そもそも相続税ってなに?
不動産相続に関係する代表的な税金といえば、なんと言っても“相続税”ですよね。
ただ、これまで相続の経験がないという方の中には、相続税がどのような税金なのかについて、イマイチピンと来ていない方もいるのではないでしょうか?
ここからは、相続税に関することを余すことなく解説していきたいと思います。
相続税の概要
被相続人(亡くなった方)から財産を受け継ぐ際、その財産の金額に応じて、相続人(受け取る方)に課税される税金を“相続税”といいます。
具体的には、財産の金額が以下の“基礎控除額”を超えた場合に申告・納付義務が発生するもので、法定相続人の数によって、基礎控除額は変化します。
法定相続人 |
基礎控除額 |
1人 |
3,600万円 |
2人 |
4,200万円 |
3人 |
4,800万円 |
4人 |
5,400万円 |
5人 |
6,000万円 |
例えば、法定相続人が1人で、受け継いだ財産の総額が3,000万円である場合、基礎控除額の範囲内となるため、相続税はかかりません。
ちなみに、“法定相続人”とは、民法で定められた相続人のことをいい、以下のように相続を受ける優先順位が定められています。
・第1順位:子、配偶者または直系卑属(孫、ひ孫等)
・第2順位:直系尊属(父母、祖父母等)
・第3順位:兄弟姉妹もしくはその配偶者、子(甥、姪)
下位順位にあたる方は、上位順位の方が被相続人より前に亡くなっていたり、相続放棄をしたりしない限り、相続権を得ることはありません。
どれくらいの金額がかかる?
被相続人から受け継ぐ財産の総額から、前述の基礎控除額を差し引いた“課税対象額”に対し、以下の税率をかけることで、相続税額は求められます。
課税対象額 |
税率 |
控除額 |
1,000万円以下 |
10% |
0円 |
3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
1億円以下 |
30% |
700万円 |
2億円以下 |
40% |
1,700万円 |
3億円以下 |
45% |
2,700万円 |
6億円以下 |
50% |
4,200万円 |
6億円以上 |
55% |
7,200万円 |
課税対象額が少なければ少ないほど、税率は低くなりますが、その代わり控除される金額も低くなります。
例えば、5,000万円の財産を1人で相続した場合の課税対象額、相続税は、どれくらいになるのか見てみましょう。
・課税対象額:5,000万円-3,600万円=1,400万円
・相続税:1,400万円×15%-50万円=160万円
相続税の課税対象について
相続税の課税対象になるのは、前述の通り被相続人の財産ですが、すべての財産に課税されるというわけではありません。
対象になるもの、ならないものを表にまとめましたので、参考にしてください。
・対象になるもの
ジャンル |
詳細 |
不動産 |
土地(宅地、山林、農地、借地権等の権利等)、建物(駐車場、倉庫、借地権等も含む) |
金融財産 |
現金、預貯金、株式、投資信託等 |
その他 |
車、家具、ゴルフ会員権、リゾート会員権、貴金属、入院保険金、その他権利等(著作権、商標権、特許権等) |
・対象とならないもの
ジャンル |
詳細 |
祭祀承継されるもの |
墓地、墓石、仏壇等(骨董価値がある高額なもの等は課税される可能性あり) |
死亡保険金 |
500万円×法定相続人で計算された金額までは課税対象外 |
死亡退職金 |
500万円×法定相続人で計算された金額までは課税対象外 |
相続税の支払い方法について
※相続税は、原則申告期限10ヶ月以内に、原則現金で一括納付をする必要があります。
ちなみに、この申告期限は、相続が発生したことを知った日、つまり被相続人が亡くなった日の翌日から計算されます。
支払い場所は管轄の税務署ですが、金融機関の窓口、一定条件下ではコンビニ支払いも可能になります。
現在はインターネットを利用したクレジットカードで納付する手続きが始まっていますが、これには決済手数料等がかかるため、なるべく金額を抑えたいのであれば、やはり現金で支払うことをおすすめします。
また、クレジットカードでの納付は、金額が1,000万円未満でなければいけません。
申告しなかったらどうなる?
先ほども解説したように、相続財産の金額が基礎控除額を上回っている場合には、相続税の申告をしなければいけません。
このとき、申告が必要にも関わらず怠ってしまうと、本来支払うべき相続税の金額と併せて、以下の税金を支払うことになります。
・無申告加算税
これは、申告期限を過ぎても申告しなかった場合に、納付義務が課されるものです。
相続税額のうち50万円以下の部分、50万円以上の部分に対し、最大で15%、20%の税率が適用されます。
・延滞税
名前の通り、期限までに納付しなかった場合に課される税金です。
期間が延びれば延びるほど、その金額は大きくなります。
・重加算税
特に悪質な無申告、未納等に課される税金です。
例えば、相続財産を隠したり、証拠書類を書き換えたりして、不当に課税を逃れようとした場合等に課されるものですね。
相続税額の40%の金額という、非常に負担の大きい税金のため、数千万円単位になることも十分あります。
まとめ
ここまで、相続税の概要や詳細について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
相続税には、覚えておかなければいけないルールがたくさんあります。
したがって、これから相続を受ける可能性がある方は、必ず知識を身に付けておきましょう。
もちろん、配偶者や子を持つ方も、いずれは自身が被相続人となることを考えて、相続人への意識付けを行っておくべきです。