底地・借地権

更地の状態で不動産売却をする際の注意点について

「建物が古く、なかなか買い手が見つからない」
このような悩みを抱える方の中には、一度建物を取り壊し、更地の状態で売却することを考えた方もいるかと思います。
しかし、更地の状態で不動産を売却するのであれば、事前に注意点を押さえておかなければいけません。
詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

更地の状態で不動産売却をする際の注意点5選

更地の状態で不動産売却をする場合、以下の点に注意しなければいけません。

・固定資産税の金額が高くなる
・都市計画税が高くなる
・再建築ができない可能性がある
・建て直す建物の規模が小さくなる可能性がある
・取り壊しのコストがかかる

固定資産税の金額が高くなる

固定資産税は、不動産を所有する方が必ず納めなければいけない地方税です。
基本的には、土地・建物ともに1.4%の税率が適用されますが、不動産の種類によっては、課税標準額が下がることもあります。
代表的な特例としては、住宅用地の特例が挙げられます。
こちらは、居住用の建物1戸につき、200㎡までの部分は固定資産税の課税標準額が1/6に、200㎡を超える部分は1/3に引き下げられるというものです。
しかし、この特例は、建物を取り壊した時点で対象外となってしまいます。
つまり、更地には適用されないということです。
もちろん、更地にして売却するとはいえ、実際買主の手に渡るまでは売主の所有物であるため、売却が長期化すると、負担する固定資産税の額はどんどん膨らんでしまいます。

都市計画税が高くなる

都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業に費用に充てられる税金で、固定資産税と同じく、不動産の持ち主に課税義務のあるものです(市街化調整区域を除く)。
税率は固定資産税より少し低い0.3%ですが、こちらも特例によって下がることがあります。
ただし、この特例に関しても、建物がなくなった時点で適用外になってしまうため、注意しなければいけません。
これまで長い間特例が適用されていたという方は、特に税額が上がることの負担が大きくなると推測できます。

再建築ができない可能性がある

売却しようとする物件が再建築不可物件の場合、一度建物を取り壊してしまうと、基本的には新しく建物を建て直すことができません。
再建築不可物件とは、具体的には建築基準法で認められている道路に接していない物件のことをいい、所有地がこちらに該当する場合、安易に更地にしないように注意しましょう。
確認せずに建物を取り壊してしまうと、買い手候補は一気に減ってしまいます。
購入しても建物が建てられないわけですから、これは致し方ありません。
ちなみに、建築基準法で認められた道路とは、幅員4m以上の公道や位置指定道路等を指しています。
自身の所有する物件が再建築不可かどうかは、その物件があるエリアの役所に行き、建築指導課の窓口を訪ねることで確認できます。
「もしかしたら再建築不可物件かも?」という方は、必ず更地にする前に確認してください。

建て直す建物の規模が小さくなる可能性がある

不動産の中には、既存不適格建築物というものがあります。
こちらは、事実上建築基準法に違反しているものの、特例によって違法建築ではないとされている建物をいいます。
具体的には、接道義務を満たしていなかったり、建蔽率あるいは容積率をオーバーしていたりする建物です。
こちらを取り壊さず、現況のまま売却するという場合は、問題なく居住できるため、建物の状態が良ければ、ある程度買い手は現れるでしょう。
しかし、取り壊して更地にしてしまった場合、その後建て直す建物は、現行の法律で定められた建蔽率、容積率のものにしなければいけません。
つまり、前に立っていた建物よりも、規模を小さくしなければいけないということです。
そうなると、買い手の需要は一気に少なくなってしまいますので、既存不適格建築物である場合は、安易に更地にしてはいけません。

取り壊しのコストがかかる

当然のことですが、建物を取り壊す際には、業者に依頼するためのコストがかかります。
業者やエリアによって、微妙に金額は異なりますが、構造別相場は以下の通りです。

・木造:1坪30,000~40,000円程度
・鉄骨造:1坪35,000~45,000円程度

1坪で上記の値段ですから、建物の規模が大きければ、取り壊し費用だけで100万円を超えてしまうこともあります。
そう考えると、決して安いコストではありません。
ちなみに、取り壊しにかかったコストは、その更地の売り出し価格にプラスすることができますが、価格が上がれば、当然買い手は現れにくくなります。

まずは不動産会社に相談しよう

一度建物を取り壊すと、同じ建物を復元させることはできません。
そのため、決断は慎重に下しましょう。
もし、取り壊しという選択肢が最善なのかわからないというのであれば、信頼できる不動産会社に相談することをおすすめします。
そうすることで、より的確な判断をしやすくなります。

まとめ

不動産売却では、「売れないから建物を取り壊してしまおう」という風に、簡単に考えすぎてはいけません。
売れない原因がまったく別のところにある場合、取り壊しを行っても何の意味もないからです。
建物の取り壊しは、売り出し価格や不動産広告の内容、担当者の状況や内見時の対応等を見直し、それでも買い手が現れない状況になって初めて、実行するかどうか考えるものです。

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