地主様が亡くなった時、相続する財産としては不動産が多いでしょう。
しかし、不動産には他の財産とは異なる特有の問題点などもあるので、相続の際に戸惑うことも少なくありません。
不動産を相続する時に備えて、基本的な知識を知っておきましょう。

不動産は分割しづらい

まず、不動産を相続するときにはトラブルとなる事が多いのですが、その理由となるのが不動産は分割しての相続が難しいという点にあります。
具体的に、どのようなシチュエーションが考えられるでしょうか?

まず想定されるシチュエーションとして、相続する主な財産が自宅であり、相続するのが子ども2人、もしくは3人というケースです。
この場合、自宅をそのまま平等に分けるというのはかなり難しいでしょう。

かなり広い敷地であれば、分筆することで分けることもできますが、自宅の土地が分割しても十分な広さを持っている、というケースは滅多にありません。
普通の家庭では50坪以下の広さしかないことも珍しくありませんが、例えばそれを2人で分割して1人20坪程度の土地を相続したとしても、満足のいく広さとは言えないでしょう。

また、あまりに狭い土地の場合は、利便性が低くなるために坪単価よりも土地の価格は低くなりやすく、また購入するという人もなかなかいないでしょう。
土地を分筆してしまうことで、扱いが難しくなってしまうのです。

複数の相続人で土地を共有するということも可能なのですが、それは問題の解決ではなく先送りにしかならないでしょう。
もし共有を続けている状態で相続が発生してしまうと、共有する人数がさらに増えることとなってしまいます。

また、共有している土地を売却しようと思った場合は、土地を共有している人が全員同意しなくてはいけません。
誰か一人でも反対すれば売却できないので、たとえ処分しようと思っても簡単にはできないでしょう。

それなら、自宅の他にも不動産があり、相続人の人数と同じ件数であれば問題は無いのかといえば、そういうわけではありません。
不動産の条件が異なるためです。

土地の価格は、もちろんその土地によって異なっていますが、そこに建物の価値も考慮した場合は、築年数によっても異なってきます。
また、相続税評価額では土地の価格が同じだったとしても、実際にその土地を売買する際の価格はまた異なるので、同じ価値とは言い難いでしょう。

一見すると平等に見える場合でも、実際の価値はまた異なっているので、その違いがトラブルへとつながる場合もあるのです。
このように、不動産というのは相続の際に分割するのが難しいものとなっています。

不動産の価値は一定ではない

また、不動産の価値というのは一定ではないので、その価値についてどう判断するか、ということでトラブルになることもあります。
不動産の価値は、どのように決められるのでしょうか?

通常、財産とされるものの中でも現金はその価値に悩む必要がなく、また上場株式等の有価証券も、その価値は変動こそあるものの明確になっているので、金融資産としての評価は一定となります。

しかし、不動産の場合はそもそもその価値が一物四価とされていて、1つの不動産に付けられる価値が実際に取引される実勢価格、公示によって示されている公示価格、路線価を基にした相続税評価額、固定資産税の基準となる固定資産税評価額と、4つに分けられているのです。

相続税は、その財産を評価する基準となるのが時価とされていて、不動産の場合は面している道路を基準として価値を決める、路線価によって決められます。
この路線価というのは、都道府県地価調査という、各都道府県知事が実施して決定している地価に基づく実勢価格とはまた異なります。

路線価のおおよその価格は、一般的に実勢価格の8割前後が水準とされています。
つまり、路線価に従って価値を算定してしまうと、実際に売買される金額である実勢価格よりも安い価値と見なされてしまうのです。

ただし、この実勢価格は必ずしも路線価より高いとは限りません。
その土地の状況によっては、実勢価格の方が安くなることもあります。
正確な価値を算出するには、不動産ごとに評価をするしかありません。

評価をする際の基準となるのは路線価ですが、その価格に土地の形状や、道路への接し方など土地に関する色々な要素を考慮した上で、実際の価値が決まります。
やり方としては、国税庁にその基本通達があり、その中で定められています。

ただし、この評価というのはあくまでも大まかなものであり、評価する人が異なればその価値も異なってきます。
そのため、正確な価値を算出するには不動産鑑定を行いましょう。

最終的な土地の価格は、自分で決めることができます。
例えば、土地の評価額が5,000万円だったとしても、その土地に1億円の価格をつけても、また1,000万円にしても、それは自由なのです。

不動産の価値というのは、あくまでも相対的なものなので、絶対ということはありません。
そのせいで、不動産の価値評価は非常に難しくなっています。

不動産の換金は難しい

最後に、不動産というのはいざ換金しようと思っても、すぐには換金できないということを覚えておきましょう。
特に、相続税を支払う必要がある場合には、急いで換金して税金を納めなくてはいけないこともあるので、換金速度は重要となります。

急いで換金しようと思うと、その土地の評価額よりもかなり安い価格で売却しなくてはいけなくなるかもしれません。
場合によっては、相続税を支払ったら手元にはほとんど資金が残らない、ということもありえます。

また、通常は不動産を売却する時には不動産業者の仲介で買い手を探すことになるのですが、急いでいる場合は不動産業者に買い取ってもらうことになります。
しかし、土地によっては不動産業者からも買取りを拒否されることがあるので、確実に換金できるとは限りません。

相続税は、納付期限が10か月以内となっているので、葬儀の後で色々な手続きをしているとあっという間に期限が近づいてきます。
その頃から売却手続きを慌てて初めても、間に合わないことが多いでしょう。

相続税を納めるのが困難な場合は、物納という選択肢もあるのですが、最近ではあまり認められることが無くなってきたので、売却が難しい土地を相続して相続税の支払いが困難なケースでは、借金をしたり自宅を売却したりすることで相続税を納付するということもあります。

中でも、底地は特に換金が難しい不動産とされています。
所有している土地を誰かに貸している場合は、相続人が困らないように生前から対策をしておくことが大切になります。

どのような対策をすればいいのか分からない場合は、底地や借地を専門にしている業者へと相談してみると良いでしょう。
相続時のトラブルを避けるために、きちんと準備しておきましょう。

まとめ

相続において、不動産の扱いというのは難しくなることが多いものです。
不動産は、分割して相続するのが難しく、またその価値も相対的なものとなるので評価が難しく、換金したくてもすぐにはできないので、相続する財産として相続人が複数いるとトラブルになることも多く、また相続税の支払い時に困りやすいのです。
底地として誰かに貸している土地は、換金するのが特に難しいので、相続人が困らないように生前から対策をしておきましょう。

 

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