土地活用

再建築の価格がどのように決定されるのかを解説します。

費用と価格は、いずれも金額としてあらわされる項目ですが、実際の意味は少し違います。
この記事では、まず、費用と価格の意味合いの違いを明確にした上で、費用として扱われる項目とは何か、ご説明します。
さらに、再建築の価格はどのように決定されるのかについて、解説しましょう。

再建築における費用と価格の違いを確認しよう

前半は、価格と費用という言葉の定義を、明確にしていきたいと思います。
両者の違は、費用が「実質的な金額」であるのに対し、価格は「費用を基にした市場における金額的な価値」という意味を持っています。
それを踏まえて、再建築にかかる費用を確認しましょう。

再建築は、言葉通り、新しい建物を建設することですから、設計費や建築費など、一般的な建築に関わる費用は必要です。
一方、再建築の場合は、設計費や建築費に加えて、既存の建物を取り壊すための費用がかかります。
この取り壊しにかかる費用のことを古屋解体費用といいます。

古屋解体費用は建物によって異なりますし、廃材の処理にお金がかかることから、年々、費用が大きくなってきているようです。
再建築された物件は一体、どのようにして価格がつけられるのでしょうか。
気になりますよね。

早速、次の章で、再建築の価格について確認していきましょう。

再建築の価格の決定について

再建築にかかる費用については理解できましたでしょうか?
再建築には、設計費や建築費の他に、古屋解体費用がかかるのでしたね。
市場では、再建築の費用を基にして、市場での価格が決定しています。

再建築の価格とは、いわば、課税時期において同資産を新築した場合の評価額を指します。
再建築の費用として設計費や建築費、そして古屋解体費用がかかるというのは時期によって変わることはないですよね。
一方、費用は変わらなくとも、その時期の税金や相場というのは常に変化しているので、価格は変わってくるのです。

したがって、再建築の価格はその時期に応じた価値がつけられるという事を、覚えておきましょう。
これが、「時価」というやつですね。

では、再建築の価格はどのような概念を指標として動いていくのでしょうか。
再建築の価格は、簡単に言えば、“今新しく建設するとしたら、いくらかかるのか”を表しています。
したがって、新しく建物を建てる際、選択肢の一つとしての、評価基準となるわけです。
判断材料が多い方が失敗しにくいですから、一つでも多く要素を取っていくと良いでしょう。

再建築価格の目安について

再建築価格はその時期の税金や相場に応じて、常に変わっているという話をしました。
こちらには構造別の基準単価というものが存在します。
具体的には以下の通りです。

構造

再建築価格の目安

鉄筋コンクリート造 20万円/㎡
重量鉄骨造 18万円/㎡
軽量鉄骨造 15万円/㎡
木造 15万円/㎡

上記の表を見る限り、堅固な材料で造られる方が再建築価格は高くなる傾向にあります。

例えば、鉄骨コンクリート造で床面積1,000㎡の建物があったとします。
このときの再建築価格は、20万円×1,000㎡=2億円になります。

しかしこちらの価格はあくまで目安であり、金融機関によって設定単価は変わります。
実際にはもっと安く評価されることが多いです。

金融機関では、融資審査で物件の現状資産価値を評価する際に積算法を使用します。
積算法では積算価格を算出しますが、このときには以下のような計算式が用いられます。

・再建築価格×(残法定耐用年数÷法定耐用年数)

例えば築19年の鉄筋コンクリート造で、床面積1,000㎡の建物があるとします。
このケースの積算価格は、2億円×(28年÷47年)=1億1914万8936円です。

ただし再建築価格に使われる平米単価は実情に合っていません。
その上地域差も考慮されていない状態です。
実際に鉄筋コンクリート造の建築単価は、現状首都圏では目安より高いです。

