相続した事故物件はどのように処理すれば良いのか?
相続人の中には、被相続人から特殊な不動産を引き継ぐことになったという方もいます。
また、そんな特殊な物件の1つとして挙げられるのが“事故物件”です。
ここからは、事故物件の概要と、相続した事故物件の処理方法について解説しますので、興味がある方はぜひご覧ください。
事故物件の概要
事故物件は、“訳あり物件”や“いわく付き物件”とも呼ばれるもので、主に以下の4つの瑕疵(欠陥)を持っている物件を指します。
・物理的瑕疵
・法的瑕疵
・環境的瑕疵
・心理的瑕疵
特に上記の中でも、“心理的瑕疵”がある物件のことを事故物件というケースが多いです。
では、心理的瑕疵とは一体どんなものなのかを見ていきましょう。
心理的瑕疵とは?
心理的瑕疵とは、その場所で過去に発生した出来事にまつわり、通常人が嫌悪感を持つとされる瑕疵を指します。
例えば、以下のような出来事が発生した物件は、心理的瑕疵物件つまり事故物件として扱われることが多いです。
・事故死
・自殺
・他殺
・孤独死 など
つまり、被相続人が上記のような理由で亡くなった場合、相続人となる方は事故物件を相続することになるというわけです。
事故物件の主な処理方法について
相続した事故物件は、主に以下の3つの方法で処理することが多いです。
・居住する(活用する)
・売却する
・相続放棄する
居住する(活用する)
相続した事故物件に居住する場合、まず全面的なリフォームを行います。
そうしなければ、とても生活できるような状況ではないケースが多いからです。
また、被相続人が亡くなったことがわかっている物件に居住するというのは、いくら血がつながった相続人であっても抵抗があると思います。
よって、そのまま事故物件を残すことを考えるのであれば、リフォーム後に土地活用をするのも良いでしょう。
ただ、事故物件を賃貸物件として貸し出す場合、過去に自殺や孤独死等があったことを借主に伝えなければいけませんので、入居者は集まりにくいです。
そのため、土地活用を実施するのであれば、建物を取り壊し、告知義務がないコインパーキングなどを経営してみるのも良いかもしれません。
売却する
相続した事故物件を売却して現金に換え、複数の相続人で分割するというのも、一般的な処理方法の1つです。
しかし、売却する場合も賃貸と同じく、相手方に事故物件であることを告知しなければいけませんので、スムーズに売却できる可能性は低いです。
たとえ、清掃や工事をして見た目を綺麗にしても、事故物件だという事実が完全に消滅することはありません。
また、事故物件の清掃・工事には以下の3種類があり、それぞれ別々の業者に依頼しないといけないこともあるため、費用は高額になります。
リフォームの種類 |
概要 |
特殊清掃 |
遺体から発生する害虫駆除や腐敗臭の除去、消毒など |
ハウスクリーニング |
床やキッチンのカビ、油汚れの清掃など |
リフォーム |
外装の塗り直しや設備の変更、壁紙の張り替えなどの工事 |
よって、売却するのであれば、買い取り業者に依頼することをおすすめします。
買い取り業者の中には、事故物件の買い取りを専門に行っているところもあり、そのような業者が相手の場合は、スピーディーな売却が実現できます。
ただ、買い取り業者に事故物件を買い取ってもらう場合、買い取り価格はかなり低くなることが予想されます。
場合によっては、一般的な不動産(事故物件ではないもの)の半額程度でしか売れない可能性もあるため、そこは留意しておきましょう。
相続放棄する
相続した事故物件を処理するのが面倒だと感じる方は、相続放棄も検討しましょう。
相続放棄をすれば、その相続における権利は最初からなかったことになります。
ただ、相続放棄はマイナス財産だけでなく、プラス財産も放棄する行為です。
よって、被相続人が多額の預貯金を遺している場合などは、安易に放棄しないようにしましょう。
事故物件の相続税について
相続した事故物件については、どのように活用するか、どのように売却するかなどに気がいきがちですが、“相続税”のことも忘れてはいけません。
たとえ自殺や孤独死などがあった事故物件でも、相続時に発生する相続税は、通常の不動産と同じように課税されます。
これは、“相続によって得たすべての財産は課税対象である”と、相続税法第2条に定められていることが理由です。
事故物件の相続税還付とは?
かなり稀なケースですが。被相続人から不動産を相続し、相続税を支払った後に、それが後々事故物件と気付くこともあります。
この場合、税務署に申請すれば、相続税の還付を受けられる可能性があるため、覚えておいてください。
なぜなら、事故物件は通常の不動産よりも資産価値評価が低く、課税額が少なくなるからです。
まとめ
ここまで、相続した事故物件の処理方法を中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
事故物件は、お世辞にも簡単に処理できるものとは言えません。
相続した時点で、通常の不動産より複雑な手続きが増える可能性は極めて高いです。
ただ、活用や売却ができないわけではありませんので、安易に相続放棄をすることはおすすめできません。