地主様が所有していて、賃貸借契約を結んでいる土地のことを、地主様から見た場合は底地といいますが、その土地の価格を計算する時の方法は、通常とは異なります。
何らかの事情でその土地を整理することになった時に、思っていた評価額と実際の評価額が大きく異なっていて戸惑うようなことがないように、あらかじめ適正な評価額について知っておきましょう。

どう評価される?

一般的に、土地の評価額の参考となるのが、相続税評価額です。
これは国税庁が定めた評価のことで、路線価ともいわれ、どの道路に接しているかによって土地の価格が決まるという評価方法です。

この方法で示されている価格は、更地価格です。
その価格から、地域ごとに定められている借地権割合というものを差し引いたものが、底地の評価額となります。
それが60%となっていれば、その価値は本来の40%として計算するのです。

土地の価値が低く評価されているのは、その土地の価値そのものが下がっているせいではありません。
ただ単に、その土地に対する権利がどの程度あるのか、ということを決められた割合に応じて計算しているだけなのです。

その割合は地域によって異なるのですが、おおよそ都市部になるほど高くなる傾向があり、また住宅地よりも商業地のほうが高いことが多くなります。
都市部では、それがほとんどの場合60%から70%となっているので、その価値は本来の30%、もしくは40%程度となります。

国税庁は、土地を実際に取引するわけではないので、どのような土地であっても価値を付けます。
ただその価値は確実なものではなく、土地を担保として融資を行う銀行にとっては、同じ土地に対しても評価が異なってきます。

銀行では、基本的に底地を担保として認められることがありません。
つまり、銀行の融資を受けるための担保としたい場合でも、その評価額は実質的にゼロ円として扱われることになるので受け付けてもらえないのです。

何故かといえば、その土地は実際に利用することができないからです。
底地というのは、誰かが借地権を持っていてその土地に建物を建てている状態です。
そのため、自分の土地でありながらも実際には利用できない土地となっています。

不動産取引が行われる市場においても、そのような土地は一般の市場で取引が行われることはなく、またそのまま売却したとしてもそれほど高く売れるようなことはまずありません。
そのため、融資の返済が滞った時にその土地を差し押さえたとしても、融資額を保証できるものではないと判断されるので、その担保価値はゼロと見なされてしまうのです。

それでは、最もその価値を高く評価してくれる相手とは、いったいどのような相手なのでしょうか?
それは、借地人様です。

底地におけるネックとなるのは、地主様が持っている権利とは別に借地権があるという点です。
一般の人にとっては、それが邪魔となるのでまっとうな価値を認められない、ということになるのですが、借地人様にはその問題がないからです。

なぜかといえば、その権利を持っているのが借地人様本人だからです。
借地人様にとっては、あくまでも借りている土地なので自分の住む土地が自分のものではない、という状態になっているので、地主様からその土地を買い取ることができるというのは、大きなメリットとなるのです。

家を建てた当初は、土地を買うほどのお金がないために仕方なく土地を借りていたものの、その後買い取るだけの資金を貯めることができた、という借地人様は少なくありません。
このような理由から、底地を売却したいと考えた時には、まずその土地に住んでいる借地人様に話を持ち掛けてみるべきでしょう。

底地はどうやって評価したらいい?

全ての土地には、国税庁が定めている相続税評価額があるのですが、実際の価値についてはそれ以外にも、不動産鑑定評価基準が用いられます。
これは、不動産鑑定士が主に用いています。

国税庁が定めによる評価は、あくまでもどの道路に面しているかという点と、土地の広さが基準となっているため、その土地の分類や実際の形状などは考慮していません。
しかし、実際には分類や形状によって土地の使いやすさなどが変わってくるため、大きくその価値に影響してくるのです。

そこで、実際の土地の状況に応じて正確な価値を評価するのが不動産鑑定士の仕事ですが、その際には不動産鑑定評価基準にのっとって価値を算出するのです。
大別すると、土地の価格その者に関する基準と、賃料に関する基準の2つに分けられます。

底地を評価する場合には、主に3つの方法で評価額が決定されます。
その3つを組み合わせて、一方ではなく様々な観点からその価値を測り、評価することになるのです。
それでは、3つの方法について簡単に解説していきます。

まず、現在建物が存在している敷地に対して、その建物を撤去してから再び建物を建てた場合にかかる費用から、元々存在していた建物の経年劣化によって減少した価値を差し引いて算出するという方法のことを、原価法といいます。

この方法は、主に一戸建てを中心とした居住用の不動産の価値を算出するために用いられるのですが、底地の価値を評価する際に用いられるケースもあります。
必ず用いられるというわけではないので、その点は覚えておきましょう。

土地それぞれに価値を評価するのではなく、周辺にある条件の近い土地の取引事例をいくつか参照し、その平均的な価格を算出する方法を、取引事例比較法といいます。
なるべく同様の事例を選んで、土地の広さの比率をその取引価格にかけ合わせます。

実際には、まったく同じ条件の土地というのは存在しないので、広さに合わせた価値を算出してから土地の形状や道路に接しているかなどの条件を考慮して、その価値を増減させることになります。

現在、その土地で賃料などがどのくらいあり、将来的にはどのくらいになるのか、という収入を算出し、その収入から底地の価値を推し量る方法は、収益還元法といいます。
主に、事業用や賃貸用の不動産に対する価値を算出する場合に用いられます。

基本的には、この3つの方法を用いて算出することになりますが、場合によってはさらに違う方法が用いられることもあります。
このような価値を算出して、その内容をまとめた書類のことを、不動産鑑定書といいます。

この書類が必要とされるのは、主に地代の増額請求を決める調停の時や、底地に関する相続が裁判にもつれ込んだ時などです。
その場合、これは公的な効力を持つ書類として扱われることになります。

また、裁判となった際には、裁判所が和解を勧めてくることもあるのですが、その際に和解案を作成する時にも、この書類が和解案の合理性を保証するものとなります。
ただし、これも実勢価格とは異なる場合があるので注意しましょう。

まとめ

地主様が保有する底地に対する適正な評価額について考えた場合、それは通常の土地とは大きく異なります。
国税庁、銀行、そして不動産鑑定士それぞれに算出する価値は違ってくるため、どのような用途で価値を算出しようとしているのかを考え、それに応じた方法で調べる必要があります。
また、銀行にとって底地は基本的に価値のないものとして扱われるので、底地を担保にして融資を受けるというのは難しい、ということを覚えておきましょう。