再建築価格と時価の違い

再建築価格は、その時期に応じた価値が付けられます。
先ほどはこちらを時価という風に表現しました。
しかし厳密に言うと、再建築価格と時価は異なるものです。

再建築価格は建物を修理、再築・再取得するために必要な額を基にした評価額です。

一方で時価とは、再建築価格から消耗分を差し引いた額を基にした評価額を指します。
こちらは正確には時価額と呼ばれます。

そのため、再建築価格は時価で決定されるという認識は間違っていません。
「今新築するとしたらいくらかかるのか」というのが再建築価格です。
ただし再建築価格と時価額の比較になると、これらの意味はまったく変わってきます。

固定資産評価額について

再建築価格と関連の深いものに、固定資産評価額が挙げられます。

こちらは固定資産税を決定する際に基準となる、固定資産の評価額です。
基本的に、各市町村の担当者が固定資産評価基準に基づいて決定します。

評価基準の計算方法は固定資産の種類ごとに異なります。
自身が所有する固定資産の大まかな評価額を知りたいときは、各市町村に確認します。

例えば土地の場合、そのときの土地の時価の約70%が評価額になるとされています。
そこから土地の場所や形状、面積に応じてさらに評価額が減少する計算方法です。

そして固定資産税評価額が確定すると、固定資産税の金額も確定します。
金額は送付される納付書で確認できます。

しかし場合によっては、納税通知書を紛失してしまうこともあります。
このような場合は、固定資産課税台帳や固定資産評価証明書でも確認できます。

固定資産課税台帳は役所でしか閲覧することができません。
書類では取り寄せられないため注意が必要です。

一方固定資産評価証明書は、専用の書類を役所に送付すれば取り寄せることができます。
ただしすぐに固定資産税評価額を知りたい場合は、役所で台帳を確認するのが早いです。

また固定資産課税台帳を確認するには、以下のものが必要になります。

・申請書様式
・本人確認書類(運転免許証やマイナンバーなど顔写真のあるもの)
・閲覧手数料(300円)

ちなみに、固定資産課税台帳と固定資産評価証明書の内容はほぼ同じです。

建物が古いのに家屋の評価額が下がらない理由

家屋の評価は3年に一度の評価替えの時期に、再建築価格を基準に評価替えします。
こちらは固定資産評価基準に基づいています。

再建築価格は、その時点の建築資材等の物価を反映しています。
評価替えごとに、こちらを反映した上で新築するとした場合の評価額を算定します。
また最終的には、当該建物の新築後の経過年数に応じた損耗による減価が行われます。
新築当時より、評価替え時の再建築価格の方が高くなることもあります。

ただし新築以外の在来分の家屋は、基本的に前年度の評価額が据え置かれます。
具体的には、評価替え時に算出された評価額が前年度の評価額を上回る場合です。
増改築や損壊等の変化がない限り、こちらの評価は変わりません。

このことから、建物が古いのに家屋の評価額は下がらないということが起こります。

再建築価格と相続税評価額

家屋を立てると、その家屋に対して固定資産税がかかります。
しかし家屋の評価額は、建築価格と必ずしも同じではありません。

建築価格は一般的に工事費や購入価格です。

一方家屋の評価額は、再建築評点数をもとにして各市町村が評価します。
地域ごとに違いはありまが、建築工事費総額の6割以上になることが多いです。

家屋評価については固定資産税評価額に従い、再建築価格を基準に評価します。
また相続税評価についても、固定資産税評価額を基準にして行われます。

つまり固定資産税評価額が過大評価されると、税金の負担が大きくなるということです。
毎年の固定資産税や相続税まで余分に支払うことになります。

まとめ

再建築の価格について、理解できましたでしょうか?
再建築の費用は設計費と建築費とその他の諸経費に加え、古屋解体費用がかかることを確認しました。
再建築の価格は、費用を基にして、今新しく建設するといくら金額が必要なのかを示していたのですね。

物事の価格を知ることは非常に大切です。
それにより、例えば更地に新しく建物をつくる方がいいのか、それとも再建築をした方が自分の理想に近いのか、という判断が下せるようになるわけです。

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