底地(貸宅地)と借地権の交換、借地権の特定部分の売却の事例
底地(貸宅地)と借地権は、地主様と借地人様の意見が合致した場合、交換すること可能です。
また借地権は、借地人様が一部だけ地主様とは別の人物に売却することもできます。
したがって今回は、底地(貸宅地)と借地権の交換、または借地権の特定部分の売却おける事例を見ながら、どうやって交換、売却するのかについて解説します。
底地(貸宅地)と借地権の交換における事例
まずは、底地(貸宅地)と借地権の交換における一般的なケースについて解説します。
借地人様であるKさんは、地主様のSさんから100坪の土地を借り、その土地の上に住居を建築して生活していました。
またKさんは住居の建て替えを考えており、地主様であるSさんに底地(貸宅地)と借地権の等価交換を申し出ました。
地主様であるSさんがこれを受け入れ、晴れてKさんは底地(貸宅地)と借地権を交換することとなったのです。
この場合、まず100坪の土地を借地人様Kさんの借地権割合、地主様Sさんが所有する土地に区別します。
そしてさらにそれらを半分に分割し、半分になった地主様Sさんが所有する土地、借地人様Kさんの借地権割合をそれぞれ等価交換します。
このように交換することで、借地人様Kさんと地主様Sさんは、それぞれ50坪ずつ土地を所有することになりました。
交換する面積について意見が合致しない場合
底地(貸宅地)と借地権の交換では、交換する面積について地主様、借地人様の意見が合致しないことがあります。
意見が合致しなければ、当然底地(貸宅地)と借地権の交換は成立しません。
この場合は、面積の差を埋めるための金銭を支払うことで、交換を成立させることができます。
例えば、地主様が45坪の底地(貸宅地)を差し出し、50坪の借地権を取得したいという場合は、5坪の面積の差を埋めるための金銭を、借地人様に対して支払うことになります。
借地権の特定部分の売却における事例
借地人様であるAさんは、相続された100坪の底地(貸宅地)にある住居で生活していました。
またAさんは、底地(貸宅地)にある建物の建て替えを考えていましたが、建て替えをする場合、多くの建て替え承諾料を支払わなければいけない可能性がありました。
また地代も非常に高額だったため、借地権の半分を売り、残りの底地(貸宅地)に借地権の売却益を利用して、新しい住居を建てようと計画しました。
つまりAさんは、借地権の半分を地主様以外の人物に売却しようとしたということです。
まずは地主様に相談するのが最優先
借地権の特定部分の売却については、地主様にとってよっぽど不都合がある場合を除き、基本的には認められています。
また、もし地主様に借地権の特定部分の売却を認めてもらえなくても、裁判所への申し立てによって許可される場合があります。
ただいきなり裁判所に申し立てをしてしまうと、地主様との関係が非常に悪くなってしまいます。
したがって、地主様に借地権の特定部分の売却を認めてもらえるかどうか不安な場合でも、地主様への相談は最優先に考えておきましょう。
またもし地主様が借地権の特定部分の売却を許可してくれた場合は、必ず特定部分の売却に関する承諾書を地主様から受け取りましょう。
この書類がなければ、地主様に許可された借地権の特定部分の売却なのかどうかがわからないため、買い手に不信感を抱かれてしまい、なかなか借地権を売却できなくなります。
まとめ
底地(貸宅地)と借地権の交換、借地権の特定部分の売却について、事例を見ながら解説してきました。
もし実践できれば、どちらも借地人様にとって非常に便利な選択肢となります。
ただ地主様の許可を得ることができなければ、どちらも実践するのは難しくなります。
上記の選択肢を実践した後も、地主様との関係は継続するため、できるだけ関係を悪化させずに実践できればベストです。