被相続人が遺した不動産を、相続人が自身の所有物にするまでには、さまざまなステップを踏まなければいけません。

ただ、これらの手続きは、登記等の専門家である司法書士に任せることが可能です。

ここからは、司法書士に依頼できる手続きの内容と、手続きを依頼するべき相続人の特徴について解説したいと思います。

司法書士に依頼できる相続手続きの内容

今後不動産の相続人となる可能性がある方は、以下の相続手続きについて、司法書士に依頼できることを覚えておきましょう。

・相続登記
・抵当権抹消登記
・遺言の検認
・遺産分割協議書の作成
・相続放棄

それぞれ詳しく解説します。

相続登記

被相続人が亡くなり、相続が発生した場合に、不動産の名義を相続人に変更するための登記を“相続登記”といいます。

これは、法律上必ず実施しなければいけない手続きではありませんが、早めに不動産の権利を確定しておかなければ、後々相続人同士のトラブルが発生しやすいのです。

また、遺産分割協議書によって不動産を相続する場合は、原則相続登記を行わなければいけません。

なぜなら、法定相続分と異なる相続分の不動産を相続した場合、相続登記をしていないと、第三者に当該不動産の所有権を主張できないからです。

司法書士は登記のプロフェッショナルであるため、この手続きは当然依頼できます。

抵当権抹消登記

金融機関から融資を受ける際、不動産に設定された抵当権を抹消するための登記が“抵当権抹消登記”です。

抵当権は、住宅ローンを完済しても自然消滅しないため、この登記手続きで抹消しなければいけません。

また、相続人自身が抵当権抹消登記を行うとなると、申請書を自身で作成したり、登記識別情報や登記原因証明情報など、さまざまな書類を集めたりする必要がありますが、司法書士はこれらの手続きをすべて代行してくれます。

遺言の検認

被相続人が遺す遺言には、以下の3種類があります。

・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言

これらのうち、自筆証書遺言と秘密証書遺言については、家庭裁判所で状態の確認、保存をしてもらう必要があります。 この手続きを“検認”といいますが、相続人の方は申し立ての際、検認申立書の作成を司法書士に依頼できます。

遺産分割協議書の作成

すべての相続人が参加した遺産分割協議書において、合意に至った内容を取りまとめた文書を“遺産分割協議書”といいます。

相続人がこれを作成する場合、自らの手でひな形に相続財産の内容、取得する人物などを記載する必要がありますが、司法書士に依頼すれば、協議内容をもとにして迅速に作成してくれます。

相続放棄

被相続人が遺したプラスの財産、マイナスの財産の相続をすべて放棄することを“相続放棄”といいます。

また、この手続きを実施する場合、相続人の方は“相続放棄の申述”を家庭裁判所に対して行わなければいけません。 ただ、書類の作成はすべて司法書士に一任できるため、費用さえあればその部分の手間は省けます。

不動産相続を司法書士に依頼すべき人はどんな人?

以下の特徴を持つ相続人の方は、不動産相続において司法書士の力を借りるべきでしょう。

・手続きの時間が取れない人
・権利関係がややこしい不動産を受け継いだ人
・複数の不動産を相続した人

手続きの時間が取れない人

もっとも司法書士の力を借りるべきなのは、やはり不動産相続における手続きの時間が取れない相続人です。

不動産相続の手続きでは、役所や法務局などに足を運び、書類を集めなければいけないケースも多いですが、これらの窓口は基本的に平日しか開いていません。

よって、平日の行動がかなり制約されている方は、早い段階で司法書士に依頼しましょう。

権利関係がややこしい不動産を受け継いだ人

被相続人から受け継ぐ不動産の中には、権利関係がややこしいものもあります。

例えば、先代から代々受け継がれてきたような不動産は、旧民法を参照し、相続人を決定しなければいけないことも考えられます。

もちろん、不動産の歴史が長ければ長いほど、正しい相続の判断は困難になるため、このような場合は思い切って司法書士の力を借りましょう。

複数の不動産を相続した人

相続人の方が受け継ぐ不動産は、1つとは限りません。

例えば、被相続人が有名な資産家であった場合などには、複数の不動産を相続することも考えられます。

また、相続する不動産の数が多ければ、当然登記などの手続きは増えますし、それぞれの不動産が離れた位置にある場合は、手続きをする法務局も違ってきます。 このような状況で、相続人が自ら相続を完了させるのは困難であるため、早めに司法書士に相談することをおすすめします。

まとめ

ここまで、司法書士における不動産相続での役割、司法書士の力を借りるべき人の特徴を見てきましたが、いかがでしたでしょうか?

当然、プロに仕事を依頼するわけですから、司法書士の活用には費用がかかります。

ただ、後々トラブルが発生し、裁判にまで発展したり、不動産を相続できなかったりする可能性を考えると、依頼費など安いものです。