不動産を相続しようとする被相続人の中には、遺言書を活用する方もいるでしょう。

遺言書があれば、特定の人物を相続対象にしたり、相続対象から省いたりすることができます。

しかし、内容によっては効果がなくなる可能性もあるため、注意しましょう。

ここからは、不動産相続の遺言書が無効になるパターンを見ていきます。

自筆証書遺言が無効になるパターン

その名の通り、被相続人本人が作成する遺言書のことを“自筆証書遺言”といいます。

また、不動産相続時、自筆証書遺言が無効になるパターンには、主に以下が挙げられます。

・パソコンで作成した場合
・レコーダー等で録音した場合
・押印がない場合
・日付が記載されていない場合
・作成日時が特定できない場合
・被相続人以外が作成した場合
・署名がない場合
・相続財産の内容が不明確な場合
・2名以上の共同で作成された場合
・遺言作成日ではない日付が記載されている場合

上記の中でも、特に注意すべきなのは以下のパターンです。

パソコンで作成した場合

財産目録については、パソコンでの作成が認められていますが、それ以外の部分は必ず被相続人が自筆で作成しなければいけません。

押印がない場合

完璧に自筆証書遺言を作成したにも関わらず、押印を忘れて無効になるというケースは少なくありません。

また、印は必ずしも実印である必要はなく、認印や拇印、指印でも同様の効果を発揮します。

日付が記載されていない場合・作成日時が特定できない場合

不動産相続時の自筆証書遺言には、必ず作成した日付を記載しなければいけません。

また、日付に関してもその他の記載内容と同じく、被相続人の自筆で記載する必要があります。

ちなみに、“令和〇年〇月吉日”というような記載をした場合も、作成日時が特定できないため、無効になってしまう可能性があります。

2名以上の共同で作成された場合

自筆証書遺言には、必ず被相続人が自筆署名を行いますが、このとき名前を書けるのは被相続人1人のみです。

例えば、夫婦2人が共同で遺言を作成し、2人で署名するというようなことはできません。

公正証書遺言が無効になるパターン

公正証書として、公証役場で保存してもらう遺言書のことを“公正証書遺言”といいます。

公証人に内容を伝え、それをもとに公証人が作成するため、被相続人が自筆で遺言書を各必要がありません。

ただ、以下のパターンに該当する場合は無効となります。

・公証人不在の状況で作成された場合
・証人になれない人物が立ち会って作成された場合
・公証人に口授せず、身振り手振りなどで内容を伝えて作成された場合
・証人が席を外している間に作成された場合

上記の中でも、特に気を付けてほしいパターンを詳しく見てみましょう。

証人になれない人物が立ち会って作成された場合

公正証書遺言の作成時は、公証人だけでなく、証人が2人立ち会う必要がありますが、以下に該当する人物は証人にはなれませんので、注意してください。

・未成年の方
・推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族
・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人

公証人に口授せず、身振り手振りなどで内容を伝えて作成された場合

“口授”とは、言語をもって陳述すること、口頭で述べることを意味します。

よって、身振り手振りや筆談などで自らの意思を示すことは、口授には該当しません。

ちなみに、被相続人の口が不自由な場合は、通訳人の通訳による陳述、自筆によって、これに代えることができます。

特別方式遺言が無効になるパターン

被相続人に死亡の危急が迫り、署名押印ができない状態の場合に、口頭で遺言を残し、証人が代わりに書面化する方式を“危急時遺言”といいます。

また、被相続人が一般社会との交通を絶たれ、普通方式による遺言ができない場合に認められている方式が“隔絶地遺言”です。

これらは“特別方式遺言”というものであり、なかなか触れる機会も少ないですが、もしこの方式で遺言を遺すことになった場合は、以下のパターンに当てはまると無効になってしまうことを考慮しましょう。

該当する方式

遺言の種類

無効になるパターン

危急時遺言

一般危急時遺言

・証人3人以上の立ち会いがない場合

・口授を受けて作成されていない場合

・口授を受けた証人が筆記した内容を、被相続人および他の証人に読み聞かせていない場合

・各証人の署名・印がない場合

船舶遭難者遺言

・証人2人以上の立ち会いがない場合

・証人の署名・印がない場合

隔絶地遺言

伝染病隔離者遺言

・警察官および証人1人以上の立ち会いがない場合

・被相続人以外が作成した場合

・被相続人、筆者、警察官および証人の署名・印がない場合

在船者遺言

・船長または事務員1人および証人2人以上の立ち会いがない場合

・被相続人以外が作成した場合

・被相続人、筆者、立会人および証人の署名・印がない場合

まとめ

ここまで、不動産相続時の遺言書が無効になるパターンを見てきましたが、いかがでしたでしょうか?

被相続人は注意しないと、知らず知らずのうちに効力のない遺言書を作成してしまう可能性があります。

自身の不動産を思惑通りに相続するため、そして相続人を混乱させないためにも、これらの知識は早めに吸収しておきましょう。