不動産売買・投資

さまざまな地域の特徴について知っておこう

一般的に地域というと、例えば東京都渋谷区のように、ある都道府県における特定のエリアなどを指すことが多いです。
一方、不動産関連用語としての地域とは、独自の特徴やルールを持った土地の区画のことを指しています。
今回は、さまざまな地域の特徴やルールなどについて見ていきたいと思います。

近隣商業地域

近隣商業地域とは、近隣の住民が日用品の買い物をする店舗などのために定められる地域のことをいい、地元の商店街などが該当します。
こちらの地域の建蔽率は60または80%、容積率は100〜50%です。
また、近隣商業地域に建てられる建物は次のとおりです。

・住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
・幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
・店舗(面積の制限なし)
・事務所(面積の制限なし)
・危険や環境悪化のおそれが少ない作業場面積が150㎡以下の工場
・ホテル、旅館(面積の制限なし)
・ボーリング場、スケート場、ゴルフ練習場、カラオケボックス、パチンコ屋、麻雀屋等(面積の制限なし)、客席が200平方メートル未満のミニシアター
・自動車教習所(面積の制限なし)
・倉庫業の倉庫

一方、以下の建物は建てることができません。

・上記以外の工場
・上記以外の遊戯施設、風俗施設(キャバレー、ナイトクラブ、ラブホテルなど)

工業専用地域

工業専用地域とは、工業の業務の利便の増進を図るための用途地域のことをいいます。
建蔽率率は30〜60%、容積率は、100〜400%です。
また、こちらの地域では、基本的にどのような工場でも建てられます。
建てられるものは以下の通りです。

・事務所等
・運動施設
・巡査派出所、公衆電話所、郵便局
・神社、寺院、教会等
・公衆浴場(風俗営業を除く)、診療所、保育所等
・老人福祉センター、児童厚生施設等
・自動車教習所
・近隣公園内の公衆便所および休憩所、路線バスの停留所の上家
・自治体の支部、支所
・税務署、警察署、保健所、消防署等
・電気通信、電気、ガス、液化石油ガス、水道、下水道、都市高速鉄道、熱供給の各事業のための施設
・車庫・倉庫等
・特定行政庁が用途地域における工業の利便を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可したものなど

自然環境保全地域

自然環境保全地域とは、自然環境を保全する必要性が特に高いとして、環境大臣や都道府県知事が指定した地域のことをいいます。
1972年に制定された自然環境保全法に基づくもので、天然林が相当部分を占める森林、生存する動植物を含む自然環境が優れた状態を維持している河川、植物の自生地、野生動物の生息地などが指定されます。
また、自然環境保全地域に指定されると、建築物の新築、改築、増築や宅地の造成なども届出が必要となります。

農業振興地域

農業振興地域とは、農振法(農業振興地域の整備に関する法律)により、知事が指定する地域のことをいいます。
こちらは、相当規模の農地があり、農業経営が近代化しやすいような条件の整っている広い地域について指定されるものです。
また、農業振興地域に指定されると、市町村は農業振興地域整備計画を作成しなければならず、こちらの計画により、農業関係の公共投資が大規模に行なわれることとなります。

田園住居地域

田園住居地域とは、都市計画における住居系用途地域の一つで、農業の利用の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域のことをいいます。
こちらは、都市計画法に基づく制度です。
田園住居地域は、都市の構成要素としての農地を都市計画に本格的に位置付ける制度であって、生産緑地以外の市街化区域内農地について建築等を規制し、農業利用と調和した低層住宅の良好な住居の環境を保護する仕組みです。
また、田園住居地域における規制の概要は以下の通りです。

・開発規制
農地である区域内において、土地の形質の変更、建築物、工作物の建築、一定の土石等の堆積を行おうとする場合には、市町村長の許可を必要とします。
市町村長は、規模300㎡未満の行為については許可しなければならないとされています。

・建築規制
区域内での建築物の用途は、低層住居専用地域に建築可能なもの(住宅、老人ホームなどの高齢者施設、診療所等)または農業用施設(農業の利便増進に必要な店舗、飲食店等で面積500㎡以内のもの、農産物の生産・集荷・処理・貯蔵に供するもの、農産物の生産資材の貯蔵に供するもの)に限ります。
区域内の建築物については、容積率、建蔽率、高さ、外壁後退を低層住居専用地域と同様に制限します(これによって、日影等の影響を受けずに営農継続が可能となります)。

まとめ

ここまで、さまざまな地域の特徴やルールについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
居住用物件や収益物件を購入しようとするエリアが、前述したような地域に指定されているケースもあります。
また、不動産購入後、新たに指定されることも考えられるため、各地域のルールを少しでも知っておき、実際に指定された場合の対策について考えておくことも大切です。

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