相続した土地の活用法を決める際の判断基準について
相続した土地を居住用として使用しない場合、おのずと選択肢は“土地活用”か“売却”のいずれかになります。
また、土地活用をする場合はその方法を選ばなければいけませんが、その際は一体何を基準にすれば良いのでしょうか?
詳しく解説しますので、相続人の方や今後相続を控える方は、ぜひご覧ください。
相続した土地の活用法を決める5つの判断基準
被相続人から受け継いだ土地は、その土地自体の状況や、相続人の状況によって適した活用法が大きく変わってきます。
また、活用法を決めるための判断基準としては、主に以下の5つが挙げられます。
・コスト
・収益性
・転用性
・周辺環境
・土地そのもの
コスト
1つ目の判断基準としては、土地を受け継いだ相続人が、土地活用にどれくらいのコストをかけられるかという点が挙げられます。
例えば、代表的な土地活用である賃貸経営と駐車場、どちらを選ぶべきか迷っている相続人の方がいるとしましょう。
また、この相続人の方が土地活用に費やせるコストが500万円までだとします。
この場合は、駐車場経営を選ぶべきです。
駐車場であれば、更地の状態からであっても300万円前後で始められます。
一方、賃貸経営を更地から始めるには数千万円程度かかることもあるため、500万円程度しかコストを費やせない場合は、満足に物件や設備を整えられないでしょう。
収益性
2つ目の判断基準としては、土地活用にどれくらいの収益性を望むかという点が挙げられます。
例えば、賃貸マンションを建築して土地活用をする場合、どのような建物にするかによって、建築コストは変わってきます。
当然、グレードを高くしたり、設備を充実させたりすれば、その分コストはかかりやすくなりますが、高い収益性を望むのであれば、より建築コストはかけるべきです。
もちろん、逆に少ない初期費用で、細々と利益を挙げるだけで満足という方は、前述した駐車場のように、それほど収益性は高くないものの、低コストで始められる方法を選びましょう。
転用性
3つ目の判断基準には、転用性をどれくらい重視するかという点が挙げられます。
相続した土地を活用し始めたのは良いものの、なかなか思うように利益が出ないということは、往々にしてあります。
そんなときのために、転用性の高い活用法、つまり別の方法に変更しやすい活用法を選んでいれば、収支をプラスに持っていける可能性はまだあります。
また、転用性を重視するのであれば、建物を必要とする賃貸経営などよりも、整備した土地のみで実施できる駐車場などを選ぶべきだと言えます。
周辺環境
4つ目の判断基準には、相続した土地周辺の環境がどうなっているかということも挙げられます。
例えば、以下のようなことを考慮するだけでも、適した活用法は変わってきます。
・都会の土地なのか、地方の土地なのか
・繁華街にあるのか、住宅街にあるのか
例えば、都会は賃貸需要が非常に多い一方で、地方はそれほど入居者が集まらない傾向にあります。
また、繁華街であれば、コインパーキング経営などが向いていますし、住宅街であれば太陽光発電や戸建て賃貸経営などが向いています。
土地そのもの
5つ目の判断基準には、被相続人から受け継いだ土地そのものの広さや形状、高低差などが挙げられます。
例えば、建物を建築するには少し狭い土地であっても、駐車場経営であれば実現できる可能性があります。
ただ、接道との間口が狭い場合、車の入出庫がしにくくなるため、駐車場としての需要はあまり高くないと判断できます。
また、あまり高低差の激しい土地の場合、いくら広くても駐車場としては使いにくいため、個性的な造りの賃貸物件を建設するなど、ある程度工夫しなければいけません。
等価交換について
冒頭で、相続した土地を居住用として使用しない場合は、土地活用か売却に選択肢が絞られるという話をしました。
ただ、実はこの他にも少し特殊な選択肢が存在します。
それが“等価交換”です。
これは、相続した土地を建築会社、あるいは不動産会社に売却し、その土地上に賃貸物件等を建築してもらうことで、土地価格に応じた賃貸物件の区分所有権を取得するというものです。
売却する土地は必ずしもすべてではなく、一部のみに限定することも可能です。
ローンを一切組むことなく、賃貸物件を取得できるところがメリットであり、一定の条件をクリアすれば、“立体買換えの特例”という税制上の特例を利用することができるため、譲渡所得税の支払いを繰り延べることも可能です。
一方で、減価償却費は低くなるため、所得税の節税効果は高くありません。
また、区分所有権を取得できるとはいえ、土地を手放すことには変わりないため、慎重に検討する必要があります。
まとめ
ここまで、相続した土地の活用方法における判断基準を中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
どの活用法が適しているのかについては、短期間で判断するのが難しいです。
よって、相続人の方は、あらかじめ被相続人と話し合い、ある程度受け継ぐ土地の特徴を把握したり、何を優先するのかを決めておいたりすることをおすすめします。