不動産売買・投資

不動産売買に関する違法行為について解説します

不動産売買を問題なくスムーズに進めるにあたっては、不動産会社選びがとても重要です。
不動産会社選びに失敗すると、なかなか売買が成立しないだけでなく、違法行為やトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。
ここからは、不動産売買に関する主な違法行為について解説します。

おとり広告

おとり広告とは、実際には購入することができない物件であるにもかかわらず、購入することができると誤認するおそれのある広告を出すことをいいます。
架空の物件や売却済みの物件、売主に取引の意思がない物件などの広告は、すべてこちらに該当します。
また、このような広告を出すことは、宅地建物取引業法に違反し、不動産公正取引協議会の不動産の表示に関する公正競争規約、景品表示法などでも禁止されています。
ちなみに、従来おとり広告を理由に不動産会社との間の契約を取り消すことは、難しい側面がありましたが、最高裁判決により、おとり広告に対しても消費者契約法4条が適用される余地が認められたため、広告の内容によっては、契約を取り消すことができます。

囲い込み

囲い込みとは、不動産の売却を依頼された不動産会社が、意図的に他の不動産会社に物件を紹介しない行為のことをいいます。
例えば、別エリアの他社の不動産会社から、「〇〇の物件を購入したい方がいるので、物件を案内させてほしい」という連絡があったとします。
囲い込みを行う不動産会社は、こちらの電話に対し、「すみません、すでに申込が入ってしまいました」と嘘をつき、紹介を断ります。
また、囲い込みが行われるのは、依頼された物件の買い取りを仲介すれば、売買の依頼者双方から仲介手数料を得ることができるからです。
こちらを両手取りといい、囲い込みは依頼主の利益を損なうほか、仲介の倫理に反し、不動産取引市場に対する信頼を妨げることになりかねません。

宅建士以外の重要事項説明

不動産売買において重要な書類である重要事項説明書の作成は、宅建士以外でも行うことができますが、実際に重要事項説明を行うのは、宅建士でなければいけません。
しかし、宅建士の試験合格率は15%と低く、会社に宅建士が少ないことが多いため、不動産会社では、資格を持たない従業員が重要事項説明を行っているケースが度々見られます。
こちらはれっきとした宅建業法違反であり、その従業員本人ではなく、不動産会社としての違反行為に該当します。

抜き行為

抜き行為とは、不動産売買の依頼者である売主や買主と、不動産会社との間に媒介契約が結ばれているにもかかわらず、別の不動産会社が「手数料を安くする」「購入者を紹介する」などと誘い、依頼者と新たに契約を結ぶ行為をいいます。
要するに、契約が決まった他社の顧客にアプローチをかける行為です。
契約者からすれば、二重契約となる場合や、先に依頼した不動産会社との契約を破棄し、後から来た不動産会社との契約を進めることになります。
こちらは、顧客を引き抜く行為となり、業界ではタブーとされています。
ちなみに、抜き行為は法律上の違反とはなりませんが、行った不動産会社は、民事として損害賠償請求や名誉毀損などの対象となる可能性があります。

手付金の貸付

不動産のような高額な商品を購入するときには、買主が先に不動産会社に対し、手付金を支払うのが一般的です。
しかし、不動産会社が業法違反の手付金を受け取っている場合があります。
例えば、物件の見学に訪れた購入希望者に対し、「お気に召したのであれば、手付金を入れていただくことで押さえることができます」とセールスをかけたとします。
これに対し、購入希望者が「今日は持ち合わせがないから無理です」と返答した場合に、「では、とりあえず手付金をお貸しします」と誘います。
こちらは、一見親切な不動産会社のように見えますが、手付金の貸付は宅建業法違反であるため、このような金銭は受け取ってはいけません。

民法より不利な契約不適合責任

購入した不動産が契約内容と一致しない場合、売主は契約不適合責任に基づき、補修や代替物の提供の義務を負います。
従来では、売主が負う責任は瑕疵担保責任として、事前に検知していなかった不具合に対してのみ責任を問われていました。
こちらが2020年4月の民法改正により、契約不適合責任に変更され、より広い範囲の問題に責任を負うように改正されています。
しかし、悪質な不動産会社は、こちらの契約不適合責任から逃れようと、契約書に契約不適合責任を無効とする特約を潜ませることがあります。
このような契約は、買主にとって非常に不利な条件になるため、特約内容は十分に注意して確認しましょう。

まとめ

ここまで、不動産売買に関するさまざまな違法行為について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
初めて不動産売買を行う買主、売主と、不動産売買を生業とする不動産会社とでは、どうしても知識の差が出ます。
そのため、狡猾な手口で騙されたり、違法行為に巻き込まれてしまったりする可能性はありますが、不動産会社選びにじっくり時間をかければ、このようなリスクは軽減されます。

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