不動産の相続時には、時折“境界問題”が発生します。

これは、被相続人の方が不動産の境界に関して正しく管理していないことや、それに伴って相続人がトラブルに巻き込まれることを指しています。

今回は、不動産を相続する方(被相続人)が解決すべき境界問題について詳しく解説しましょう。

境界の概要

“境界”は、法的には不動産登記された土地の地番と地番の境目をいいます。

ただ、一般的には自身の土地と他人の土地との境目、または道路との境目を指すことが多いです。

不動産を相続する場合、この境界に関する管理が不適切だと、相続人に思わぬ負担を与えてしまうことになります。

そのため、今後不動産を相続する予定のある方は、生前のうちに境界問題を解消し、相続が滞らないようにしておかなければいけません。

具体的な境界問題について

先ほど、境界問題とは、被相続人の方が正しく管理していないことを指していると解説しました。

では、具体的にはどのような状態を指すのでしょうか?

相続前に解決したい相続問題には、主に以下のことが挙げられます。

・境界が明確でない
・土地の現況と登記記録の内容が異なる
・法務局にその土地の復元可能な地積測量図が備え付けられていない

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

境界が明確でない

境界が明確でない場合、相続人はトラブルに巻き込まれやすく、負担は大きくなってしまうため、被相続人の方は注意しましょう。

具体的には、以下のようなトラブルに繋がります。

・売却できない

不動産の売却時、買主が境界線確定後の実測面積での売買、および土地境界確認書を要求するケースは多いです。

そのため、境界がハッキリしないと、相続人は不動産を売却できなかったり、売るまでに時間がかかったりしてしまいます。

・分筆できない

共同で不動産を相続した相続人の中には、分筆してそれぞれの単独所有にしようと考える方々もいます。

ただ、このとき分筆登記を行うには、土地境界確認書が必要なため、被相続人は必ず境界をハッキリさせておかなければいけません。

・物納ができない

相続人の中には、相続税をすべて現金で支払えないことが理由で、土地の一部を“物納”する方もいます。

しかし、土地境界確認書が揃っていないなど、境界が明確でない不動産は“物納不適格財産”という扱いになるため、そのままでは物納に充てられません。

土地の現況と登記記録の内容が異なる

相続する不動産において、土地の現況と登記記録の内容が異なるという状況は、決して珍しいことではありません。

具体的には、“実測面積”と“公募面積”に誤差がある状態です。

実測面積は、名前の通り測量に基づいた不動産の面積をいい、簡単に言うと非常に正確な面積です。

一方、公募面積は、測量技術が未熟だったころに測量された面積の場合もあり、実測面積よりは若干信頼性に欠けます。

また、これらの面積が異なると、相続人が売買する際、買主と揉めてしまう可能性があるため、被相続人は前もって、双方の面積が同じであることを確認しておかなければいけません。

法務局にその土地の復元可能な地積測量図が備え付けられていない

土地の表示登記や分筆登記をする際に、土地家屋調査士が作成する書類を“地積測量図”といいます。

これは、正確な測量技術により、土地の面積、土地の形状が記載されている書類です。

ただ、不動産によっては、法務局にその不動産の復元可能な地積測量図が備え付けられていない場合もあります。

地積測量図は、相続人が不動産の分筆登記、表題登記、地積更正登記などを行う際に添付しなければいけないものであり、存在しないと相続人の負担は大きくなります。

また、不動産の境界杭が移動、亡失あるいは破損するなどして、境界が不明になった場合に、境界を復元するために用いられることもあります。

したがって、被相続人は生前のうちに地積測量図が備え付けられているかどうか調べ、もしないのであれば、土地家屋調査士に作成を依頼しなければいけません。

境界を確定できない場合は?

被相続人の中には、相続人のために境界を確定したいにも関わらず、隣地との意見が合わないことなどにより、難航しているという方もいるでしょう。

そんなときは、ぜひ“筆界特定制度”を活用するべきです。

これは、筆界特定登記官が、民間の専門家である筆界調査委員の意見を踏まえ、筆界の位置を特定するという制度です。

隣地の所有者の同意がなくても申請可能であるため、特に裁判などを行うこともなく、比較的スムーズに境界問題を解決できます。

また、実地調査や測量など、さまざまな調査結果から本来の筆界が明らかにされる制度であるため、これによって決まった筆界に対し、大きな不満を持つ隣地の所有者は少ないでしょう。

まとめ

ここまで、不動産相続時に解決しておくべき“境界問題”について解説しましたが、いかがだったでしょうか?

被相続人は、ただ単に相続人に不動産を遺すだけでなく、スムーズに相続できる、負担を軽減させられる状態で引き継いでもらえるよう、あらゆる準備をしておく必要があります。

また、その準備が早ければ早いに越したことはありません。