不動産売買・投資

不動産投資において重要な“修繕”に関するあれこれ

不動産を購入し、不動産投資を行う場合、必要な“修繕”を適宜行わなければいけません。
修繕の知識がなければ、順調だった不動産投資が急に下降線を辿ってしまうこともあります。
今回は、そんな不動産投資において重要な修繕に関するあらゆることを解説したいと思います。

不動産投資における修繕は必要不可欠なもの

不動産投資をするにあたって、オーナーが意識しなければいけないことの1つに、物件の資産価値の維持、または向上が挙げられます。
不動産投資は、なるべく空室を出さず、毎月安定した賃料収入を得ることを目的に行うものですが、物件購入後の修繕を行わない場合、資産価値の維持や向上は難しくなり、その結果、入居者は徐々に離れていってしまいます。
もちろん、常に規模の大きい修繕を行う必要はありませんが、日々あらゆる部分を点検し、修繕をコンスタントに実施すれば、空室が出るリスクは抑えられます。

不動産投資における修繕は、必ずオーナーがすべきことなのか?

不動産投資における修繕は、原則オーナーに実施すべき義務があります。
なぜなら、民法において、“不動産投資におけるオーナーは、賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負う”と記載されているためです。
賃貸借契約に特約が設けられている場合、すべての修繕義務をオーナーが負わないこともありますが、建物や設備自体の修繕に関しては、特約の有無に関わらず、基本的にオーナーが修繕しなければいけないと考えておきましょう。

不動産投資における修繕には費用がかかる

不動産投資における修繕には、当然修繕費用がかかります。
また、細かい修繕であれば、そこまで莫大な費用がかからないこともありますが、外壁や屋上の工事など、規模が大きい修繕に関しては、数百~数千万円単位の費用がかかることもあります。
そのため、オーナーは、大規模な修繕に備えて、計画的に費用を蓄えておかなければいけません。
ちなみに、集合住宅の一室を購入して不動産投資をする場合は、管理組合に対して“修繕積立金”というものを支払います。
これは、その集合住宅において行われる修繕に充てられる費用であり、管理会社から手渡される修繕計画に基づいて使用されます。

不動産投資用物件における修繕の項目について

不動産を購入し、10年以上所有している場合、規模の大きい修繕を実施しなければいけない可能性が高いです。
その際の主な修繕項目は、以下の通りです。

①屋上
不動産を購入し、13年程度経過すると、屋上の防水工事を実施しなければいけません。
これは、漏水事故を防止すること、そして雨水が浸水することによって、建物が劣化するのを防止することを目的としています。
ちなみに、漏水事故には、感電や火災などが挙げられます。

②外壁
不動産の所有が12~13年を超える場合、外壁の修繕もしなければいけません。
具体的には、耐用年数を延ばすために、外壁に塗装を施します。
また、亀裂やサビなどが見つかれば、それも修繕する必要があります。

③床
集合住宅の廊下、階段、ベランダの床など、普段雨水で濡れている部分の修繕工事(防水工事)は、不動産を購入してから12~13年で実施する必要があります。

④鉄部
集合住宅の共有部分における鉄部(手すり、鋼製の扉、メーターボックス、玄関ドア枠など)のサビ落とし、塗装は、5~10年に1度程度のペースで行います。

⑤給水設備、排水設備
給水管、または排水管は、25年に1度程度で交換する必要があり、修繕も定期的に行います。
特に、排水管が壊れてしまうと、排水が漏れたり、逆流したりする可能性があり、建物の甚大な被害を与えるため、注意しなければいけません。

⑥ガス、電気設備
ガス設備は、給水管や排水管と同じく、物件所有から約25年で交換します。
また、建物内の照明などの電気設備は、修繕するというよりも、電球が切れていないかなどをこまめにチェックし、切れている場合はなるべく早めに交換します。

⑦消防設備
火災報知器を始めとする消防設備は、定期的に点検し、20年に1度くらいのペースで修繕しなければいけません。
ただ、災害が発生したときに機能しなければ意味がないため、上記の年数を経過していなくても、修繕が必要であればすぐ修繕しましょう。

⑧エレベーター
エレベーター本体の交換は、30年に1度程度の周期で行います。
ただ、エレベーターの内装や照明に関しては、数年に1度は交換するようにして、資産価値を維持しましょう。
機能的には問題がなくても、あまりにみすぼらしい見た目のエレベーターになってしまうと、資産価値は維持できず、入居者が離れたり、集まらなかったりする可能性が高くなります。

⑨その他の項目
その他の修繕項目には、掲示板、集合ポスト、物件入口のドアなどが挙げられます。

不動産投資をする場合は、これだけの項目に対する修繕の意識を持っておかなければいけないのです。

不動産投資用物件では、“水回り”の修繕も重要

不動産投資用物件における修繕項目としては、“水回り”も忘れてはいけません。
具体的には、各住戸の台所、浴槽、トイレなどを指します。
これらの設備が故障してしまうと、漏水が発生し、それが原因で建物が資産価値を下げやすくなってしまいます。
また、故障した場合にかかる修繕費用が非常に高いため、壊れないように適宜修繕を加えていく方が、よっぽど支出は減らせるでしょう。
もちろん、集合住宅の一室で不動産投資を行う場合、水回りの修繕を怠ると、他のオーナーが所有する部屋に被害が拡大するおそれもあります。

不動産投資を始める前に修繕費用を試算しよう

不動産投資を始める前には、当然不動産の購入費用、家賃収入などに関する試算を行いますが、その際には、修繕費用の試算も忘れないようにしましょう。
修繕費用は、ときに想像を遥かに超える金額になることがあります。
そのため、しっかり資金計画を立てておかなければ、資金繰りに苦しんでしまう可能性が高いです。
また、不動産投資用物件を購入する際は、その不動産投資用物件の管理組合に対して、修繕計画の有無について問い合わせましょう。
新築の不動産の場合、竣工時に管理組合が結成され、修繕計画を提案してくれることが多いですが、中古物件の場合は、修繕計画が存在しないこともあります。
修繕計画が存在しないと、修繕を行おうとしたときに費用が足りなかったり、その費用でできる範囲の中途半端な修繕になってしまったりする可能性があるため、注意が必要です。

修繕費用が適切かどうかのチェックも欠かさずに

購入しようとする不動産投資用物件に、修繕計画が存在するからといって、まだ安心してはいけません。
なぜなら、そのとき管理組合が提案する修繕計画の内容が、果たして適切なものなのかどうかは、これから不動産投資を始める方が判断できることではないためです。
そのため、修繕計画があることがわかったら、すぐに管理会社や不動産会社に相談し、内容が適切なのかどうかを確認しましょう。
腕の良い管理会社や不動産会社であれば、その修繕計画に妥当性があるかどうかを、スムーズに判断してくれます。

まとめ

ここまで、不動産投資において重要な“修繕”について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
不動産投資を始めて行う方の中には、修繕費用に関する計画をしっかり立てておらず、いざ修繕が必要になったときに苦労する方が多くいます。
また、管理会社に一任して不動産投資を行うという方であっても、必ず修繕計画の有無や内容は確認しておく必要があります。

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