消費することを目的としたお金を借り入れて、将来的に弁済することを約束した契約書です。金銭に限らず、消費する目的で何かを借り入れ、将来的に借りた分と同じものを同じ数だけ返却するという約束を消費貸借契約というのですが、そのうち金銭の貸借をする契約を特に金銭消費貸借契約といいます。

借用証書と似ているものであり、効力としても違いはありません。紛争の際は、どちらも証拠として扱われます。違いとしては、借用証書は借主が書類に署名捺印し、それを貸主に差し入れるので作成は1通だけということが多いのに対して、金銭消費貸借契約書は借主と貸主がそれぞれ1通ずつ保管するので、正本2通か正副2通という形で作成されることが多いのです。

この契約書は、主に消費者金融や銀行などの金融機関を貸主として、金銭を借りる際に締結されるものです。例えば、住宅ローンを借りる際はその金銭を住宅の購入に消費することが決まっているので、この契約に該当します。ただし、その際は購入する住宅に対して抵当権を設定して、金融機関に抵当として差し入れることが多いため、抵当権設定契約とまとめて契約書を作成するのが一般的です。その場合は、金銭消費貸借抵当権設定契約という名称になります。

個人間でも、この契約書を交わすことがあります。様々なケースがありますが、例えば現在住んでいる借地を購入する際、その名義を親ではなく子どもにするケースなどです。将来のことを考えて、最初から子どもの名義にするのですが、購入代金は親が出すとなると、それが贈与と見做されて贈与税が課税されることがあるのです。また、親子間でも金銭トラブルが起きるかも知れません。それを避けるために、契約書を交わしておくのです。ただし、この契約を結んでも、実際に返済が行われなければ実質的に贈与と判断されて、課税されることがあるので、契約を結んでも安心しないようにしましょう。

また、その金額が1万円を超える場合は、印紙税法上の課税文書として扱われるため、金額に応じた収入印紙を貼付する必要があります。貼付しなかった場合も契約書としては有効ですが、印紙税法違反として脱税に問われることになってしまいます。副本は、単なる控えとしてコピーしたものであれば収入印紙は不要ですが、個別に署名・捺印をしている場合は正式な契約書として扱われるので、こちらにも収入印紙が必要です。

その契約書に記載されている一般的な内容は、以下の項目です。ただし、必ずこれに限るものではないので、一部の項目が記載されないケースや、追加項目があるケースもあります。

それぞれの内容を、解説していきます。

・貸主と借主

誰が貸して、誰が借りたかを記載します。最初に貸主と借主それぞれに名前を記入し、契約書のそれ以降の文書上では単に貸主、借主として記載します。

・貸付日

貸付を行った日付です。西暦、年号のどちらで記載しても構いません。

・貸付金額

貸し付けた金額を記載します。

・貸付けの実行の方法

貸渡した、もしくは振り込んだなどが記載されます。それを受け取ったというところまで、契約書に記載されます。

・貸付け実行の前提条件

その資金を何に使うのか、ということが書かれます。消費を前提とした貸付なので、使途が明確でなければいけません。

・元本返済の時期・方法

弁済について、その支払い時期や支払い方法を記載します。分割での返済か、一括での返済かを記載し、分割であればその期間と毎月何日に支払うかも記載します。一括の場合は、何月何日に一括返済するということを記載します。

・利息の定め

利息を支払う場合、年何%の利率にするのかを記載します。また、その計算方法なども同時に記載することもあります。

・遅延損害金の定め

期限の利益を喪失した場合に、元本と利息の合計額に対してかけられる、利息とは別に支払うもの。年何%という割合で、遅れた日数分を日割りで計算します。

・期限の利益喪失事由

どのような状況が、期限の利益喪失理由に該当するかを記載します。主に破産、支払いの遅延などがあります。

・保証人、担保設定に関する定め

保証人や担保について、特に決まっている場合はそれを記します。

・借主の表明・保証

借主が、この契約の内容に依存がないことを証明するという内容の文書を記載します。

・借主のコベナンツ(財務制限条項など)

貸主にとって不利益となる事態が生じた際は、その契約を解除、もしくは条件の変更ができるという条項です。

・貸付債権の譲渡の可否・方法に関する定め

貸付債権について、別の人に譲渡することを認めるか、またその方法に特別なものがあるかを記したものです。

・貸主が複数の場合には、エージェントや意思決定に関する定め

複数の貸主が合同で資金を出し合った場合、その交渉の窓口が誰になるかを明記したものです。

・準拠法、合意管轄

どのような法律に基づいてこの契約を結んだかを明記したものです。また、紛争が起こった際は、どこの裁判所がその管轄とするかを、双方の合意の下で決定します。