるタイミングは様々ですので、他の供託の種類について知りたい方は、法務局のホームページを参照することをお勧めします。

供託と差押が関係するのは、上述した執行供託に関する話がメインとなっています。
差押の対象によって、さらにジャンルが異なるため、個々人のケースに合わせてさらに調べてみる必要がありますね。

不動産も差押の対象になる

土地や建物など、不動産も差押の対象になります。

不動産は、その価値によっては多額の債権を回収できる可能性があるため、債権者にとっては差押の対象として申し分ありません。

ただし、強制競売が行われ、入札や落札によって買受人が決定するまでには、ある程度の時間がかかります。
こちらは、債務者側からすると、買受人に引き渡すまで、その不動産に居住できるということになります。

なお、債権者は不動産に対し、通常抵当権を設定していますが、第一順位の債権者が優先されます。
そのため、順位によっては債権を回収できないこともあります。

不動産が差し押さえられるケース

不動産が差押の対象になるケースは主に以下の通りです。

・住宅ローンの返済が困難になった
・税金の支払いを滞納した
・借金の返済を滞納した

住宅ローンの返済が困難になった

住宅ローンの返済が困難になり、滞納してしまうと、不動産が差し押さえられることがあります。

一般的な流れとしては、1~2ヶ月分の住宅ローンを滞納したとき、金融機関から返済に関する連絡が入ります。
その後、返済せずにいると、金融機関から督促状が届き、今度は一括返済が求められます。

それでも対応しなければ、金融機関が代位弁済を行い、最終的には差押が決定し、裁判所から競売開始決定通知書が届きます。

最初に金融機関から連絡が入ってから、差押が決定するまでには、数ヶ月程度の期間がかかりますが、1ヶ月分でも滞納した時点で金融機関に相談しなければ、問題を解決するのは難しいです。

税金の支払いを滞納した

住宅ローンだけでなく、不動産に関する税金の滞納も、差押を招く原因になります。

こちらの流れとしては、税金の納期限後20日以内に、役所から督促状が送付され、それでも支払わずにいると、役所から電話や文書等で催告が行われます。

その後、役所による財産調査が行われ、不動産の差押という流れになります。

税金の滞納に伴う差押は、法律で認められていることであるため、住宅ローンを滞納したときのように、裁判所の許可等が必要ありません。
そのため、ある日いきなり不動産が差し押さえられるということが起こり得ます。

借金の返済を滞納した

借金の返済を滞納したとき、返済をめぐる手立ては債権者によって異なりますが、不動産の差押を行うための手続きは共通しています。

まず、債権者から差押予告通知が届き、2週間~1ヶ月後には、裁判所から支払督促が届きます。

その後、裁判所から仮執行宣言付支払督促が届き、それでも借金が返済できない場合は、強制執行によって不動産の差押が行われます。

こちらの差押におけるスピード感は、債権者によって変わってきますが、差押予告通知が届いた時点で、差押まではあまり時間がないと考えておくべきです。

その他の供託の種類について

差押と関係のあるのは、供託の種類の一つである執行供託です。
では、その他の供託については、一体どのようなものなのでしょうか?

弁済供託

弁済供託は、債務者が金銭等の支払いを行うにあたり、何らかの事情で支払いが困難、もしくは不可能になったと認められる場合、供託をすることにより、その支払い義務を免れることができるというものです。

例えば、債務者が行方不明になって現実的に支払いができなくなったとしても、それを理由に債務者の支払い義務がなくなるわけではありません。

債務者は、原則支払期に弁済の提供をしなければ、遅延損害金が発生することになるため、こちらの場合は弁済供託の手続きを取ることにより、債権者への支払いを済ませたことにできます。

担保保証供託

担保保証供託は、特定または不特定な相手が被る損害を担保するためになされる供託で、主に以下の2つがあります。

・営業上の保証供託
・裁判上の保証供託

営業上の保証供託は、宅地建物取引業、旅行業等の営業者が、その営業活動によって生じる債務ないしは損害を担保するための供託です。

また、裁判上の保証供託は、将来自己の負担に帰すべき訴訟費用の支払い担保、または訴訟の相手方に生ずるかもしれない損害の賠償を担保するための供託を指しています。

保管供託

保管供託は目的物の散逸(バラバラになる)を防止するために、供託物そのものの保管、保全を目的として行われる供託です。

例えば、銀行や保険会社などの業績が悪化し、資産状態が不良となった場合に、その財産の散逸を避けるため、監督官庁が当該銀行等に財産の供託を命ずる場合の供託がこちらに該当します。

供託された供託物は、供託者である銀行等が破産した場合には、破産管財人により供託物の取り戻しがされて破産財団に組み入れられ、銀行等の債権者への弁済に充てられます。

没収供託

没収供託は、法の目的を実現するために、一定の額の金銭等を供託させ、一定の自由が生じたときには、供託物に対する供託者の所有権を剥奪し、これを国家に帰属させることとする供託です。

例えば、公職選挙法第92条による公職の立候補のためにする供託がありますが、こちらは立候補の濫用防止のため、候補者が一定の得票数に届かなかった場合や、途中で立候補を辞退した場合などに、国または地方公共団体がその供託金を没収することとするものです。

まとめ

供託と差押について、ご理解いただけましたか?
この記事では、まず、供託や差押とは何か解説しました。
そして、供託と差押が関係してくるのは、主に執行供託に関する話であるという事もお話ししました。

法律が関与している内容だけに、情報も多岐に渡りますが、今後、円滑な取引を行うためにもぜひ知っておきましょうね。

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