相続税の電子申告が可能に!そのやり方とメリットは?
近年、一部の税金をインターネット上で申告できる、電子申告が開始されています。
これが可能な税金は徐々に増えているのですが、2019年10月からは相続税も電子申告が可能となることが予定されています。
そのやり方と、電子申告によるメリットについて考えてみましょう。
電子申告とは?
電子申告については、聞いたことがあるけれど詳しくは知らない、という人も多いでしょう。
国税の申告をインターネット上で行うことができるサービスであり、これをe-Taxともいいますが、その詳しい内容についても解説していきます。
これまでの確定申告とそれに伴う税金の申告は、すべて書面で行われるものでした。
そこに、新しい選択肢として登場したのが、電子申告です。
新しく選べるようになったというだけなので、もちろんこの方法を強制されることはありません。
電子申告を行うためには、まず電子証明書が必要となります。
この証明書は、マイナンバーについてくる形で発行することができるので、マイナンバーカードを発行する際に電子証明書を付けるかどうかを選ぶことができます。
電子証明書を付けた場合でも、見た目では何の違いもありません。
しかし、カードの中にはきちんと電子証明書が搭載されているのです。
すでに電子証明書がついていないマイナンバーカードを発行している場合でも、初回は無料で発行することができます。
マイナンバーカードを所有していなくても、役所でIDとパスワードを発行することで認証することも可能となっています。
カードを発行する場合は多少の時間がかかるので、申告期限が近い場合はこちらの方がいいかもしれません。
自宅にあるパソコンから申告することになりますが、パソコンが古い場合はe-Taxに対応しているかどうか、というところから確認する必要があります。
必要なスペックについては、国税庁のホームページで確認できます。
申告をする際は、マイナンバーカードを読み込むためのICカードリーダーを用意しなくてはいけません。
配布などはされないため、必ずe-Tax対応となっていることを確認した機種を自分で用意しましょう。
現在、申告が可能な税金は贈与税以外にもいろいろとありますが、すべての税金に対応しているわけではないので注意してください。
また、相続税の場合は相続人が連名で申告するという点と、提出する書類が多かったという点で対応が難しかったようです。
相続税はまだ手続きを開始していないので、参考として贈与税のやり方を見てみると、申告も電子申告が可能なのですが、e-Taxのダウンロード版ソフトでは対応していないため、ホームページ上からの手続きが必要でした。
また、添付ファイルはPDF形式で提出します。
ただし、届出書などは電子データでの提出が可能なので、その場合はPDFでの提出はできないため、注意してください。
どんなメリットがある?
税金の申告方法がどんどんと電子申告に切り替わっていますが、そこには何らかのメリットがあるのでしょう。
どんなメリットがあるのでしょうか?
まず、メリットとして一番大きいのが、時間や場所を気にせず申告できるということです。
毎年、申告の時期になると税務署には多くの人が集まり、長い時間並ぶことになりますが、電子申告なら自宅から手続きが可能となり、いつでも手続きできます。
確定申告であれば、申告期間が開始する1か月前からサイトを利用できるようになっているため、落ち着いて準備できるでしょう。
何か足りないものがあっても、いちいち出直さなくていいというのは大きな利点になると思います。
また、医療費控除など特に申請が必要なものがある時は、その領収書や源泉徴収票、本人確認書類等の添付書類を提出する必要があるのですが、電子申告の場合は提出しなくても問題ありません。
その代わり、該当する書類には5年間の保管義務が生じます。
電子申告は、通常の書類よりも税務署で処理する際にかかる手間がかなり少なくなるので、その分早く還付を受けることができるというメリットもあります。
多少前後はするものの、およそ3週間で還付されることになります。
申告だけではなく、納税もインターネット上からできるという点もメリットです。
いちいち銀行などの金融機関に行かなくても、インターネット環境さえあればオフィスや自宅など、場所を選ばずに納付の手続きが可能です。
その際は、インターネットバンキングから納付するか、もしくはあらかじめ口座を届け出て振替をする必要があります。
また、その場合は領収書が発行されないので、もしも領収書が必要な場合は電子納税ではなく、納付書を窓口に持参して手続きをしなくてはいけません。
電子申告には、このように様々なメリットがあります。
デメリットもある?
様々なメリットがある電子申告ですが、デメリットや問題点などもあります。
電子申告のデメリットや問題点としては、どのようなことが考えられるのかを知っておきましょう。
まず、使用しているパソコンが古い物である場合、正常に動作しない場合があります。
電子申告は、e-Taxソフトで行うか、もしくは国税庁のホームページにある、確定申告書などを作成するコーナーで行うことになるのですが、いずれにしても推奨されているスペックを満たしていない場合は動かなかったり、表示がおかしくなったりするかもしれません。
普段から仕事にパソコンを使っているなど、パソコン操作に慣れている人なら操作も問題ないかもしれませんが、普段はパソコンを使わないという人にとっては少し難しいところもあるかもしれません。
官公庁のホームページなどは、見たことがある人なら分かるかもしれませんが、特にわかりづらいことがあります。
操作方法などが分からない時は電話で問い合わせることもできるのですが、申告作業をしている時期はどうしても問い合わせも増えるため、なかなかつながらないこともあります。
また、電子申告の手順については国税庁のホームページに紹介されていますが、どこに説明があるのかを探すのが難しい、という問題点もあります。
操作に慣れていないと、見つけるまでに時間がかかるでしょう。
また、説明文には専門用語なども多数含まれているので、正しく理解して電子申告を行うのが難しく感じてしまうかもしれません。
中には、面倒だから今まで通り申告しようと諦めてしまう人もいるでしょう。
対応しているパソコンやICカードリーダー、電子証明書が付けられているマイナンバーカードなど、準備しなくてはいけないものも色々とあります。
基本的には最初に準備してしまえば、翌年からは準備する必要がないので楽になるとはいえ、いざ揃えようと思うと面倒に思う人も多いでしょう。
多少の経費が掛かるという点も気になるかもしれません。
ICカードリーダーはe-Tax対応のものでも数千円で購入でき、マイナンバーカードについては無料で発行できるものの、パソコンが古い場合はおいそれと買い替えるのが難しいでしょう。
このようなデメリットや問題点はあるものの、電子申告にはそれ以上のメリットがあります。
この機会に、切り替えを検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ
確定申告を始め、様々な税金の申告がインターネット上で行える電子申告が、いよいよ相続税も対応できるようになりました。
時間や場所を問わずに申告でき、処理も早いなど多くのメリットがある電子申告ですが、その一方で問題点などもあります。
メリットとデメリットを把握した上で、利用するかどうかをよく考えておきましょう。