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レオパレス問題に関して解説します

「レオパレス問題」というのを聞いたことがあるでしょうか?
アパート運営で有名なレオパレス21で、大量の施工不良が発覚した事件のことですが、これはなぜ起こってしまったのでしょうか?
その原因や、詳しい内容について解説します。

きっかけはテレビ?

レオパレス問題が明らかになったのは、「ガイアの夜明け」というテレビ番組だといわれています。
その時は、どのような内容が放送されていたのでしょうか?

番組内で放送されたのは、レオパレス21が運営しているアパートの中で、木造賃貸のゴールドネイルシリーズについて調査したという内容です。
そのきっかけは、業界内で屋根裏に界壁がないという話が広まっていたからです。

界壁というものに聞き覚えがない人もいると思いますが、これは火災が起こった際に延焼するのを防止する役割や、遮音の役割を持っている防火壁のことです。
その設置は、建築基準法で義務とされているのですが、その界壁がないといわれていたのです。

実際に一級建築士が調べてみると、三重県にあったアパートの界壁はベニヤ板一枚だけでした。
これは設置されている目的を果たすことができないため、建築基準法違反となります。

さらに後日、岐阜県のアパートには界壁そのものがない状態であることも確認されました。
これでは火災が起きた時には全戸へと延焼する可能性があるため危険性が高く、また防音にも問題が生じることになります。

それから約1ヵ月後には、レオパレス21の担当者が立ち会う中で、岐阜県の担当職員によって正式に調査された結果、界壁がないということが確認されました。
また、三重県でも担当職員が正式な検査を行い、建築基準法違反に当たることを認定しました。

三重県の検査結果が出た日の午後には、レオパレス21によって緊急記者会見が行われています。
アパートのオーナーから、確認通知図書と実際の施工が違うとの指摘を受けたため、補修工事を行うと共に、現在ある915棟すべてに対して調査を行うというものでした。

それからおよそ1ヵ月後のプレス発表では、調査済みの物件の多くには界壁がないということが確認されたと発表されています。
この発表は2018年5月29日の時点でのものですが、調査は2019年4月時点ではまだ全物件では完了していないので、まだ増えていく可能性があります。

レオパレス21の物件は、全国で37,853棟あるとされていますが、2019年1月までに調査された物件のうち1895棟では、建築基準法違反があると確認されています。
また、2月までには新たに1324棟の物件に施工不良があるということが発表されています。

なぜ、このような問題が起こったのでしょうか?
その原因としては、物件の多くがサブリース契約のものであることも無関係ではないでしょう。

契約の内容

レオパレス21では、まずオーナーと契約してアパートを建築し、その建築費用はオーナーが負担して、アパートはレオパレス21が一括して借り上げる、という方法を武器にして、物件数を増やしています。

家賃は手数料や必要経費を差し引いてオーナーに支払うのですが、入居率が悪い物件については家賃の減額などの契約改定を要求することもあります。
30年間家賃保証とはいっていますが、実際には5年ほどで契約の改定を求められるケースもあるようです。

その代わりに、レオパレス21でサブリース契約をしている物件の建築費は、地元の工務店に建築を依頼するよりも安くなるといわれているので、その点に魅力を感じる人も多いでしょう。
しかし、その結果が今回の事件です。

界壁がないというのは、コスト削減の為に行ったと思われます。
しかし、界壁を節約したところでその額はたかが知れています。
今回は表ざたにはならなかったものの、他にも建築法に違反している点があってもおかしくはないでしょう。

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
その理由としては、建築費が安ければそれだけ投資家に提示できる利回りが増えるという点が挙げられます。

建築費は投資家の負担ですが、それに対して提示される利回りが大きくなれば、投資先として優秀なように思えるでしょう。
しかし、その利回りは満室時を想定したものだということを忘れてはいけません。

たとえ空室があったとしても、家賃保証があるためオーナーには関係ないように思えるでしょう。
ただ、それは契約の内容によって異なります。

例えば、契約書に「入居率に応じて、家賃は減額される」という旨の文章があったとします。
契約時には、新築アパートは入居率が高いので、10年以上は大丈夫という説明がされているかもしれません。

この一文があると、入居率が低い場合はオーナーに支払う賃料が少なくなるため、レオパレス21は損をしなくなります。
その損失は、オーナーのものとなってしまうのです。

そして、不正な施工がされているアパートは、様々な形で不具合が生じます。
レオパレス21のアパートは壁が薄い、という悪評がその最たるものでしょう。
今回は、遮音効果がある界壁がない物件が多かったため、そのせいでこのような評価がされているのかも知れません。

地元の工務店は、悪評が立つとその地域での仕事がしづらくなるので不正な工事を行うことは少ないでしょう。
しかし、その分建築費は高くなってしまうので、オーナーはどうしてもレオパレス21の方がいいのではないか、という気持ちになるのです。

不正を避けるためには?

不動産投資には、このような不正問題が起こることは少なくありません。
レオパレス以外にも、かぼちゃの馬車事件などもあり、世間を騒がせていました。
このような不正の被害に遭わないためには、どういったことに気を付けるべきなのでしょうか?

まず、このレオパレス事件、そしてかぼちゃの馬車事件は、いずれもサブリースを利用している物件での事件です。
サブリースそのものは悪い仕組みではないのですが、こうして不正に利用しようと目論む人もいるのです。

それを避けるためには、まず言われたことを鵜呑みにしないことです。
サブリースを勧められて、利回りがこれだけあると提示されたとしても、それをそのまま受け入れるのではなく自分で計算してみましょう。

また、キャッシュフローの計算も行い、投資するだけの収入が見込めるかどうかも確認しましょう。
アパートであれば、周囲の物件の入居率や同種類の物件での利用率なども確認してみましょう。

自分の資産を投資するのですから、大切なのは後から後悔しないように自分で判断することです。
そのためには、大変に思えるでしょうがしっかりと情報を集めて、投資するべきかどうか考えてみましょう。

投資するかの判断は、落ち着いて行いましょう。
営業マンに「今ならお得です!」といわれたときこそ、いったん持ち帰って冷静になってから契約するべきです。
契約を急かされたからといって、契約書を斜め読みして契約してしまわないように注意してください。

まとめ

レオパレス問題は、今後のサブリース契約を左右するほどの大きな問題といえるでしょう。
このような不正が横行しているようでは、怖くてサブリース契約を結びたくないと考える人が増えていくことになります。
建築においては、震災以降は耐震性にばかり目が向いているのですが、居住性に関連する遮音性、そして何かあった時の防火性については、重視するべき点です。
甘い言葉に騙されず、よく考えてから契約をするようにしましょう。

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