【相続対策】不動産を“生前贈与”することのメリット7選
不動産を所有する方は、今後自身が被相続人になることを想定して、何かしらの相続対策を取っておくべきです。
また、その対策の1つとして、存命のうちに次世代に不動産を移転する“生前贈与”が挙げられますが、これには一体どんなメリットがあるのでしょうか?
具体的に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
生前贈与における7つのメリット
不動産の生前贈与には、主に以下の7つのメリットがあります。
・思惑通りに引き継がせることができる
・不動産の管理を任せられる
・今後状況の変化があっても対応できる
・賃料収入を引き継がせることができる
・節税に繋がる
・死亡後の相続人の負担を軽減できる
・共有による争族を回避できる
思惑通りに引き継がせることができる
生前贈与を行えば、不動産を所有する方は自身の思惑通り、特定の人物に引き継がせることが可能です。
例えば、以下のような思いがある場合は、遺言よりも生前贈与を選択した方が良いでしょう。
・同居中の長男に不動産を引き継いでもらい、妻の面倒を見てもらいたい
・所有している商業用不動産を、2人の子どものうち1人に引き継いでもらいたい など
不動産の管理を任せられる
年齢を重ねると、所有する不動産に関する手続きや管理は、徐々に煩雑なものになってきます。
例えば、以下のような手続き、管理です。
・固定資産税、都市計画税の納付手続き
・建物、敷地、設備のメンテナンス
・近隣住民との付き合い など
ただ、早めに生前贈与を行っておけば、これらをすべて受贈者に任せることができるため、身体的にも精神的にも楽になるでしょう。
今後状況の変化があっても対応できる
早めに不動産の生前贈与をしておくことで、今後贈与者の身に何か変化が起こってもスムーズに対応できます。
例えば、不動産を所有する親が認知症を患い、高齢者施設に入ることになったとしましょう。
このとき、高齢者施設への入居費用を工面するために、その家族が不動産の売却をしようとすることも考えられますが、名義が親のままでは売却できません。
また、不動産の所有者本人に売却の意思があったとしても、判断能力に難があるとみなされる場合は、後見人を選任しなければいけません。
一方で、前もって不動産を生前贈与しておけば、上記のような状況の変化があっても、それほど家族が苦労することはないでしょう。
賃料収入を引き継がせることができる
生前贈与する不動産が収益物件の場合、賃料収入も併せて引き継がせることが可能です。
具体的には、贈与があった後に振り込まれる賃料については、受贈者の固有財産という扱いになります。
つまり、不動産以外の財産も引き継がせることができるというわけです。
節税に繋がる
通常、贈与によって不動産を移転した場合には、相続時よりも高額な贈与税がかかるケースが多いです。
ただ、以下のような特例や制度を利用すれば、受贈者は一切贈与税を負担しなくて済む可能性があります。
・居住用不動産の贈与の特例
・相続時精算課税制度
また、今後価格が上がると判断される不動産は、早めに生前贈与し、贈与税の課税対象にすることで、相続時に支払う相続税と比べて、税負担を軽くできるかもしれません。
死亡後の相続人の負担を軽減できる
例えば、自身の子どもが遠隔地に住んでいるという方は、自身が亡くなったとき、相続人である子どもに大きな負担をかけてしまうでしょう。
ただでさえ煩雑な手続きが多い相続にもかかわらず、それが遠隔地で行われるとなれば、手間も時間もかかりますからね。
ただ、早めに生前贈与をしておけば、そのような心配は少なくなります。
共有による争族を回避できる
例えば、所有する不動産の名義が自身(親)と子どものうちの1人との共有になっているような場合、このまま亡くなってしまうと、相続人である子ども同士が争族を起こしてしまう可能性があります。
よって、このような場合には、生前贈与を行って他の共有者(子どものうちの1人)に持分を移転し、権利が複雑化するのを防いでおきましょう。
これができるのも、生前贈与の大きなメリットです。
生前贈与の注意点
生前贈与を行えば、思惑通りに不動産を引き継がせるという話をしましたが、これは将来的にうまくいかない可能性もあります。
なぜなら、一定範囲内の相続人には、法律上定められた最低限の取り分である“遺留分”があるからです。
つまり、特定の人物に贈与しても、それを不服に思った他の相続人が遺留分を請求する可能性があるということです。
また、不動産の価値があまりにも高い場合、相続時精算課税制度を利用しても、莫大な贈与税がかかってしまう可能性があるため、注意しましょう。
まとめ
ここまで、今後被相続人になり得る方に向けて、生前贈与のメリットを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
生前贈与が相続対策であることは間違いありませんが、思っていたほど効果が得られなかったり、かえって複雑な状況を作り出してしまったりする可能性はゼロではありません。
よって、実施する際は、まず司法書士等の専門家に相談しましょう。