土地活用

不動産の売却は、更地と中古住宅付きのどちらが良いのか

実家から離れて暮らしている時に、その実家を相続する事になったとしてもそこに住むという選択肢はとりにくいでしょう。
その場合は、実家を売却するという選択肢を選ぶ人も多いと思いますが、建物は残しておいた方がいいのでしょうか?
それとも更地にしてしまうべきでしょうか?
売却価格と、節税の面から考えてみましょう。

更地にするとどうなる?

実家を手放そうと思ったときに、建物を残すべきか、それとも更地にしてから売却するべきか、悩んでしまう人は多いでしょう。
どちらがいいのか、比較して考えてみましょう。

まず、更地にした場合のメリットとして大きいのは、土地の用途が増えるという点です。
その住宅に住もうと思っていない場合は、何もない土地のほうが解体の手間が省けるため、買いたいと考える人は多くなるでしょう。

例えば、その土地にビルを建てる場合や、コンビニなどを建てる場合などに選ばれやすくなると考えられ、もしくは近隣が更地であれば、大型のスーパーなどの建築予定地に選ばれる可能性もあります。
土地の区分にもよりますが、更地であればより多くの用途に適したものとなるのです。

また、自分で住宅を建てたいと考えている人にとっては、中古住宅がすでに建てられている土地よりも更地を探し、そちらを買おうと考える人がほとんどです。
その場合、更地のほうが買い手を見つけやすくなります。

選ばれやすい理由として、解体するための費用が不要という点はもちろんですが、解体にかかる時間だけ施工期間も短縮できるという点もあります。
整地をする必要はあるかもしれませんが、わざわざ今ある家を壊して新しく家を建てるよりも、何もない状態から建てたほうが早いのは確かでしょう。

ただし、更地にして売却する場合にはいくつか注意しなくてはいけない点があります。
まず、今ある住宅を解体する場合は、必ず解体費用がかかります。
住宅の規模にもよりますが、最低でも数十万円、高ければ100万円を超えることもあり、その費用は自分が支払わなくてはいけなくなります。

地方自治体によっては、空き家の解体費用の補助金が出る場合もあります。
しかし、これは無条件で出るものではなく、適用されるための要件があるので、その要件を満たしているかどうかをまずは確認する必要があります。

土地にかかる固定資産税についても、注意が必要です。
住宅が建てられている土地の場合、その土地にかかる税金を軽減する特例があるのですが、解体してしまうとその特例が適用されなくなってしまうので、税金の面では高くなってしまうでしょう。

住宅を残したままだとどうなる?

更地にして売却した場合のメリットや注意点については、上記のようになります。
それでは、更地にせず中古住宅として、建物もまとめて売却する場合は、どのようなメリットや注意点があるのでしょうか?

まず、中古住宅については、構造などによっても異なるものの一般的には築20年以上の住宅については、その価値がほぼなくなるといわれています。
しかし、最近では作りがしっかりとしている家の場合、多少古くても価値を見出されることがあります。

その理由として、一から住宅を建てるのではなく、手ごろな価格で売られている中古住宅を購入して自分の理想通りになるよう改修する、リノベーションという方法を選ぶ人も増えているからです。
そのため、古いから価値がないとあきらめていた家でも、実は思ったよりも高値で売却できる可能性があるのです。

住宅を残したまま売却するメリットとしては、まずその不動産が売却できるまでの間は負担しなくてはいけないその土地にかかる税金が、住宅用地の特例によって更地よりも安くなるため節税効果があります。

さらに、住宅の売却は要件を満たしている場合に、最大で3000万円の特別控除を受けられる可能性があるのです。
節税効果については、住宅を残しておいた方が高くなる可能性が大きいでしょう。

また、当然ながら解体費用がかかりません。
もしも、その不動産を買いたいという人が見つかったものの、土地だけならいいけれど住宅はいらない、という条件だった場合も、土地の売却代金から解体費用を差し引いてもらうようにすることで、解体費用が自分の持ち出しとなるのを防ぐことができます。

中古住宅の場合、その住宅について売主様は瑕疵担保責任というものを負うことになるので、気づかなかった雨漏りや穴、故障個所などがあった場合はその責任を追及される恐れがあるので、注意しましょう。

ただし、中古住宅の瑕疵担保責任というのはその期間が短く設定されていることが多いので、通常は1か月から3か月程度で瑕疵が見つからなければ、その責任を問われることはなくなります。

中古住宅の需要によっては、買い手が見つかりにくくなるという点にも注意しましょう。
特に、家屋が古く特定空き家として自治体から指定されるようなことがあった場合は、その土地のイメージも悪くなることがあります。
そうなると、買い手はますます見つかりにくくなるでしょう。

立地によっても、中古住宅が売れにくいことはあります。
例えば、新興住宅地となった地域の中で一軒だけ残っている住宅などは、なかなか売れることはないでしょう。
周囲との調和も取れない建物となるため、悪目立ちしてしまうかもしれません。

それとは反対に、数十年前に造成された住宅地で、周囲の住宅も同時期に建築されているようなら、その中で新しい住宅を建造すると目立ってしまうので、古い建物を残しておいたほうが売れやすいかもしれません。

どちらがいいのか

実家の売却において、その建物ごとにするのと、更地にしてしまうのとでは、どちらも利点があり、問題点もあります。
どちらがいいのかは、一概に決めることができないでしょう。

どちらにするべきかを比較するときは、周囲の環境が大きな影響を及ぼすこともあります。
良い状態の中古住宅で、周囲には新築の建物が少なく、立地条件などもいい場合は建物を残しておいても売れる可能性は高いでしょう。
しかし、新築ばかりの土地であれば、やはり新築の住宅に住みたいと思ってしまう人が多いので、建物が不要となる可能性は高いでしょう。

どちらがいいのかを考えるためには、まず不動産業者に依頼してその住宅に価値があるかどうかを調べてみるところから始めましょう。
価値があれば、その土地の価格に住宅の価格も上乗せしなくてはいけないかもしれませんが、価値なしと判断された場合は売却時の条件として、その建物を取り壊してから引き渡すという契約をすることもできます。

どちらが良かったのかを判断するのは、その不動産を買う人です。
買主様が要望を出した際にはそれに応えられるように、あらかじめ想定しておくとスムーズに進むでしょう。

まとめ

遠方にある実家の土地など、自分で住まないような土地を相続した場合は、その土地の扱いに困ってしまう人も少なくありません。
その場合は売却する人も多いでしょうが、建物ごと売却するべきか、それとも更地にするか悩んでしまうと思います。
どちらがいいかは、周囲の環境やタイミングによっても異なるので、一度不動産業者などにその地域ではどちらが人気なのか、相談してみたほうがいいかもしれません。
無駄な費用をかけないためにも、きちんと確認しましょう。

カテゴリーで探す

弊社代表著書

弊社代表・中川祐治執筆書籍 「底地・借地で困った時に最初に読む本」 好評発売中です!

底地・借地で困った時に最初に読む本の表紙

全国の有名書店や
Amazonで絶賛発売中!

底地・借地で困った時に最初に読む本
多くの反響をいただいております! amazon売れ筋ランキング3冠獲得(2020年12月20日現在)

各種資料ダウンロード
していただけます

  • 金銭消費貸借契約書
  • 土地交換契約書(等価交換)
  • 土地交換契約書(交換差金あり)
  • 解約合意書(借地)
  • 建替え承諾願い書、建替え承諾書
  • 私道の相互利用に関する合意書
トップへ