地代と家賃はどう違うのか?その違いを解説します!
地主様が土地や建物を人に貸す際は、その代金として賃料を受けとることになります。
しかし、その時に受け取る代金には、「地代」と「家賃」があると思います。
あまり気にせずに使っているかもしれませんが、この2つには明確な違いがあるのです。
地代と家賃の違いとは、どのような所にあるのでしょうか?
土地の賃貸借にかかるお金とは?
土地を貸したり、借りたりする際には、様々な名目のお金が発生します。
具体的には、どのようなお金のやり取りがあるのでしょうか?
契約をする際の流れと共に、その際の一般的な費用について、解説していきます。
まず、土地の賃貸借契約を結ぶ際には、その契約に対しての権利金や保証金といったものが必要になります。
権利金は、契約を結ぶ権利に対して支払うお金であり、地主様が受けとるものです。
保証金については、契約を守ることに対する担保であり契約に違反した際に没収されることとなるもので、これは地主様に預ける形となるので、契約に違反しないまま契約期間が満了となった際は、返還されることになります。
土地を借りるからには、借家人様がその土地の賃料を地主様に支払う必要があります。
この時に支払われる賃料のことを、土地の貸借代金ということで地代といいます。
これは、基本的に毎月支払うことになるでしょう。
さらに、土地を借りるだけではどうにもならないので、その土地に建物を建てることになります。
その際は、地主様に別途承諾料というものを支払います。
承諾料は、新たに建物を建てる時以外にも、既存の建物を建て替える際や、大幅な増改築・リフォームなどをする際にも支払うことになります。
あくまでも借りている土地である以上、何か変更がある時には必ず地主様の承諾を得る必要があるのです。
契約期間が満了となった時には、契約を更新して再び借地を借り続けるか、それとも借地を明け渡すかを選ばなくてはいけません。
この時に、契約の更新を選ぶのであれば、地主様に更新料を支払う必要があります。
また、借地人様が借地を利用し続けたい場合であっても、地主様がその土地を利用したいという理由で、借地の賃貸借契約を終了したい、と考えることもあるでしょう。
その時は、地主様が借地人様に対して、土地を明け渡す条件で立ち退き料を支払うことになるでしょう。
借地の賃貸借契約でかかるこういった金銭については、法律でも規定があります。
おおよその相場も決まっているのですが、中には法律で規定されているわけではなく通例で支払われているものもあるので、請求された際には本当に支払う必要があるのか、きちんと調べてみましょう。
家賃と地代の違いは?
賃貸借契約において、何かを借りる時に借主様が貸主様へと支払う対価のことは、賃料といいます。
家賃も地代も、この賃料に含まれるものではあるのですが、この2つにはどういった違いがあるのでしょうか?
家賃というのは、その名の通り家を借りることに対して支払う賃料のことを言います。
この家には、広く建物全般が含まれるので、建物の一部、もしくは全体を借りる時に支払われるものが家賃となるのです。
そのため、例えば一軒家を借りる時や、アパート、もしくはマンションの1室を借りる時に支払う賃料は家賃ということになるのです。
しかし、これには例外があります。
不動産投資などでもよく見かけますが、マンションを建ててそれを不動産会社が1棟丸ごと借り上げて、その賃料を支払うという形式の賃貸借契約があります。
この時、マンションを借りていることになるので名目は家賃でも良いと思うかもしれませんが、名目としては賃料とするのが一般的です。
何故かというと、そのマンションの入居者は不動産会社にまず家賃を支払います。
不動産会社は、支払われた家賃から必要経費や管理費などを差し引いて、そのマンションの持ち主に支払いをするのです。
そのため、マンションの持ち主に家賃として支払うと、入居者から支払われた家賃がそのまま持ち主へと支払われているような誤解を受けることがあります。
それを防ぐために、賃料とするのが一般的になっているのです。
地代というのは、土地の貸借代金という意味であり、土地そのものを借りる時に支払われる賃料のことをいいます。
通常は不動産会社の管理などが必要ないことから、地主様と借地人様との間で直接契約が結ばれていることが多く、その条件も双方が納得すれば一般的なものでなくても問題はありません。
ただし、周囲にある借地の契約内容とあまりにかけ離れている内容での契約であれば、契約の見直しを求められることがあります。
この場合は、裁判所で双方の意見をまとめ、契約内容を是正するように求められることが多いでしょう。
ところで、家賃についてなのですが、建物は基本的に土地の上にあるものです。
しかし、家賃というのは建物の賃料を示したものです。
そうなると、家賃とは別に地代も支払わなくてはならないのでしょうか?
