不動産相続の際にかかる主な費用
不動産相続では、場合によっては数千万円、数億円という価値のある物件を手に入れることができます。
ただ、もちろん得られるものばかりではありません。
不動産相続には支出も数多く存在するため、今回はこれから相続をする方に向けて、主などんな費用がかかるのかについて解説したいと思います。
①相続税
不動産相続の際にかかる主な費用と言えば、なんと言っても“相続税”です。
これは、相続または遺言によって財産を取得した方が、取得した財産の金額に応じて支払う税金です。
以下の基礎控除額を超える額の財産を引き継いだとき、相続人に納付義務が発生します。
相続人の数 |
基礎控除額 |
1人 |
3,600万円 |
2人 |
4,200万円 |
3人 |
4,800万円 |
4人 |
5,400万円 |
5人 |
6,000万円 |
つまり、1人で被相続人の財産を3,600万円以上受け取った場合、2人で4,200万円以上受け取った場合などは、必ず税金を納めなければいけないということです。
また、相続税の額に関しては、上記の基礎控除額を超える金額に、以下の税率が適用されて決定します。
相続財産の金額 |
税率 |
控除額 |
~1,000万円 |
10% |
0円 |
1,000万円~3,000万円 |
15% |
50万円 |
3,000万円~5,000万円 |
20% |
200万円 |
5,000万円~1億円 |
30% |
700万円 |
1億円~2億円 |
40% |
1,700万円 |
2億円~3億円 |
45% |
2,700万円 |
3億円~6億円 |
50% |
4,200万円 |
6億円~ |
55% |
7,200万円 |
逆に、どれだけギリギリの額であっても、相続した財産が上記の基礎控除額内に収まっていれば、一切相続税は発生しません。
したがって、相続税は不動産相続の際、必ず発生する費用というわけではないのです。
②登録免許税
不動産相続の際にかかる代表的な費用には、“登録免許税”も挙げられます。
これは、不動産相続や売買に伴い、登記を行う場合に支払う税金をいいます。
また、一口に不動産登記といってもその種類は多種多様で、それぞれ少し登録免許税の計算方法が異なります。
・所有権移転登記(土地):評価額×2.0%
・住宅用家屋所有権保存登記(新築建物):評価額×0.4%
・住宅用家屋所有権移転登記(中古建物):評価額×2.0%
・抵当権抹消登記(住宅ローンの借入):借入額×0.4%
・相続登記:不動産評価額×0.4%
もちろん、不動産相続時の登録免許税は、上記のうち“相続登記”の計算式を用います。
このとき算出された金額のうち、100円未満は切り捨てられます。
ちなみに、相続登記をする際の登録免許税は、特定の条件をクリアすることで免除されます。
具体的には、以下のような条件です。
・土地の相続であること(建物は対象外)
・二次相続であること
・2021年3月31日までに登記申請を行うこと
・申請書に“租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税”と記載すること
③書類取得費用
不動産相続の際には、“書類取得費用”もかかります。
先ほど解説した相続登記を行う際は、さまざまな書類を集めなければいけませんが、これらは無料で取得できるものではありません。
必要書類の種類と取得費用は以下の通りです。
・被相続人、相続人の戸籍謄本:1通450~750円
・住民票の写し(相続人全員):300円程度
・登記簿謄本:480~600円
書類を集めるためにかかる費用は、上記の通り決して高額ではありません。
ただ、被相続人が何度も転籍していたり、相続人同士の協力が期待できなかったりする場合、書類集めは難航しますし、取得費用もかかりやすくなります。
また、遠隔地の役所に書類の交付を行う場合、郵便代あるいは交通費もかかります。
そのため、これらの費用がかかることは、必ず前もって把握しておきましょう。
④司法書士への報酬
不動産相続の際にかかる費用としては、“司法書士への報酬”も挙げられます。
相続登記は、相続人が責任を持って行うものですが、本人がすべて手続きするというケースは、決して多くありません。
ほとんどの方は、登記の専門家である司法書士に依頼します。
また、その場合は当然司法書士に支払う報酬が発生します。
相場としては、60,000~90,000円程度です。
ちなみに、被相続人や相続人、相続する不動産の状態によっては、この金額がさらに高くなる可能性があります。
具体的には、以下のようなケースで報酬金額が高くなることがあるため、覚えておきましょう。
・被相続人が複数人いる場合
・相続人が配偶者、子どもではなく、兄弟や甥・姪の場合
・相続人が5人以上いる場合
・不動産ごとの相続人が別の場合
・相続対象不動産を管轄する法務局が複数の場合
・不動産の個数が6個以上の場合
上記のケースで司法書士報酬が高くなりやすい理由は、司法書士が行う手続きの手間が増えるからです。
つまり、手間がかかる相続登記の依頼をするほど、報酬は高くなるというわけです。 もちろん、相続登記だけでなく、遺産分割協議書の作成なども一緒に依頼する場合も、トータルの報酬は高くなります。
まとめ
ここまで、不動産相続の際にかかる主な費用を見てきましたが、いかがでしたか?
相続の経験がない方には、「こんな費用もかかるのか!」という新しい発見もあったかもしれませんね。
不動産相続は決して簡単な手続きではないですし、場合によっては体力も時間もかかるものであるため、費用のシミュレーションに関しては、なるべく早めに行っておきましょう。