【被相続人向け】二次相続の対策にはどんなものがあるのか?
不動産相続では、相続人だけでなく、被相続人も生前からさまざまな準備をしておく必要があります。
そうしなければ、子どもの負担を大きくすることに繋がってしまうからです。
ここからは、被相続人の方が実践すべき“二次相続”の対策について解説したいと思います。
ぜひ参考にしてください。
二次相続の概要
不動産相続は、夫(妻)から配偶者へ、その配偶者から子へと引き継がれることがあります。
このとき、夫(妻)から配偶者に対して行われる最初の相続を“一次相続”、配偶者から子に行われる2度目の相続を“二次相続”といいます。
また、二次相続には、一次相続と比べて相続税の基礎控除額が減るという特徴があります。
これは、二次相続の方が法定代理人は少なくなることが理由です。
ただ、冒頭でも少し触れたように、被相続人が二次相続まで見越したプランを立てていれば、ある程度相続人における相続税の負担は軽減されます。
二次相続の対策5選
では、被相続人が実践すべき二次相続対策には、一体どんなものがあるのかを見ていきましょう。
主な対策として挙げられるのは、以下の5つです。
・生前贈与
・一次相続で不動産を子どもに引き継がせる
・一次相続で得た財産をできるだけ売却する
・相続前に不動産を移転させる
・生命保険に入る
生前贈与
代表的な二次相続といえば、なんといっても“生前贈与”です。
これは、一次相続が行われる時点から、少しずつ相続人に贈与をするという対策で、年110万円までの贈与であれば、受け取る側に税金を負担させることはありません。
また、贈与する相手が配偶者の場合も、2,000万円までの土地・建物の贈与には非課税枠(夫婦間贈与の特例)があるため、被相続人は必ず活用しましょう。
ただ、同じ相手への生前贈与の場合、夫婦間贈与の特例は一生に一度しか適用されませんし、婚姻期間が20年を超えていないと対象になりませんので、注意してください。
一次相続で不動産を子どもに引き継がせる
相続財産の評価を大きく引き下げる方法に、“小規模宅地等の特例”があります。
これは、被相続人が住んでいた不動産を相続したときに相続税評価額を減額できる制度です。
また、配偶者は税額軽減の特例が適用されるため、小規模宅地等の特例を受けなくても、相続税を一切負担しなくて済むケースが多いです。
よって、被相続人は一次相続であえて子どもに不動産を引き継がせ、小規模宅地等の特例を適用させましょう。
この方が、効率的に子どもの税負担を減らせます。
一次相続で得た財産をできるだけ売却する
これは、一次相続を受けた配偶者が行う二次相続対策です。
配偶者は、被相続人から不動産等の財産を引き継ぐことがありますが、これをそのまま所有することは、子に対して“相続税の対象”を残しているようなものです。
よって、使用する予定がない不動産等は、一次相続を受けた後に早めに売却しておきましょう。
こうすることで、二次相続を受ける子は現金を多く引く継ぐことができる上に、もし多額の相続税が発生したとしても、その現金で賄える可能性が高くなります。
相続前に不動産を移転させる
被相続人が賃貸物件などを所有する場合、一次相続において配偶者の財産を一気に増加させてしまいます。
なぜなら、賃貸物件のオーナーという立場まで配偶者が引き継いだ場合、賃料収入が得られるようになるからです。
また、配偶者の財産が増えると、必然的に二次相続をされる子の税負担は大きくなってしまいます。
このような状況を避けるために、あらかじめ被相続人は、子どもに賃貸物件を移転しておきましょう。
生命保険に入る
これは、不動産以外の相続でも言えることですが、被相続人(夫または妻)が生命保険に加入していれば、二次相続の際、子どもは保険金を受け取れます。
また、この保険金は当然相続税の支払いにも使えるため、結果的には大きな二次相続対策となる可能性があります。
ちなみに、保険金には非課税枠があるため、多くのケースにおいて、取得に伴う税金を支払う必要はありません。
相続人は控除制度を利用しよう
被相続人だけでなく、不動産等を受け取る相続人(子)も、二次相続の対策を取ることは可能です。
不動産相続に関する控除制度にはさまざまなものがありますが、中には二次相続のみで利用できるものがあります。
それが、“相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)”という制度です。
これは、読んで字のごとく、相次いで相続が発生したときに、税金の控除が認められるもので、相続人にとっては非常にありがたい制度です。
ちなみに、当制度を利用する場合、相続人は主に以下の要件をクリアしなければいけません。
・被相続人の相続人であること
・一次相続から10年以内に始まった二次相続で不動産等を取得していること など
まとめ
ここまで、被相続人が実践すべき、二次相続の対策について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
被相続人が生前どれだけ工夫・行動するかによって、子どもにとっての相続が良いものなのか、辛いものなのかは変わってきます。
よって、「とにかくたくさん財産を遺す」ということばかり考えるのは、決して賢い考え方ではありません。