借地を更新する際の、法定更新とはどのようなものか?
借地というのは、基本的に契約する時にその期間を決めるものです。
その期間が過ぎてしまえば、あとは契約を継続するか、それとも契約終了とするべきかを決める必要があります。
この契約の更新をする際、地主様と借地人様が合意した上で更新される「合意更新」の他に、「法定更新」というものがあるのですが、これはどのような形で更新されるのでしょうか?
法定更新について、詳しく知っておきましょう。
借地の更新について
借地を契約する際は、かなり長期間にはなるものの契約期間があります。
通常は、契約の期間が過ぎてしまえばその契約は満了となり、契約は解消されることとなるのですが、借地の場合は契約の更新という選択肢もあります。
借地の契約が満期を迎える前に、地主様と借地人様はそれ以降の借地をどうするか、話し合うことになるでしょう。
その時、双方の意見が合致していれば契約の解除、もしくは更新に問題はありません。
しかし、双方の意見が異なる場合はどうなるのでしょうか?
双方の意見が異なる場合は、満期日までに話し合い、お互いに納得できるように意見をまとめる必要があります。
ただ、合意に至らないまま契約満了となってしまい、契約が解除されるとどちらか一方が大きな損失を被ることになるでしょう。
それを防ぐために、法律上では契約の更新について、満期日を迎えても解除に至らなかった場合は自動的に契約が更新されたと見なす場合があります。
この、自動的に行われる更新のことを、法定更新といいます。
ちなみに借地の契約には、旧借地法に基づいて結ばれているものと、借地借家法に基づいて結ばれているものがあります。
実は、この2つの法律のどちらに基づいた契約かによっても、契約の更新は異なります。
旧借地法に基づいて借地契約が結ばれている場合、その契約は解除されない限り自動的に更新されることとなり、半永久的にその契約が続くこととなります。
もしも地主様が契約の解除を希望している場合は、借地人様と話し合って契約の解除に合意してもらわなくてはいけないのです。
しかし、借地借家法、いわゆる新法に基づいて結ばれている借地契約であれば、その契約が自動で更新されるのは1度だけ、ということになっています。
借地人様の権限が強すぎた旧借地法に比べて、地主様に配慮されている内容となっているのです。
具体的な流れについて
それでは、借地の契約が法定更新となる場合は、具体的にどのような流れで契約が更新されていくのでしょうか?
その内容について、確認してみましょう。
まず、通常は契約期間の満了を迎える際に、借地人様が地主様に契約の更新を請求することになります。
あまり、地主様が借地人様に「これからも借りていてくれ」と請求することはないでしょう。
借地人様からの請求に対して、地主様が特に異議などを申し立てることなく、双方合意の下で契約の更新に至ることを合意更新といい、特に問題なく契約が更新されてその後も借地を借り続けることができます。
また、借地人様が特に契約の更新を請求することなく満期を迎えた場合や、契約期間が終了して借地権が消滅した後でもそのまま借地を継続して使用している場合なども、自動的に契約が更新されたものとみなされて契約は有効となってしまいます。
しかし、契約の満期を迎えるにあたって、地主様が正当な事由に基づいてその更新を拒絶し、土地を明け渡すよう借地人様へと請求した場合、その事由の正当性が認められた時には、借地人様はその請求に従って地主様に土地を明け渡す必要があります。
この正当な事由というのが、非常に判断の難しいものなのです。
旧借地法では、同様に正当な事由があれば契約の更新を拒絶できるとなっていたのですが、その内容については明確でなかったために、ほぼ有名無実となっていました。
ただ、借地借家法ではこの正当な事由について、具体的な内容を示しています。
あくまで一部の例が示されているだけで、それ以外にも正当な事由と認められる場合もあるのですが、その正当性をめぐって裁判になることは珍しくありません。
正当な事由とは?
それでは、具体的に正当な事由とはどのようなものを示すのか、その内容を紹介します。
あくまで一例であり、本当に正当と認められるかどうかは裁判によって決められる場合もありますが、参考にはなるでしょう。
まず、地主様がその土地を自分で利用したい、というのは正当な事由の例として挙げられています。
具体的には、どのように活用するのか、その予定についても併せて述べる必要があるでしょう。
また、土地の利用状況による契約更新の拒絶も正当な事由として認められます。
契約時の土地の様子と、現在の土地の利用状況が明らかに変化していると認められれば、契約の更新を拒絶する理由になるのです。
地主様が借地人様に対して、その土地を立ち退いてほしいと立ち退き料を支払ったり、大体となる別の土地を提供したりした場合も、正当な事由として認められます。
この場合は、土地を立ち退く代償として十分だと納得してもらう必要があるでしょう。
これ以外にも、契約更新の際の判断基準となる事柄は色々とあります。
地主様側の事情によるものと、借地人様の事情によるもののそれぞれに判断基準があるので、上記の例以外にそれぞれどのような判断基準があるのか、紹介していきます。
まず、地主様の事情としては、土地を自分で利用する以外にも、第三者が使用する必要性というものが挙げられます。
息子夫婦が帰ってきて家を建てるから、その借地を使用したいなどです。
また、その借地にある建物が老朽化していて、改築や修繕、もしくは建て替えが必要と判断された場合です。
建物を新しくしてしまうと、そこから契約を更新せざるを得なくなるため、この機会に立ち退いてほしい、というものです。
高層の建物を建てるなど、土地を売却や有効活用するというのも正当な事由になり得ます。
要するに、ただ契約を解除したいだけではなく、その土地をきちんと利用するつもりがあるなら、正当な事由になり得るのです。
最後に、地主様が破産してしまった場合や、地主様が変更になった場合なども正当な事由として契約を更新しないことが認められる可能性は高くなります。
この場合、借地契約を結んだ相手が土地に対する権利を持ち合わせていないので、新たに契約を結ばない限りは契約が解除されてしまうでしょう。
借地人様の事情としては、基本的に契約が更新されるものと考えられるため、どちらかといえば借地人様が契約解除の正当性を与えるような行いをしていないか、という点が焦点となります。
例えば、その土地を本当に必要としているか、また借地上の建物を賃貸する必要性があるかどうか、借地人様の生計はどうなっているか、などが判断基準として考えられます。
その際は、地主様と借地人様との関係性なども考慮されることとなるので、借地人様が不誠実な行為をしている場合などは、契約更新が認められないこともあるでしょう。
また、借地人様が破産している場合や、借地料の支払いを度々滞納している場合なども、契約の継続に難があると見なされることがあります。
借地人様が契約を更新したい場合は、誠実さを心掛ける必要があるでしょう。
こうした事情を鑑みて、裁判所などで正当な事由にあたるかを判断して契約を更新するか、解除するかの判決を下します。
正当な事由と認められるには高いハードルがありますが、必要ならしっかりと話し合いましょう。
まとめ
借地の契約というのは、双方の合意があれば当然更新されることになりますが、双方が合意していない場合でも、法定更新として自動的に更新されてしまいます。
このとき、契約の元となっている法律の違いで、半永久的に更新が自動的に行われる場合と一度だけ行われる場合とがあるので、どちらの法律に基づいて契約しているか、しっかりと確認しておきましょう。
また、契約更新を拒絶するには正当な事由が必要となるので、その内容についても覚えておきましょう。