借地に住む借地人様は、毎月、あるいは数か月に1度など、決まった時期にその土地の賃料となる地代を地主様に支払います。
しかし、もし地主様が離婚してしまった場合には、その地代を今後どちらに支払えばいいのでしょうか?
地主様が離婚した場合の、借地の扱いについて解説します。

長期間借りている土地について

土地を借りる場合、アパートやマンションとは違って2年や3年という短期間で借りることはまずありません。
短くても数十年単位で借りるのが一般的です。

何故かというと、一般的な借地権の場合は最低契約期間が30年となっていて、その後も基本的に更新されていくこととなるからです。
事業用としての借地であれば最低期間は10年からの契約も可能ですが、一般の住居の場合は最低30年ということになるのです。

土地を借りて建物を建てるとすれば、やはり30年くらいは保証されていないと安心して家を建てることができませんよね。
築30年となった家の場合は、資産価値もほとんどなくなり建て替えを検討することも多いので、とりあえずはそれだけ保証されていれば安心して住むことができるでしょう。

一応、一時使用目的ということでこの最低契約期間を無視した契約をすることも可能です。
その場合は、そもそも借地とみなされないことになり、借地権もありません。

ともあれ、このような理由から一度借地を契約するとそこに長期間住んでいることは珍しくなく、その土地自体も地主様の先祖から代々相続していて、借地人様も代々その土地を借りている、ということも珍しくないのです。

そのように長期間借りている土地の場合は、地主様夫婦のどちらかが先祖から相続した土地であることがほとんどです。
その場合は、離婚した際の財産分与で借地はどう扱われるのでしょうか?

まず、夫婦が離婚した場合の財産分与は、基本的に2分の1ルールが適用されることとなるので、夫婦の共有財産とみなされるものについてはそれぞれ均等に分けるのが一般的です。

この時の共有財産というのが、夫婦となって2理で協力して得られた土地や建物、預金、現金、宝飾品、有価証券、車などが当てはまります。
また、住宅ローンが残っている場合は、その残価も半分ずつ請け負うことになるでしょう。

しかし、先祖から相続した土地というのは、夫婦として築いた財産ではなく夫か妻が元々持っていた財産として扱われます。
こういった、結婚前から所有していた財産や、相続した財産などは特有財産として扱われるのです。

特有財産については、財産分与の対象とはならないので、元々所有権を持っていた夫か妻のものとして扱われます。
そうなれば、借地人様が地代を支払うべきなのは、その土地を相続している方です。

これは、たとえ相続したのが結婚した後であった場合でも、同じように特有財産として扱われます。

共有財産の場合は?

それでは、その借地が相続したものではなく、夫婦となってから購入したものであった場合、地主様が離婚したらどう扱われるのでしょうか?
夫婦の共有財産としてみなされた場合の対処について、考えてみましょう。

まず、借地が共有財産である場合は、どちらがその権利を持つ事になるのかは地主様夫婦が話し合って決定します。
そして、夫あるいは妻に決まった場合は、今後そちらに地代を支払えばいいのです。

しかし、その借地を巡ってどちらも所有権を欲した場合、どちらのものとなるのかを決定するまでに数か月かかる場合もあります。
当然、その間の地代も支払わなくてはいけないのですが、その状態では所有権が曖昧なので、支払先が分からないこともあるでしょう。

支払う相手がはっきりしないからといって、地代を支払わなくても良い、ということにはなりません。
むしろ、地代を支払わなかったことで契約違反となり、土地の賃貸借契約を解除されてしまう可能性もあるのです。

そうならないように、地代を支払う相手がはっきりとしない場合は、供託所を利用して地代を供託しておくと良いでしょう。
そして、所有権がはっきりとした段階で、その供託金を地主様が受け取ることができるようにしておきます。

そうすれば、地代を滞納する事にもならず、はっきりとしない相手に地代を支払う必要もなくなります。
供託は法務局で手続きできるので、その時にはまず説明を聞いてみるといいでしょう。

また、例えば地主様夫婦に子どもが一人いて、借地については夫の物となり、そして子どもは妻が親権を持ったとします。
その後、地主である夫が亡くなった場合の土地の権利について考えてみましょう。

夫婦が離婚した場合、婚姻関係の解除に伴って妻は夫の財産を相続する権利を失うこととなります。
しかしその一方で、たとえ妻が親権を持っていても夫と子どもの間の親子関係は解除されるものではないので、子どもは相変わらず夫の子どもとなるため、相続権を持っていることになります。

これは、たとえ妻が再婚し、新しい夫との間に養子縁組をした場合でも、実父の財産を相続する権利は変わらず持っています。
そのため、借地の新たな地主様は子どもということになるのです。

もしも子どもが複数人いた場合や、地主様が再婚して新たに子どもがいた場合などは、その相続で揉めることもあるでしょう。
その場合も、やはり供託所を利用して地代を供託しておくことで、相続トラブルが解決するまでの間も地代を滞納しないように支払うことができます。

立ち退きを請求された場合は?

地主様が変わったタイミングというのは、借地を立ち退いて欲しいと言われることが多いタイミングでもあります。
その時の対処方法についても、覚えておきましょう。

まず、地主様が変わったとしても、それ以前に結んでいる土地の賃貸借契約はそのまま有効となるので、毎月の地代さえ滞りなく支払っていればその契約期間が過ぎるまでは立ち退きに応じる理由がありません。

また、契約期間が過ぎた場合でも、普通借地権での契約であれば正当な事由に当てはまらない限りは、契約が自動的に更新されることとなります。
基本的には借地人様が持つ借地権の方が権利としては強いため、よほどのことがない限りは契約更新を拒否できないのです。

どうしても借地人様に立ち退いてもらいたい場合は、地主様が借地人様に立退料を支払う必要があります。
その中でも特に重要なのが、借地権の価格です。

借地権というのは、地主様の許可さえあれば他の人に売却することもできる財産として扱われるので、これを地主様に買い取ってもらうことで立ち退きを了承する、ということになります。

実際には、その借地権に加えて現在借地にある建物も買い取ってもらうことになり、さらに引っ越し費用や見舞金、今後住む場所と現在の借地との差額なども計算して立ち退き料を請求することになるので、かなりの金額となるでしょう。

新しく地主となった人の中には、借地権などを知らないままに立ち退き請求をする人もいるので、その場合の対処や政党に請求できる立退料の計算などは専門家に依頼した方が良いでしょう。
その方が、地主様も納得しやすくなります。

まとめ

地主様が変更となるケースとしては、相続や売却以外にも、地主様の離婚というケースが考えられます。
その場合、夫婦の共有財産となるか、特有財産となるかで借地の扱いも変わってくるのですが、正式に地主様が誰になるのか分からない段階では、地代を供託所に預けておいた方が後々トラブルにつながりにくくなるでしょう。
また、地主様が変更したタイミングで立ち退きを請求された場合には、正当な立退料の計算を専門家に依頼すると、不当な請求と思われにくくなるので留意しておきましょう。

 

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