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建て替え不可となっている、再建築不可物件はどうしたらいい?

実家を相続したものの、建物もずいぶん古いからこの際建て替えて住みたい、と考えている人もいると思います。
しかし、いざ建て替えを依頼しようと思ったとき、それが建て替えすることのできないものだった、というケースが時折あるのです。
その場合、どうしたらいいのでしょうか?

建て替えができない物件とは?

建て替えることができない再建築不可物件というのは、どういうものなのでしょうか?
なぜそのようになったのか、その理由やどのような建物がこれに当てはまるのか、という点をまずは解説していきます。

建物を建てる際は、建築基準法というものがあります。
これは時代によって変更されている点があり、昔は大丈夫だった建物でも現在の基準では違反となる、というものもあります。

そのような建物に住んでいたとしても、今すぐ出て行けと言われることはありません。
立ち退かなくてはいけないということではないので、そのような現状であることだけ把握しておきましょう。

ただし、このような建物の中には土地と道路が面している間口が狭いものや、面している道路幅が基準以下のものがあります。
こうした土地にある建物の場合、建て直すことができないケースがあるのです。

その理由は何かと言えば、それは都市部の事情によるものです。
都市部には、どんな時代でも人口が集中していますが、土地の広さには限りがあります。
その中で、少しでも多くの人が住めるようにしようと考えると、家は隙間なく建てられて密集することになるでしょう。

生活道路といわれる細い道路にしか家が面していないせいで、車が通れないようなところもあります。
それでも、生活するうえでは問題もなく、車が通れないことでかえって静かな環境なので、好んでいる人も少なくはないでしょう。

しかし、このような住宅地は、火災や地震などが起こった場合には危険があります。
火災の場合は、家同士の間に隙間があまりないせいで、延焼の危険性が高くなるため、江戸時代の長屋のように次々と延焼してあっという間に火が広がる可能性が高くなるでしょう。

地震の場合も、1軒が倒壊した際は周囲の住宅を巻き込んでしまうことが考えられ、また狭い道路のため逃げ道もふさがれてしまう危険があるのです。
周囲の建物と密着していると、このような心配があります。

さらに、道幅が狭いため消防車が現場へとたどり着けないために、消火活動に支障が出ることもあり、その場合はさらに被害が広がることとなってしまいます。
このようなリスクを防ぐために現在の建築基準法が作られていて、再建築不可物件というのはこうしたリスクを含んでいるとみなされているのです。

必要な対策

こうした物件は、どうあっても建て直すことができないというわけではありません。
現状ではできなくても、適切に対策を行うことで再建築が認められるようになるのです。
その対策とは、どのようなものでしょうか?

まず必要となるのは、道路についての確認です。
建築基準法では、公道か私道かに関わらず道路の幅が4メートル以上あるものを道路として定めていて、その道路に面していることが建築の条件となっています。
ただし、私道の場合は公道よりも認められるための条件が多く、さらに役所の調査を受けることで位置指定道路という建築基準法における道路として認められることになります。

また、敷地が道路に接していることが義務となるので、建物を建築するにはその敷地が2メートル以上道路に接面している必要があると定められています。
この条件は、旗竿地といわれる間口が狭い土地や、奥まった場所にある土地にとって問題となります。

この問題を解決したい場合、道に接している土地を購入して間口を広くしなくてはいけないのですが、それができない場合はほとんど建て直すことができなくなるでしょう。
ただし、例外となることもあります。

例外となるのは、隣接する土地が公園、あるいは建築予定がない空き地であった場合です。
その場合は、災害時の救助活動や消火活動などに問題が生じないので、建て直す許可が得られるかもしれません。

幅が4メートル以下の道路に面している土地であっても、その道路がみなし道路や2項道路といわれるものであった場合は、セットバックを行うことで建て直すことも可能となります。
東京23区内にある住宅の場合、半数近くはこの条件に当てはまります。

セットバックというのは、不足している道路幅に合わせて道路が敷設されたと仮定して、その分敷地を下げることを言います。
例えば、2メートル不足しているようであれば、自分の土地と向かいの土地がそれぞれ1メートルずつ下げることで4メートルになると想定して、道路に面した方向の土地を1メートル分下げることになります。

また、中には定められた建ぺい率を超えている建物もあります。
このケースは、再建築ができないというわけではありませんが、現在の建築基準法で認められている建ぺい率に収まるような規模で建築しなくてはいけないので、同規模の建物を建築するのは難しいでしょう。

都市部の場合、地価が高いのでなるべく敷地ギリギリまで建物を建てようとする人が多く、規制もそれほど厳しくなかったので無許可の建物なども少なくありません。
このような建物のケースでは、現在の法律に従わなくてはいけないため、建築したくでもその要件を満たせないような物件があるのです。

再建築不可の物件を相続した場合

実家を相続したものの、その実家が古いため建て直したいのに再建築不可物件だった場合は、どうしたらいいのでしょうか?
また、その実家を売りたい場合、果たして売れるのでしょうか?

たとえ立て直しができないケースであっても、リフォームをすることはできます。
ただ、新しく建てるわけにはいかないので、基礎部分や柱などはそのまま利用しなくてはいけません。

また、リフォームの場合は新築よりも制限が多いので、場合によっては新築以上に費用が掛かることもあります。
その金額によっては、諦めるべきかもしれません。

リフォームの費用を調達するためにローンを利用する場合も、対象が再建築不可物件の場合はローンが組めないかもしれません。
立て直しができないような物件は、その土地も利用しづらいため資産価値が低いのです。

場合によっては、隣の土地を売ってもらえるように交渉して、土地をまとめることで再建築が可能な状態にしたほうがいいかもしれません。
それで間口が広くなれば、建て直すことも可能となって資産価値も高くなるかもしれません。

売れにくいからと放置してしまうと、火災が起こった場合などに責任を問われる可能性があります。
リフォームすることができれば、売れる可能性も高くなり、借家として貸し出せることもあります。
また防火素材を使うことで火事に備えることもできるでしょう。

まとめ

相続した実家の物件が、再建築不可物件だった場合には建物が古くても新しく建てることができません。
その場合、原因となっている点を解消することで再建築を可能にするか、もしくはリフォームをするなどの対策が必要となるでしょう。
建築基準法に沿う形になれば、再建築も可能となるので、まずはなぜ再建築が不可となっているのかその原因を知ることをおすすめします。

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