土地の区画整理をする際は、普段あまり耳にすることがないような用語が登場することもあります。
不動産関係の用語が多いのですが、社会人になるといつ不動産に関わりを持つこととなるかわからないので、わかりにくい言葉の意味は覚えておいて損はないでしょう。
今回は、その中でも特にわからないという人が多い用語について説明していきましょう。
土地区画整備とは?
そもそも、土地区画整備というのはどういったことなのでしょうか?
用語について学ぶ前に、まずはその用語が使われる状況がどういったことなのか、という点について解説します。
土地区画整備というのは、土地区画整理事業ともいわれるものです。
その具体的な内容は、都市計画を行う区域に含まれる土地の中で、公共施設を整備した利改善したりすることや、宅地の利用を増やすことを目的として土地の区画を改めて形成したり、公共施設を新たに設立もしくは既存の施設を変更したりすることです。
もう少しわかりやすく言うと、地区内の土地の価値を高め、道路若しくは公園などの整備・改善をするために、新設や改修などを行いつつ土地の形状も整えよう、ということになります。
こうした事業は地方公共団体が行うイメージがあるかもしれませんが、土地区画整理組合など他のところが行う場合もあります。
地方公共団体の場合は、市街地や交通網が集中する地点を中心に行われることが多く、それ以外の場合は、まずその地区の地権者が集まって土地区画整理組合を立ち上げてから行われます。
土地区画整理事業というのは、例えば土地の隙間を縫うように道路が曲がりながら通っている場合に、その道路がまっすぐになるように設計し直し、その際に道路が敷設されることになる土地を保有している地権者から、その土地を提供してもらうことになります。
土地を提供することになる地権者には、金銭的な負担が生じるわけではありません。
しかし、土地の面積は基本的に長方形や正方形に収まる形に整えられ、余った土地が切り取られるような状態となります。
ちなみに、このように土地を一部提供することを、減歩といいます。
土地の提供者は、土地の広さ自体は狭くなるもののきちんと成形された土地を手に入れることができるので、土地の価値はかえって高くなることもあります。
また、土地が面している道路が広くなり、周囲に公園なども作られるので周囲の環境も改善されるため、その地域一帯の価値も底上げされることになるでしょう。
土地を提供するとなると損をするように思えますが、実は特になることが多いのです。
用語① 底地
それでは、用語について解説していきます。
まずは底地についてですが、実は不動産関係の用語としての底地には、2つの意味があるのをご存知でしょうか?
この用語の意味として使われることが多いのが、借地権に関連した所有権についてです。
土地の所有権というのは、その土地の名義人にあります。
何もない場合、その土地の名義人がすべての権利を有していることになります。
しかし、その土地を貸し地としているケースでは、その土地に関わるほとんどの権利は借地権として、その土地を借りた人が権利を持つのです。
しかし、土地の根本的な所有権だけは、土地の名義人の元に残されることになります。
この、土地の権利に対して借地権が生じた際に、名義人の元に残される権利のことを底地と呼ぶのが一般的な使われ方です。
しかし、土地区画整理における底地というのは、また違った意味で使われるのです。
まず、整理される宅地はその状況などを鑑みた上で、もっとも利用しやすくなるように再配置を行います。
この、新しい宅地のことを換地というのですが、これが行われる前に先行してその新しい土地を利用可能にするのが、仮換地です。
これが決まったときに、元の土地の区分でその新しい土地の範囲に含まれる土地が、このケースにおける底地となるのです。
借地権に伴う底地とは全く意味が異なるので、混同しないように気を付けましょう。
この場合の底地は少し複雑なのでもう少し説明すると、例えば土地区画整理前に4つの土地とそれを分ける道があり、土地を整理した際に元の①と③、元の道路にまたがる位置が仮換地になったケースで考えましょう。
このケースでは、①と③、道路がその仮換地に指定された土地の底地ということになります。
元の土地については①と③、道路の全てが含まれている必要はなく、その一部だけでも含まれていれば底地に該当します。
用語② 従前地
続いては、もう一つの用語である従前地がどういう意味なのかを解説します。
これについては、他の不動産関係の話題ではあまり使われることが少ない用語なので、底地のように紛らわしいことはそれほどないでしょう。
これが何のことかといえば、土地区画整理前に元々所有していた宅地のことをいいます。
土地区画整理の最中に仮換地が指定された場合、その土地から利益が生じた時にそれを得たり、自分でそのまま使用したりする権利である使用収益権は仮換地とされた土地が利用できるようになった時点で仮換地とされた土地に移行するのですが、土地の所有権自体は正式に換地が終わるまでは従前地に残っているのです。
単に従前地を部分的に減歩しただけであれば、あまり気にすることはないでしょう。
しかし、土地区画整理の結果、換地先が従前地とは異なる場所になるかもしれません。
その場合は、この使用収益権と所有権について大きな意味を持つこともあるでしょう。
このケースで宅地といわれるのは、通常の宅地とは異なり公共施設に使われている土地を除くすべての土地のことをいいます。
この時の公共施設には、道路や河川、公園などが含まれているのですが、それ以外はたとえ工場がある土地であっても宅地として扱われるのです。
また、換地というのは土地区画整理法に基づいた換地処分という行政処分の一種であり、都道府県知事によってなされて対象者へと通知されます。
この処分がされた場合、対象の土地は公告があった次の日以降従前地になるのです。
正式に換地がされていない状態でその土地を担保に入れる場合、そちらの土地についてはまだ正式に所有していない状態ですが、従前地を担保にすれば自動的に新しい土地を担保にしたことになります。
これ以外にも、土地区画整理事業において使われる不動産用語として、保留地というものがあります。
これは、その地域の整理を行う際の施工費用に充てるために、誰も利用することがない土地のことです。
底地や従前地と一緒に出てくることも多いので、覚えておくといいでしょう。
普段馴染みのない不動産用語ですが、話題として出てくることもあるので覚えておいた方がいいでしょう。
とくに、底地の場合は借地権に関連した意味だけ知っていると混乱するかもしれないので、違う意味で使われることもあると覚えておいてください。
まとめ
その地域の土地を大きく変更することになる土地区画整理事業はめったに行われないこともあって、普段は耳にしないような用語もたびたび登場します。
その中でも、今回は底地と従前地について解説しました。
いずれも、勘違いしやすい用語であり、簡単に説明されてもわかりにくい部分があるので、どういう意味で使われるものなのかをこの機会に覚えておいてください。