被相続人の不動産を相続人が引き継ぐのが通常の“相続”ですが、場合によってはこれが“争族”になることがあります。

読み方は同じですが、これらはまったく意味の異なるものであり、争族は相続人を苦しめる元凶になります。

ここからは、不動産の争族を避けるために、被相続人と相続人が心掛けることについて解説します。

“争族”の概要

家族や一族で被相続人の財産争いをすることを“争族”といいます。

基本的な読み方は“そうぞく”ですが、相続と区別するために“あらそうぞく”と読まれることもあります。

不動産は、簡単に相続人同士で均等に分けられる財産ではないため、争族が発生することも少なくありません。

不動産の争族を避けるための行動~被相続人編~

不動産の争族を避けるためには、まず財産を遺す側である被相続人の方が、生前から対策を取っておく必要があります。

具体的には、以下のような対策です。

・財産を見直す
・トラブルに発展しそうなポイントを整理する
・遺言を作成する

財産を見直す

被相続人の方は、自身の財産が原因で相続が発生しないように、まずはどのような財産があるか把握しておきましょう。

特に不動産を所有する場合は、財産価値のほとんどを不動産が占めるケースが多く、なおかつ分割もしづらいです。

そのため、争族を防ぐために、使用していない土地や建物は売却しておくというのも1つの手でしょう。

トラブルに発展しそうなポイントを整理する

前もって不動産を売却するなどして、財産を法定相続分で分けられるようにしておけば、争族発生のリスクは下がります。

しかし、各家族の状況によっては、それでも不公平になってしまう可能性があります。

例えば、以下のようなケースです。

・複数の相続人のうち、1人だけが親(被相続人)の介護をしていた
・1人だけ大学を卒業させてもらった
・1人だけマイホーム購入の際に資金援助を受けた など

1人で被相続人の介護をしていた相続人は、「自分が一番頑張ったのに、なぜ均等な相続なのか?」という不満を抱くでしょう。

また、資金援助を受けていない相続人は、「なぜ資金援助を受けている相続人も同じ額がもらえるのか?」という気持ちになり、納得いかないことが予想されます。 よって、被相続人は、それぞれの事情を踏まえた上で、争族が起こらない工夫をしましょう。

遺言を作成する

先ほど、被相続人はそれぞれの相続人の事情を踏まえた上で、争族が起こらないように工夫すべきだという話をしました。

その具体的な対策には、“遺言”の作成が挙げられます。

相続は、民法に従って進められますが、遺言が遺っている場合はその内容が優先されます。

つまり、遺言があれば、相続人は書かれた内容の通りに相続するだけであるため、争族は回避しやすくなるということです。

また、ただ単に遺言を作成するだけだと、その内容に納得しない相続人も出てくるかもしれません。

よって、被相続人は、なぜそのような内容になったのかという根拠について、別の書面に残しておくことをおすすめします。

不動産の争族を避けるための行動~相続人編~

続いては、不動産の争族を回避するため、相続人が行うべきことについて解説します。

具体的には以下の通りです。

・必ず全員で協議書を作成する
・顔を合わせて協議をする
・トラブルが起こる前に専門家に相談する

必ず全員で協議書を作成する

例えば、相続人がそれぞれ離れたところに住んでいる場合、1人の相続人から「相続手続きをするから、実印と印鑑証明書を送付してほしい」と言われる場合がありますが、他の相続人はこれに応じてはいけません。

なぜなら、応じてしまうと、遺産分割協議書が知らないところで正式な書類として成立し、まったく不動産を相続できない可能性があるからです。

もちろん、これが争族の引き金となってしまう可能性は高いため、どれだけ遠隔地に住んでいても、協議書は必ず相続人全員で作成しましょう。

顔を合わせて協議をする

電話や書面、メールやSNSなど、相続人同士が連絡を取り合う手段はいくらでもありますが、相続する不動産に関する協議は、必ず顔を合わせて行いましょう。

そうしなければ、言葉のニュアンスの認識違いや言い間違い、書き間違いなどにより、後々争族に発展してしまう可能性があります。

トラブルが起こる前に専門家に相談する

不動産相続において、1人の相続人がどれだけ冷静であっても、話し合う別の相続人の態度によっては、争族に発展しかねません。

よって、このような場合は、「このまま当事者だけで進めても、トラブルが起こりそう…」と判断されるタイミングで、早めに弁護士等の力を借りることをおすすめします。

まとめ

不動産の“争族”は、被相続人の準備不足や相続人の意識の低さなど、さまざまな原因で発生します。

また、一度争族が発生すると、最終的に問題が解決したとしても、その後の関係はギクシャクしてしまうでしょう。

円滑に不動産相続を進められるように、被相続人または相続人は、自身がやるべきことを早い段階で把握しておいてください。