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FTXはなぜ破綻したのか?

2022年11月、大手仮想通貨取引所の1つである“FTX”が経営破綻したことが大きな話題になりました。
こちらは、仮想通貨業界でも過去最大規模の経営破綻であり、今後あらゆる影響を及ぼすことが予想されています。
今回は、FTXの概要や破綻の原因、世界に与える影響などについて解説します。

FTXの概要

FTXは、アメリカの大手仮想通貨取引所であり、運営はバハマに本社を置くFTXトレーディングの他、米国内はFTX.USなど各国の規制に即した現地法人が担っていました。
仮想通貨取引所とは、ユーザー同士で仮想通貨の売買取引が行える場所をいい、株式投資でいう証券会社のような立ち位置です。
2019年、後にカリスマ経営者と呼ばれることになるサム・バンクマン=フリード氏が創業し、創業当初から仮想通貨交換業者の地位向上を目指し、国内外の規制当局に規制変更や緩和を要請したり、多彩なコマーシャル活動を展開したりと、順調に認知度を高めていきました。
特にアメリカでは、NBA所属チームであるマイアミ・ヒートの本拠地におけるネーミングライツ契約をしたり、メジャーリーグベースボールの公式暗号通貨ブランドに就任したりと、次々に事業規模を拡大しています。

FTXの経営破綻における原因

創業からこれまで順調に事業規模を拡大していたFTXでしたが、日本時間の2022年11月11日、破産法の適用を申請したことが発表されました。
また、その原因は、いわゆる取り付け騒ぎにより、資金繰りに行き詰ったことだとされています。
きっかけは、暗号資産関連のニュースサイトにより、FTXの財務における健全性が疑問視される報道が行われたことでした。
その後、別の交換業大手である“バイナンス”のCEOが、保有していたFTX発行の資産を清算するとTwitterに投稿し、経営への不安や懸念は拡大します。
さらに、後日そのバイナンスがFTXの買収を検討しましたが、翌日にはすぐ撤回され、不安を拭い切れない投資家によるFTXからの資金引き出しが加速しました。
その結果、とうとうFTXは、連邦破産法第11条の適用をアメリカの裁判所に申請し、経営破綻してしまいます。
ちなみに、今回の経営破綻について、FTXにおけるCEOのバンクマン=フリードは、ニューヨーク・タイムズのインタビューの中で、「事業を急速に拡大しすぎて、経営不安の兆候を察知できなかった」と述べています。

FTX破綻が大きく報道されている理由

FTXの破綻が大々的に報道されている理由としては、やはり莫大な負債総額が予想されることが挙げられます。
FTXが裁判所に提出した資料によると、負債総額は推定で100億~500億ドル、日本円で約1兆4,000億~最大7兆円近くにまで膨らむ見通しです。
債権者は100万人を超えるとも言われていて、その多くはFTXに資金を預けていた投資家とみられます。
また、経営破綻後にCEOを辞職したバンクマン=フリード氏については、資金管理の問題や経営の杜撰さも指摘されていて、アメリカの証券取引委員会などの金融当局も、FTXの調査に乗り出していると伝えられています。

有名アスリートも巻き込んだ民事裁判

2022年11月16日までに、FTXの経営破綻で損害を受けた投資家らが、同社の宣伝に関わった人物に対して賠償責任があるとし、フロリダ州の裁判所に提訴しました。
こちらの民事裁判における請求額は不明ですが、対象となった日本人には、メジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルスで活躍する大谷翔平、グランドスラム通算4勝を誇るプロテニスプレイヤーの大坂なおみといった、有名アスリートも含まれています。
大坂なおみの例では、2022年にFTXの株式を取得し、アンバサダーの報酬を仮想通貨で受け取る契約を結んでいましたが、経営破綻してしまったことにより、こちらの対応も見通しが立たなくなっています。

FTX破綻が世界に与える影響

FTXの経営破綻は、世界中の通貨や仮想通貨業界、金融市場に多大な影響を与えています。
例えば、FTXのネイティブトークンであるFTTは、バイナンスCEOの売却によって一気に売り優勢になり、バイナンスのFTX買収撤回により、さらに下落することになります。
また、もっともメジャーな仮想通貨であるビットコインの価格も、FTX破綻を受け、大きく価格を下げています。
20,000ドル以上で推移していた価格は、一時15,000ドル台にまで落ち込みました。
FTXが破綻する直前の11月5日、ビットコインは7週間ぶりの高値を記録していたばかりであったため、上昇トレンドへの転換を狙った投資家にとっては、思わぬイレギュラーになったものと考えられます。
その他の金融市場では、金(ゴールド)の上昇が顕著です。
仮想通貨は、11月9日前後で大きく価格を下げているのに対し、金の価格は大きく上昇を続けています。
こちらは、実物資産である金が“有事の金”と呼ばれるように、リスクオフの相場において多く買われるという傾向を如実に表しています。

まとめ

ここまで、大手仮想通貨取引所のFTXが破綻してしまった理由を中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
今回の一件については、今後顧客の資産の保全、返還がどのように進むのか、仮想通貨全体の規制の在り方はどうなるのかなど、まだまだ目が離せないポイントがたくさんあります。
また、このような大手企業の経営破綻は、今後も十分起こり得ることだと言えます。

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