不動産を売却したときの所得はすべて譲渡所得なのか?
不動産を売却したときの所得は、基本的に“譲渡所得”に該当します。
では不動産を売却したときの所得は、すべてが譲渡所得に該当するのでしょうか?
今回はその点について、詳しく解説していきます。
不動産売却をする方、今後不動産を売却する可能性がある方は、ぜひ参考にどうぞ。
そもそも所得にはどんな種類がある?
不動産売却の所得すべてが譲渡所得に該当するかどうかを解説する前に、まずは所得の種類について解説します。
・利子所得
預貯金、公社債の利子ならびに合同運用信託、公社債投資および公募公社債などの運用投資信託の収益における分配に係る所得のことです。
・配当所得
株主、出資者が法人から受ける剰余金、利益の配当や剰余金の分配などに係る所得のことです。
・事業所得
農業や漁業、製造業や卸売業、小売業やサービス業など、事業を営んでいる人の事業から発生する所得のことです。
・不動産所得
土地や建物の貸付、地上権などの権利の設定、貸付によって発生する所得のことです。
・給与所得
勤務先から受け取る給与、賞与などの所得のことです。
・退職所得
勤務先から受け取る退職手当などの所得のことです。
・山林所得
山林を伐採して売却した場合、立木のままで売却した場合に発生する所得のことです。
・雑所得
他の所得に該当しない所得のことで、公的年金や非営業用貸金における利子、原稿料や講演料などが該当します。
・譲渡所得
土地や建物、株式などを売却することで発生する所得のことです。
・一時所得
営利目的の継続的行為から発生する所得以外の所得のことです。
具体的には、懸賞や福引の賞金品、競馬などの払戻金、生命保険の一時金などが挙げられます。
参考:国税庁「所得の種類と課税のしくみ」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/shoto319.htm
【結論】不動産を売却したときの所得はすべてが譲渡所得に該当するわけではない
前述の所得の種類を見るとわかるかもしれませんが、不動産を売却したときの所得は、すべてが譲渡所得にあたるわけではありません。
なぜかと言うと、不動産は土地や建物だけとは限らないためです。
譲渡所得にあたるのは、土地や建物を売却したときに発生する所得のみであり、不動産の1つである山林を売却したときの所得は“山林所得”に当たります。
ただ山林の売却が山林所得に該当するかどうかの判断は、非常に難しいです。
先ほども触れたように、山林所得は山林を伐採して売却した場合や、立木のままで売却したときに発生する所得です。
ただ売却する山林が所得から5年以上経過していないものである場合、その売却によって発生する所得は“事業所得”、もしくは“雑所得”と判断されることになっています。
また山林部分だけでなく山をすべてそのまま売却する場合は、土地の部分も含まれているため、その土地部分の売却で得た所得が“譲渡所得として扱われます。
土地や建物を売却したときの所得はすべて譲渡所得になる
先ほども触れたように、土地や建物を売却したときに発生する所得はすべて譲渡所得になります。
ただ事業用の商品などの棚卸資産を売却したときに発生する所得は、譲渡所得にはなりません。
また使用可能期間が1年未満の減価償却資産、取得価額が10万円未満の減価償却資産を売却したときに発生する所得も、譲渡所得には当たりません。
土地や建物、株式など以外の資産を売却したことによって発生した譲渡所得は、その他の所得(給与所得)などと合計して総所得金額を弾き出し、所得控除の合計額が控除された残額に所得税の税率を乗じて、最終的な税額を弾き出します。
まとめ
不動産を売却したときの所得は、すべてが譲渡所得に当てはまるわけではないということを理解していただけたでしょうか?
山林を伐採して売却しようとする方、または立木のまま売却しようとする方は、売却によって発生する所得が山林所得に当たることを覚えておきましょう。
また山林を山ごとすべて売却する場合は、土地部分の売却で得た所得が譲渡所得になることも、事前に把握しておくべきです。
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