建物が土地の上にあるというのは当たり前のことなので、実際には家賃の中に地代も含まれている、と考えます。
ただし、わざわざ分ける必要があることはあまりないので、通常はただ家賃として扱っています。
しかし、たとえアパート等であっても、土地を借りていることになるのは間違いありません。
そのため、相続税などを計算する際には、借家権割合と共に借地権割合も計算することになります。
賃料はどうやって決める?
家賃、もしくは地代などの賃料を決める際は、基本的に土地の価格や建物の価格などを参考にして決定されます。
土地が高ければ、同じような建物や土地であっても賃料が高くなるのです。
しかし、実際には土地に低下があるわけでもないので、実のところ土地の価格というのは自由に決めることができます。
その土地の持ち主が、土地に対して1億円という価格を付けた場合、その土地を買うには1億円を支払わなくてはいけないのです。
そうなると、それを基準にした家賃や地代というのも、決めるのはその土地の持ち主です。
特に土地の価格に対して何%で貸さなくてはいけない、という決まりもないので、1万円で貸そうが10万円で貸そうが、その土地の持ち主の自由なのです。
ただし、土地が周囲に比べてあまりに高い場合、その土地を買いたいという人はまずいないでしょう。
家賃や地代も同様で、周囲にある同様の借地と比較して、より安いところがあればそちらを借りようと思うでしょう。
また、あまりに安い価格で貸してしまった場合、初期費用などを回収することが難しくなります。
アパートの家賃を決める際に、100年間満室が続けば建築費用と土地の代金が回収できるような家賃で貸し出したとしても、その建物自体がそもそも100年も使えることはまずないので、赤字になることが容易に想像できるでしょう。
そのため、基本的には土地の価格は国土交通省が発表している路線価を参考にして、その価格を基準として取引価格が決定されるのです。
そして、家賃や地代についてもその路線価を基準に、相場となる割合に従って決定されることになるでしょう。
いくら定価は無くても、正常な範囲というものはあります。
高値を付けても買う人、借りる人がいなければ損をするだけなので、大抵はその相場に従って適正な値を付けることになります。
借地の更新料とは?
“土地の賃貸借にかかるお金とは?”の項目で、借地において賃貸借契約を結ぶ場合には、地主様に更新料を支払う必要があるという風に解説しました。
こちらの更新料は、借地契約の更新の際に発生する費用ではありますが、法律で義務付けられたものではありません。
また、更新には合意で条件を決定する合意更新、合意をしない法定更新があります。
更新料は、合意更新の際、金額を含めて地主様、借主様で合意して支払うのが一般的です。
法定更新の場合であっても、あらかじめ契約で“次回の更新の際に法定更新でも更新料を支払う”と決定していることがあります。
このように、地主様と借主様で合意があれば特に問題ないのですが、合意がない場合には、更新料の支払い義務があるのかどうか、また設定された金額は妥当なものなのかといった点が問題になります。
ちなみに、過去に貸主様が地主様に対し、借地の更新料を支払ったことがあったとしても、こちらはその更新のときに合意があっただけで、次回の更新のときにも、更新料を支払うと約束したわけではありません。
そのため、地主様はこのような理由により、借主様から強引に承諾料を受け取ることはできませんし、借主様は同理由で支払いを迫られたとしても、合意するまで支払う必要がないということを覚えておきましょう。
借地の譲渡承諾料とは?
