住宅ローンを利用する際、頭金は用意すべきなのか？
住宅ローンを利用する際は、ほとんどの方が頭金に関する疑問を抱くかと思います。
具体的には、「用意する必要はあるのか」「どれくらいの金額なのか」といった疑問です。
ここからは、住宅ローンにおける頭金の概要や必要性、そして用意することのメリット・デメリットなどを中心に解説していきたいと思います。
頭金の概要
住宅購入の費用には、主に金融機関から借り入れたローンを当てますが、購入費用のうち自己資金で賄う部分を頭金といいます。
つまり、自分で現金を用意して支払う部分です。
一般的には、物件価格のおよそ2割が相場とされていますが、こちらは必ずしも用意しなければいけないものではありません。
例えば、3,000万円の住宅を購入する場合、審査にさえ通過すれば、頭金を一切用意せず、金融機関から3,000万円全額を借り入れることも可能です。
頭金を用意することのメリットは？
では、頭金を用意することのメリットには、一体どのようなことが挙げられるのかを見ていきましょう。
返済額が少なくなる
頭金を多く用意すればするほど、当然住宅ローンの返済額は少なくなります。
ローンを返済する際は、金利もプラスされるため、こちらの負担も同時に減らせるというのは、非常に大きなメリットです。
金利上昇の影響を受けにくくなる
金融機関から借り入れたローンにかかる金利は、元金に対してかけられます。
つまり、頭金の金額を大きくし、融資額を減らすことで、金利上昇の影響は受けにくくなるということです。
現在、日本は世界的に見ても超低金利国家ですが、将来的に金利が上がる可能性は十分にあるため、こちらのリスクヘッジは必要だと言えます。
審査で有利になる
頭金を用意すれば、住宅ローンの審査で有利になります。
なぜなら、自己資金があることを金融機関にアピールすることで、信頼を勝ち取りやすくなるからです。
もちろん、審査の際は勤務先や勤続年数など、他の要素も考慮されますが、資金が潤沢なことをアピールして損はありません。
値下がり時のリスクが小さくなる
住宅ローンの利用時、頭金を用意することで、住宅が値下がりした際のリスクが小さくなります。
逆に、頭金なしで借り入れると、ローン残債がある状況で住宅を売却しなければいけなくなった場合、売却益だけでは完済できず、窮地に立たされてしまう可能性も否定できません。
頭金を用意することのデメリットは？
一方、住宅ローン利用時に頭金を用意することには、一体どのようなデメリットがあるのでしょうか？
リスクに対応しにくくなる
日々の生活には、病気やケガ、自然災害など、さまざまなリスクが潜んでいます。
手元にある程度現金を残しておけば、これらのリスクにも対応できますが、貯蓄の大半を住宅ローンの頭金に充ててしまうと、万が一のときに対応しにくくなります。
住宅の購入が遅れる
先ほど、住宅における頭金の相場は、物件価格のおよそ2割程度と言いましたが、住宅は非常に高額なものです。
そのため、たとえ2割程度とはいえ、最低でも数百万円単位は用意しなければいけません。
老後資金あるいは教育資金など、他の用途の貯蓄もしながら、これだけの自己資金を貯めるのは決して楽ではありませんし、時間もかかります。
つまり、自己資金を用意することにより、住宅の購入が遅れる可能性があるということです。
頭金は用意すべきなのか？
結論から言うと、住宅ローンの頭金は用意した方が良いでしょう。
なぜなら、たとえまとまった金額が必要であろうとも、返済額の減額や金利変動へのリスクヘッジをするべきだからです。
フルローンでの借入は、確かにほとんど初期費用を必要としませんが、あまりにもリスクが大きすぎます。
そして、住宅ローンの利用時には、必ず頭金が必要な場面が存在します。
具体的に見てみましょう。
頭金が必要になるケース
住宅ローンの申し込みは、購入したい住宅が決まった後に行います。
しかし、金融機関における申込者の評価が低い場合、希望通りの金額を融資してもらえない可能性があります。
例えば、3,000万円の物件を購入したいにも関わらず、2,000万円しか貸してもらえなかったようなケースです。
このような場合は、足りない分の金額を頭金で補填するしかありません。
また、金融機関の融資には、実は借りやすい時期と借りにくい時期が存在します。
具体的には、多くの金融機関が決算を迎える3月と9月は借りやすい時期、決算直後の4月と10月は借りにくい時期とされています。
後者の融資を受けにくい時期に、どうしても住宅を購入したいという方は、なるべく多くの頭金を用意し、金融機関の信頼を勝ち取って、融資を引き出さなければいけません。
まとめ
ここまで、住宅ローンにおける頭金のことを中心に見てきましたが、理解していただけたでしょうか？
フルローンという形が認められていることから、頭金を用意するか否かは、住宅ローンを利用する方の自由です。
ただし、将来的な負担の大きさやリスクについて考えた場合、やはり安全なのは、十分な頭金を準備する方だと言えます。
