【地主様向け】さまざまな地代の種類について解説します
地代とは、土地を借りる借地人様から地主様に支払われる賃料のことを言います。
逆に言えば、地主様は土地を貸し出すことで、借地人様から地代を受け取ることができます。
この地代にはさまざまな種類がありますが、その中でも今回は“継続地代”と“相当の地代”についてそれぞれ解説したいと思います。
地代の種類①“継続地代”って?
継続地代とは、地主様と借地人様との借地契約を継続するにあたって、特定の当事者間において成立すると予想される経済価値を表示する適正な地代のことを言います。
簡単に言うと、すでに地主様と賃貸借関係にある借地人様とのこれまでの経緯、契約開始後の事情の変更などを反映させた地代ということになります。
地代の増減請求に係る場合に用いられる概念であり、鑑定評価基準では、同じ目的で継続中の賃貸借契約などに基づく“実際支払賃料”とされています。
ちなみに借地契約を継続する場合ではなく、地主様から借地人様へ新たに土地を貸し出す場合の地代は“新規地代”と呼ばれ、また別の種類の地代となります。
適正な継続地代を求める方法は4種類
適正な継続地代を求める方法には、以下の4つの種類があります。
・差額配分法
新規地代と、現行の地代における差額を、地主様と借地人様に配分して継続地代を求める方法です。
・利回り法
土地の価格に類似する価格に、“継続賃料利回り”という利回りを乗せ、これに必要諸経費などを加算して継続地代を求める方法です。
ちなみに新規地代を求める際も、“積算法”という同じような方法が用いられることがあります。
・スライド法
現行の地代の求めた時点における純地代、または実際の地代等に変動率を乗せ、必要諸経費などを加算して継続地代を求める方法です。
・賃貸事例比較法
周辺エリアの継続、更新の賃貸借契約などにかかる地代を比較し、継続地代を求める方法です。
事例の入手が難しいエリアでは、あまりおすすめできない方法です。
地代の種類②“相当の地代”って?
借地契約においては、一般的に借地人様から地主様に対して、“権利金”が支払われます。
権利金とは、借地契約の際に地代とは別に支払われる金銭のことであり、借地権設定の対価として支払われることが多いです。
つまり、“土地を貸してもらうことに対するお礼”のような意味合いで支払われる金銭だということです。
また借地契約では、一般的に権利金と併せて“通常の地代”も支払われます。
権利金が支払われ、借地権が設定された土地は、借地権と底地で構成されています。
借地権は借地人様、底地は地主様が権利を持っている土地であり、借地人様はこの土地を利用するにあたり、底地に対する地代を支払わなければいけません。
この地代を、“通常の地代”と言います。
ただ親族などが関係する企業が土地を借りる場合などの“同族関係者間取引”では、借地人様から地主様に権利金が支払われない場合があります。
この場合、借地人様は通常の地代よりも高額な地代を支払うことになり、底地だけでなく借地権にも対応する地代を含めて支払う必要があります。
この地代を“相当の地代”と言います。
また借地契約をしたにも関わらず、権利金のやり取りも相当の地代の支払いも行われない場合、権利金のやり取りがあったと見なされ、課税の対象になります(借地権の認定課税)。
まとめ
地主様が知っておくべき地代の種類として、“継続地代”、“相当の地代”について解説しました。
一言に地代と言ってもその種類はさまざまであり、借地人様だけでなく地主様が注意しておかなければいけないこともたくさんあります。
例えば継続地代であれば、地主様が適正な金額を求められなければ、借地人様とのトラブルが発生する原因にもなりかねません。
借地契約には、権利や金銭が複雑に絡んでいることを自覚しましょう。