2017年に、「広大地の評価」という制度が廃止され、新たに「地積規模の大きな宅地の評価」という制度が設けられました。
一般の人には馴染みが薄い制度ではありますが、該当する土地を持つ地主様にとっては大切なことです。
ここでは、大きな土地について、改めて考えてみましょう。

広大地とは?

地主様の中には、標準的な土地と比較してかなり広大な土地を所有している人もいます。
このような土地を相続することになると、通常ならばかなり高額の相続税が課せられることとなり、また贈与する場合でも贈与税がやはり高額となってしまい、扱いに困ることも多いでしょう。

そこで、このような土地のことを広大地として、通常の土地とは異なる評価基準を設けることでその土地にかかる税金を軽減することとなり、広大地の評価基準として定められた制度が「広大地の評価」です。

この制度は1994年に制定されたもので、その土地がある周辺地域の一般的な宅地と比較して十分な広さがあると判断された土地が対象となり、将来的に自治体がその地域に道路などを造成することとなった場合には、費用を負担する必要性があると認められた土地に適用されます。

しかし、この広大地という評価については、その解釈に関して様々な問題も生じていました。
具体的な広さの基準などがないので、どう解釈するべきか判断が難しいのです。

また、その土地に道路を造成する必要性があるのか、具体的に対象となっている土地かどうかがわかりにくい、などの問題もあり、時には広大地が適用されるかどうかで納税者と税務署とが裁判で争う事態になることも珍しくありませんでした。

このように複雑であったことから、この制度は2017年に廃止されることとなり、それに代わって「地積規模の大きな宅地の評価」という制度が設けられ、2018年1月1日以降に広大地を取得した場合は、この制度を基準として税金が算出されることとなったのです。

どのように変更されたのか

「広大地の評価」が廃止され、新たな制度が設けられましたが、その内容は具体的にどう変わったのでしょうか?
「地積規模の大きな宅地の評価」の具体的な内容について、紹介します。

まず、この制度の目的としては、名称が変わっても以前のものと同様で、広い宅地に関してその評価額を安くすることで、相続や贈与にかかる税金を下げるためのものです。
その点は、特に変更されていないのですが、適用される土地についての基準が明確になったのです。

この制度が適用される土地の広さは、首都圏整備法で定められている三大都市圏にある土地の場合は500平方メートル以上、それ以外の地域では1,000平方メートル以上であることが適用の条件となっています。

また、その土地の区分についても、以前は「中高層の集合住宅等の敷地用地に適する土地」などの基準があってその解釈が問題となっていたのですが、改めて「普通住宅地域」もしくは「普通商業・併用住宅地域」などに区分される土地であることなど条件が明確となりました。

それ以外にも、都市計画における市街化調整区域以外であること、もしくはその都市計画における用途地域が工業専用地域以外であることや、容積率が一部地域を除いて400%未満となっている地域であることなどが条件となっています。

このように、条件がはっきりとしたことで、これまでは制度が適用されないと考えていた土地についても適用されることがわかる場合もあり、また解釈次第では適用されるかもしれないと考えられていた土地についても、いちいち裁判で争うことなく適用されるかどうかの判断が可能となりました。

現状、広い土地を所有している場合は、その土地が地積規模の大きな宅地の評価が当てはまるものかどうか、一度確認してみましょう。
もしかしたら、税金が安くなるかもしれません。

なぜ、土地が広いと評価額を下げることになるのか

そもそも、広い土地を所有している場合、その土地の評価額に合わせた税金を納めなくてはいけないというのは、当然のことです。
それにもかかわらず、土地が広い場合はその評価額を下げることになるのは、なぜなのでしょうか?

通常、土地というのはその区切りのところまで、一つの塊で売買することになります。
1,000平方メートルの土地があって、そのうち200平方メートルだけ欲しいといっても、そう簡単には分割することができないのです。

というのも、ただ土地を売るのと比べると、分割して売却する場合は色々な手間がかかることになります。
しかし、例えば通常の宅地の3倍以上ある土地を普通の人が買うことは、めったにないでしょう。

土地を分割する場合は、まずその土地の境界線を決める必要があり、その際には測量なども必要となります。
そして、境界線を決めた後でその土地を売却するには、まず土地を分筆したという登記をしなくてはいけなくなるのです。

もしも登記しないまま土地を売った場合は、その土地の境界線に関わらず土地全体を売却することになってしまいます。
土地の一部を売るためには、その土地の広さに合わせて分筆することが必要なのです。

また、分筆した場合でも問題があります。
個人として土地を売却する場合は、たとえ大きな土地を分けたとしてもその土地をすべて売却することができないのです。

なぜかというと、個人として土地を2つ以上売却する場合は、宅地建物取引業法においてそれを仕事にしているとみなされることがあるからです。
その場合は、宅地建物取引業としての免許を取得しなければ、無免許での土地売買と見なされるかもしれないのです。

その理由として、販売行為を2回以上行う場合には、取引の反復継続性があるとみなされてしまい、その行為は事業性が高いものとして判断されてしまうからです。
その場合は、宅地建物取引業法において「業」と見なされることとなってしまいます。

この継続性については、その年のうちや、何年の間に何回行われた、といった期間や回数が明確には定められていません。
たとえ、1つめの土地を売却してから1年以上経過して2つめの土地を売却したとしても、それは継続性があるとみなされる可能性があるグレーな取引ということになってしまうのです。

分割して売却するとしたら、まず不動産業者にすべての土地を購入してもらい、不動産業者の方でその土地を分割して売却することになります。
しかし、新興住宅地として建売住宅をいくつも建てるような時を除けば、不動産業者としても買取りが難しくなってしまうでしょう。

このような理由から、一般的には土地を分割して売却することは難しいので、広い土地を所有している場合はその土地をまとめて売却しなくてはいけなくなるのです。
そのため、広い土地については税金の面で優遇措置を設けることで、所有者の負担が少なくなるように配慮されています。

まとめ

広大な土地を所有している場合は、その土地の評価額を下げることで相続税や贈与税について優遇するという制度があります。
その制度が2018年から変更となり、制度の適用基準もこれまでは解釈次第な部分があったのですが、その多くが明確となりました。
土地というのは広ければいいというものではなく、あまりに広いとなかなか売れなくなるため、その分税金の面で優遇されるのも仕方がないことでしょう。
もしも所有している土地が広大な場合は、一度その制度が適用されるか確認してみましょう。