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不動産売買契約にまつわるお金の性質について解説します

不動産売買契約を結ぶ場合には、さまざまなお金が発生します。
しかし、似たような名前のものがいくつも存在するため、事前にそれぞれの意味を理解していなければ、契約時に混乱してしまうかもしれません。
そのようなことになるのを防ぐために、今回は不動産売買にまつわるお金の性質について解説したいと思います。

知っておくべき不動産売買契約にまつわるお金5選

以下のお金の概要や性質に関しては、不動産売買契約を締結する前に理解しておくべきです。

・頭金
・手付金
・申込証拠金
・内金
・残余金

頭金

不動産の購入または新築時、その費用に充てる自己資金のことを頭金といいます。
購入費用や建築費用は、基本的に頭金と住宅ローンによる借入金をあわせたものであり、頭金の割合が多ければ多いほど、当然ながらローン返済の負担は少なくなります。
つまり、頭金はたくさん用意した方が良いお金だということです。
ただし、頭金はあくまで購入費用や建築費用に充てる自己資金であり、その他の諸費用は含まれていませんので、不動産購入時は頭金+諸費用を用意しなければいけません。
ちなみに、住宅ローンの中には、物件価格の100%まで融資されるものもありますが、商品によっては8~9割までの場合もあります。
また、頭金の額が大きいほど有利な融資条件となるものもあります。
もちろん、頭金なしで利用できる住宅ローンもゼロではありません。

手付金

不動産売買契約時、買主から売主に対して支払われるお金を手付金といいます。
手付金には、解約手付や違約手付、証約手付といった種類があり、当事者同士で特に性格を定めない場合は、解約手付とされるのが一般的です。
また、解約手付とは、この手付金を放棄することによって、任意に不動産売買契約の解除ができるものをいいます。
ただし、売主が売買契約を解除する場合は、そのまま手付金を買主に返金するわけでなく、倍額にして返さなければいけません。
なぜなら、手付金は元々買主のお金であり、自己都合で売買契約を解除するにも関わらず、売主がそれを返すだけだと、お互いのリスクが釣り合っていないからです。
ちなみに、不動産会社(宅建業者)が売主となるときは、買主から売買代金の2割以上手付金を受け取ってはいけないという決まりがあります。
加えて、手付金の額が1,000万円を超えるとき、あるいは未完成物件で売買代金の5%を超えるとき、完成済み物件で10%を超えるときは、手付金の保全措置が義務付けられています。

申込証拠金

申込証拠金は、先ほど解説した手付金と非常に似たものであり、マンションなどを購入する際に発生することの多い支払いです。
具体的には、優先的に不動産を購入する権利を確保するためのお金を指していて、申込金や予約金などと呼ばれることもあります。
ただし、こちらには明確な法律の裏付けがないため、売主は申込証拠金を預かっていたとしても、別の購入希望者と売買交渉を進めたり、物件を売却したりすることができます。
また、申込証拠金は、契約不成立時には返還されるべきものであるにもかかわらず、返還されずトラブルになることもしばしばあります。
そのため、買主が申込証拠金を支払う場合には、支払い時に受け取る預り証をきちんと確認し、「契約不成立時には全額返金する」と明記してあるかどうかチェックすることをおすすめします。
ちなみに、申込証拠金には有効期限が設けられるのが一般的で、期間の目安は1週間から10日程度です。
つまり、「買主は申込証拠金さえ支払っておけば、いつでも好きなタイミングで意中の物件を購入できる」という考えは、間違っているということです。

内金

売買代金の一部として、買主が売主に前払いするお金を内金といいます。
基本的には、売主に売買物件の抵当権を抹消してもらったり、転居先を確保してもらったりするために支払われます。
つまり、買主が売主をサポートする意味合いで支払われるお金だということです。
また、売主に支払うという意味では、先ほど解説した手付金や申込証拠金と似ていますが、内金とこれらのお金を同じ意味とするかどうかは当事者間で定められるため、一概に同じとは言えません。
ちなみに、金額は手付金よりも内金の方が大きくなるケースが多いです。

残余金

不動産売買契約には、前述の手付金や内金のように、事前に支払うお金がいくつかあります。
また、物件の引き渡し日には、売買代金から上記のお金を差し引いた金額を支払うことになりますが、こちらを残余金といいます。
ちなみに、手付金は売買代金の10~20%程度を支払うため、この場合の残余金は80~90%ということになります。
ただし、内金は売買代金の1/3、1/2となることもあるため、その場合は引き渡し日に多くの残余金を支払う必要がありません。

まとめ

今回は、不動産売買契約にまつわる混同しがちなお金について解説してきましたが、理解していただけたでしょうか?
不動産売買をするのであれば、最低でもこれらのお金は区別できるようにしておきましょう。
そうしなければ、勘違いや思い込みをしたまま契約が進んでしまい、後々大きなトラブルが発生してしまうかもしれません。

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