相続

相続時のトラブルを避けるために!遺言について知っておこう

多くの土地を所有している地主様の財産を相続する際は、遺族が財産の分配をめぐってトラブルが生じるケースもしばしば見受けられます。
トラブルが懸念される場合は、あらかじめ遺言を作成しておくのがおすすめですが、遺言には色々な決まりがあるので、それを守っていなければ無効となるかもしれません。
遺言について、知っておきましょう。

遺言の種類

故人が生前に、自分の財産を誰がどう相続するのか、その希望について示したものが遺言です。
法律上でもその効力は非常に重いものとして位置づけられていて、その内容を無視して相続を決定することはできません。

相続の際に基準となるのは、民法で定められている法定相続分の割合です。
しかし、遺言というのはそれよりもさらに優先されることになります。
ただし、たとえ遺言に遺族の誰か一人に全財産を譲るとされていた場合でも、残された遺族にも最低限の相続分となる遺留分は相続されます。

通常、相続の際は遺族が集まり、だれがどの財産を相続するかという遺産分割協議を行い、それを書面で残す必要があります。
底からトラブルが起こりやすいのですが、遺言があればその協議も必要なくなるので、相続人の負担も大幅に減ることとなるでしょう。

遺言と似たもので、遺書というものもありますが、これは似て非なるものです。
遺書というのは、故人が自分の思ったことを記したものであり、法的な効力や決まった形式などはないのですが、遺言にはきちんと決まった形式があり、それに伴って法的な効力も持っているのです。

遺言は、大きく分けて2つの種類があり、それぞれにまたいくつかの種類に分かれています。
大きな分類としては、普通方式と特別方式の2つに分けられています。

一般的な遺言は、普通方式のものがほとんどです。
その中でもさらに3つの種類に分けられているので、まずは普通方式となる3種類の遺言について知っておきましょう。

3つの中でも、最も分かりやすいものが自筆証書遺言といわれるものでしょう。
これは、その名前の通り自分で書き記した遺言のことです。
ただし、どのような形で記してもいい、という訳ではありません。

法律上、有効なものとするには最低限、作成した年月日と作成者の署名が記入されていて、捺印されていなくてはいけません。
ただし、証人はいなくても良いので、誰かに遺言の内容を知られる心配はありません。

ただ、この方法では書類の内容を確認してもらうことができないので、遺言としての形式に不備が生じる場合があります。
その場合、せっかく遺言を作成したのに無効とされることもあるので、注意しましょう。
また、作成後は自宅で保管することになるので、誰にも気づかれなかったり、紛失してしまったりすることもあります。

この遺言を作成した際に、それを封筒に入れて証書への捺印と同じ印鑑で封印したものは、秘密証書遺言といわれます。
その遺言は、公証役場で証明を受けることになります。

風をした状態で、公証人と2人の証人と共に公証役場へといき、確かに自分が作成した遺言であることを記録に残すことができますが、その内容については確認されることがないので、遺言の体をなしていない場合はやはり無効となってしまいます。

遺言が無効とならないように、法律の専門家とともに作成することもできます。
法律の専門家である公証人に遺言を伝え、それを文書として作成してもらうのが公正遺言証書です。

これを作成する場合は、遺言の作成を希望する本人と、2人の証人が一緒に公証役場へと赴く必要があります。
ただし、その相続において相続人となる可能性がある人や、4親等以内に含まれる親族は証人として認められません。

これで作成された遺言は、公証役場にその原本が保管されることとなるので、偽造される心配や紛失することはありません。
確実に有効となる遺言を残すことができるのですが、証人に遺言の存在やその内容などを知られてしまうことは避けられません。

普通方式の遺言には、このような種類があります。
それでは、もう一方の特別方式といわれる遺言にはどのようなものがあるのでしょうか?

特別方式の遺言

通常の遺言はいつでも作成でき、また新しい遺言を作成しない限りその効力は保たれるのですが、病気や事故などで生存が危ぶまれる状態でのみ作成できる、特別方式の遺言もあります。
この遺言は、作成から6カ月が経過するとその効力が失われることになります。

これには4つの種類があり、そのうち病気などで死が近いと判断された時に残すことができるのが、一般臨終遺言です。
遺言を残す人だけが死に瀕している場合のみ、これを利用することができます。

これは、口頭で遺言の内容についての説明を行い、それをきちんと文章として書き起こすことで、効力のある遺言として扱われます。
ただし、説明の際には承認が3人以上必要となります。

ただ作成しただけでは、効力を発揮できません。
制作した後は、20日以内に裁判所で確認請求を行わなければ、その遺言は効力を失ってしまうことになります。

病気ではなく、船や飛行機の事故などで、生命の危機に瀕している際に残すことができる遺言のことは、難船臨終遺言といいます。
この場合は証人を2人以上用意して、そのもとで、口頭で伝えられた遺言を文章にする必要があります。

この場合は、証人なども同様に生命の危機に瀕している状態でも有効となります。
また、20日以上という制限はないものの、やはり裁判所で確認請求を受けなくてはいけません。

刑務所に服役していたり、伝染病によって隔離病棟へと入院したりして外部と切り離されている状態で遺言を残したい場合は、一般隔絶地遺言というものを遺すことができます。
特に死に瀕していなくても、作成は可能です。

この時は、証人1人と警察官1人が立ち会っている状態で、自筆による遺言を作成します。
代筆は認められず、作成後は証人と警察官がそれぞれ署名して押印することで効力を発揮します。

命の危機に瀕している状態ではない通常の船の中で遺言を作成したいと考えた場合は、船舶隔絶地遺言という遺言になります。
これも本人が自筆で作成する必要があります。

この場合は、2人の証人とその船の船長、もしくは乗務員が立ち会いの下で作成し、出来上がった遺言には立ち会った証人と船長、あるいは乗務員の署名と捺印が必要となります。

このように、遺言にはいくつもの種類があり、それぞれ作成する方法や、必要な人員などが異なっています。
また、決まりについても違いがあり、メリットやデメリットにも異なる部分があるでしょう。

自分が残したい遺言をどのように作成するのか、それをしっかりと考えなくてはいけません。
そのためには、どのタイプの遺言を作成すればいいのか、それぞれの特徴を理解した上で選択しましょう。

まとめ

遺族が相続の際にトラブルとならないように、あらかじめ遺言を作成しておくのがおすすめです。
しかし、遺言にはその作成方法や、作成時に必要となる証人の人数、そして安全性などが異なる複数の種類があります。
自分が作成したい遺言としてはどのタイプのものがいいのか、その特徴などをしっかりと把握した上で、間違いのない遺言を作成し、遺族が裁判などでトラブルを起こさなくても良いように備えておきましょう。

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