不動産売買・投資

不動産売買に関する契約書の種類とそれぞれの特徴について

不動産を購入したり、売却したりするにあたって必要不可欠な書類といえば、なんといっても契約書です。
では、皆さんは、他にもさまざまな契約書の種類があることをご存知でしょうか?
ここからは、不動産売買に関する契約書の種類と、それぞれの特徴について解説したいと思います。

代表的な不動産売買に関する契約書5選

不動産売買に関する代表的な契約書としては、主に以下の5つが挙げられます。

・売買予約契約書
・買戻特約付売買契約書
・借地権付建物売買契約書
・抵当権付建物売買契約書
・通行地役権付土地売買契約書

売買予約契約書

将来において、不動産の売買契約を成立させることを約束する書類を売買予約契約書といいます。
簡単にいうと、「今後、この不動産を購入(売却)します」という意味合いで交わす契約書です。
予約により、将来成立する契約を“本契約”、予約によって本契約を成立させる権利を“予約完結権”といい、当事者が予約完結権を行使する旨の意思表示をすると、本契約は当然に成立します。
これから不動産売買をする方は、必ずこちらの契約書に触れることになりますので、覚えておきましょう。

買戻特約付売買契約書

名前の通り、買戻特約が付いた不動産売買契約書のことを買戻特約付売買契約書といいます。
“買戻特約”とは、売主が代金や契約の費用を買主に返還することにより、不動産売買契約を解除し、目的物を取り戻すことができる特約で、所有権移転登記と同時に買戻特約を登記しなければ、第三者に対抗することはできません。
もちろん、ここでいう目的物とは、取引される不動産のことを指しています。
ちなみに、売主が買戻の権利を行使できる期間は最長10年であるため、この契約書を交わしていたとしても、期間を過ぎると不動産を取り戻すことはできなくなります。

借地権付建物売買契約書

借地契約を締結した土地(底地)に建築された建物を売買する際に交わされる契約書が借地権付建物売買契約書です。
“借地権”は、建物の所有を目的とする地上権または賃借権を指す言葉で、こちらの権利を持つ方(借地権者)は、地主に地代を支払わなければいけません。
そして、底地にある借地人所有の建物は、地主の許可を得ることで、第三者に売却することが可能です。
このとき、借地人と買主の第三者が交わすのが、借地権付建物売買契約書というわけです。
ちなみに、借地権付建物は制約が多く、銀行融資が受けにくいため、お世辞にも売却しやすい物件とは言えません。

抵当権付建物売買契約書

抵当権が付いた建物を売買する際には、こちらの抵当権付建物売買契約書を交わします。
“抵当権”は、金融機関から住宅ローンの借入などを行う際、万が一ローンの返済が出来なくなったときのため、金融機関や保証会社が抵当権者となり、不動産を担保に取る権利をいいます。
そして、抵当権が設定された不動産は“抵当物件”と呼ばれます。
「抵当権付きの物件を売買しても良いのか?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、売買をすること自体には何の問題もありません。
しかし、抵当物件は買主にとってのリスクが非常に大きく、特に売主のローン返済が滞っている場合には、大きなトラブルが起こる可能性もあります。
一般的に、ローンの滞納が半年間も続けば抵当権が実行され、競売の手続きが始まります。
つまり、この場合、買主は購入するはずの不動産を手に入れられないだけでなく、すでに購入代金を支払ってしまった不動産に対して抵当権が行使され、所有権を失ってしまう可能性もあるということです。
よって、抵当権付建物売買契約書は、それほど頻繁に交わされるものではありません。

通行地役権付土地売買契約書

通行地役権付土地売買契約書は、文字通り通行地役権のある土地を売買する際に交わす契約書です。
“通行地役権”とは、自身の土地の便益のために、他人の土地を通行できる権利のことをいいます。
この場合の自身の土地は“要役地”、他人の土地は“承役地”と呼ばれ、具体的には承役地を通らなければ、要役地から公道に出ることができない場合などに、その土地を通行するために、通行地役権が利用されます。
ちなみに、通行地役権の設定に関しては、売買契約とは別に、両者の契約によって成立します。
例えば、道路の幅や形状など、利用の方法について、両者の合意で決められるのが特徴です。
ただし、通行地役権付の土地に関しては、地役権を登記しておかない限り、承役地を購入した第三者に主張することはできないとされています。
つまり、承役地の持ち主が変わったタイミングで、これまで通行できていた承役地が通れなくなってしまう可能性があるということです。

まとめ

ここまで、不動産売買時に触れる可能性があるさまざまな契約書の種類と特徴について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
少し変わった契約内容だったり、建物が一般的なものではなかったりする場合は、特殊な契約書を用いることがあります。
今後不動産売買をする方は、不動産売買に関する契約書は1つじゃないということだけでも覚えておきましょう。

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