相続した不動産を売るべきなのは個人?買い取り業者?

相続した不動産をそのまま使用せず、売却するというケースは非常に多いです。
特に、自身の住まいから離れた場所にあったり、建物が古かったりする場合は、多くの相続人の方が売却を選択するでしょう。
では、相続した不動産の売却先として適しているのは、個人と買い取り業者、一体どちらなのでしょうか?
個人に売る場合のメリット
相続した不動産を個人に売るメリットとしては、“希望価格で売れる”ということが挙げられます。
具体的に言うと、個人の買主は、まさにその相続物件を「購入したい」と考えている方であり、市場の適正価格での売買が期待できるということです。
よって、少しでも高く売却したいという方は、不動産会社を介して個人に売却することをおすすめします。
個人に売る場合のデメリット

一方で、相続物件を個人に売る場合には、以下のようなデメリットもあります。
・買い手が現れなければ売れない
・契約不適合責任を負う
・費用がかかる可能性が高い
買い手が現れなければ売れない
個人に相続不動産を売る場合、まずは買い手を探すところから始まります。
しかし、売り出したからといって、すぐに興味を示す方が現れるとは限りません。
他に類似物件があったり、他と比べてあまり条件が良くなかったりすると、買い手探しが長期化することも考えられます。
また、売れ残った相続不動産はどんどん老朽化していきますし、“売れ残り”というイメージを持たれてしまうことにより、なおさら売れにくくなってしまいます。
契約不適合責任を負う
売却した不動産などの数量・品質が契約内容と適合しない場合、あるいは債務不履行の状態と判断される場合に、売主が買主に対して負う責任を”契約不適合責任“といいます。
これまで適用されていた“瑕疵担保責任”と比べ、売主の責任が発生する要件が拡大されている制度であり、もし売主に責任が発生した場合には、買主から以下の権利を主張される可能性があります。
権利 |
詳細 |
追完請求 |
改めて完全な給付を請求できる権利 |
代金減額請求 |
売主が追完を実行しない場合に代金減額を請求できる権利 |
催告解除 |
追完請求をしたにも関わらず履行されなかった場合に契約を解除できる権利 |
無催告解除 |
契約の目的が達成できない場合に契約を解除できる権利 |
損害賠償 |
契約不適合によって発生した損害を請求できる権利 |
費用がかかる可能性が高い
相続不動産の買主となる方は、その多くが居住用物件を探している方です。
ただ、相続した不動産の中には、建物の老朽化がひどく、とてもそのままでは人が住めないような状況のものもあります。
つまり、相続不動産の売却では、修繕・リフォーム費用がかかる可能性が高く、良い条件で売れたとしても、結果的にはあまり得ではないということです。
買い取り業者に売る場合のメリット

では次に、買い取り業者に相続不動産を売る場合のメリットを見てみましょう。
・そのままの状態で売れる
・買い手を探す必要がない
・トラブルが発生しにくい
そのままの状態で売れる
買い取り業者は、たとえ状態が良くない相続不動産でも、そのままの状態で買い取ってくれます。
つまり、売主は個人に売却するときのように、修繕やリフォーム費用を負担しなくても良いということです。
これは非常に大きなメリットだと言えるでしょう。
買い手を探す必要がない
買い取り業者に相続不動産を売却する場合、わざわざ買い手を探す必要がありません。
なぜなら、最初から買い手は買い取り業者と決まっているからです。
よって、「売りたくてもなかなか売れない」「気づいたら価値が下がっていた」という状況にはなりません。
トラブルが発生しにくい
買い取り業者は、不動産売買の知識を豊富に持ったプロフェッショナルです。
そのため、個人に売却するケースと比べてトラブルが発生しにくいです。
買い取り業者に売る場合のデメリット
相続した不動産を買い取り業者に売るデメリットとしては、やはり“売却価格が低い”ということが挙げられます。
買い取り業者は、スピーディーな売買を実現してくれるプロフェッショナルですが、そもそも不動産を買い取っているのは、あくまで再販売用の物件を獲得するためです。
そのため、買い取り業者からすれば、なるべく安い価格で買い、それよりも高い価格で再販売しなければ、利益を得ることはできないのです。
これが、買い取り業者への売却価格が安い理由です。
具体的には、個人への売買の8割程度の価格でしか売れないとされています。
ただ、「良い条件で売却したい」という気持ちよりも、「相続不動産を早く手放したい」という気持ちが勝っている方は、買い取り業者への依頼が向いています。
まとめ
相続した不動産は、そのまま活用するのか売却するのかを早めに決定し、売却するのであれば、買い取り業者に依頼することをおすすめします。
もちろん、状態が良ければ個人への売却を検討しても良いですが、なかなか買い手が見つからなければ価値が下がるというのは、どんな物件にも言えることです。
つまり、多少売却価格が落ちても、売れるうちに売っておいた方が良いということです。