土地の賃貸借において発生する費用には、譲渡承諾料というものもあります。
譲渡承諾料とは、借地の上に建築された建物の所有者である借主様が、その建物を売却したり、贈与したりするときに、その名義の変更について、土地の所有者である地主様の承諾を得るために支払う費用のことをいいます。
名義書換料とも呼ばれます。
借地権の売却において、譲渡承諾料は売主、つまり借地の借主が負担するのが一般的です。
売買契約の内容によっては、買主が負担するケースもあります。
このとき発生する譲渡承諾料の相場は、借地権価格のおよそ10%です。
また、借地の借主様は、第三者に借地権を売却するときだけでなく、子どもなどの親族に贈与する場合でも、地主様の承諾、譲渡承諾料の支払いが必要になります。
もし、地主様の承諾なく譲渡したのであれば、借地契約の解除事由に該当するため、注意しなければいけません。
ちなみに、相続によって借地権の名義が変更になる場合、借主様は地主様に譲渡承諾料を支払う必要がありません。
借地の建替承諾料とは?
借地において、借主様が地主様に支払う金銭としては、建替承諾料も挙げられます。
こちらは、名前の通り借地において、借主様が建物を建て替える際、地主様に支払う金銭です。
借地における地代は、賃貸物件を貸す際の家賃と比べて、少し金額が低い傾向にあります。
例えば、地主様が受け取る地代が月50,000円程度であるにもかかわらず、借主様がその借地で賃貸物件を貸し出し、月30万円、40万円もの家賃収入を得ているというケースも珍しくありません。
そのため、旧法借地権はもちろん、新法である借地借家法の普通借地権による契約の場合、地主様は早期に借地権が消滅することを望みます。
借主が所有する建物が朽ちてしまえば、法律上借地権は消滅するからです。
しかし、増改築が行われるとなると、建物の老朽化による借地権の消滅は、しばらくの間期待できなくなります。
増改築時の地主様の年齢によっては、地主様が生きている間には、もう二度と建物が朽ちることはなく、借地権が消滅することもないかもしれません。
こちらは、地主様にとって利益の損失につながることであり、それを補填するために、借主は建て替えや増改築の際、地主様に承諾料を支払うことになっています。
建替承諾料の場合、借地における更地価格の3~4%もしくは借地権価格の5%程度、一部増改築の承諾料の場合、更地価格に2~3%をかけた金額が相場となっています。
借地の権利金とは?
地主様と借主様が借地契約を結ぶ場合、契約時に発生するのは基本的に地代のみであり、家賃を支払う必要はありません。
しかし、場合によっては、権利金という金銭が発生する可能性があります。
借地権は、土地の所有者である地主様から借りた土地を使用し、借主様が建物を建てる権利です。
借地における権利金とは、このような建物の所有目的で土地の借地契約を結ぶ際、借地権設定の対価として、借主が地主様に支払う金銭を指しています。
つまり、借地権を手に入れる代わりに、地主様に支払う金銭であり、賃貸物件でいうところの礼金のようなイメージです。
借地権は、借地借家法という法律で手厚く保護された、とても強力な権利です。
地主様が所有する底地権よりも、借地権は高い財産的価値が認められているため、地主様にはある程度のリスクが発生し、これによって権利金の支払いという慣習も成立しています。
ただし、権利金は更新料などと同じで、法律によって定められているものではありません。
そのため、支払いが必要かどうかについては、地主様と借主様の交渉、合意によって決定します。
ちなみに、権利金は賃貸物件における礼金と似た性質の金銭であり、通常返還されませんが、借地契約が地主様の都合で途中解約になった場合は、未経過の借地期間に相当する金額の権利金が返還されることがあります。
まとめ
家賃と地代というのは、どちらも賃料の一種ですが建物を借りる際の賃料か、それとも土地を借りる際の賃料のことか、という違いがあります。
また、建物は土地の上にあるものなので自動的に土地も借りることになるため、家賃には地代も含まれている、と考えるのが一般的です。
どちらも賃料は自分で決めることができますが、適正な範囲出なければ借りる人を探すのも大変となるので、家賃や地代、もしくは土地の売買代金などに悩んだ時は専門家に相談してみましょう。