借地権は“無形固定資産”に当てはまるのか?

固定資産には無形固定資産、有形固定資産、その他の資産の3種類があります。
今回はそれぞれの違いを解説し、借地権が無形固定資産に該当するのかどうかに関しても検証したいと思います。
知識がないと混同して覚えてしまいがちな固定資産もあるので、しっかり学んでおきましょう。

物理的に存在するかしないかで固定資産は分けられる

簡単に言うと、無形固定資産は物理的に存在しない資産のことです。
有形固定資産はその逆で、形があり物理的に存在する資産です。

無形固定資産 特許権、商標権、営業権、漁業権、実用新案権、ソフトウェアなど
有形固定資産 建物、建物の設備等、航空機、船舶、車両運搬具、工具など

 

では形のない借家権は、無形固定資産に当てはまるのでしょうか?

借家権は無形固定資産ではなく“非減価償却資産”

実は固定資産には、無形固定資産でも有形固定資産でもないものが存在します。
該当するかしないかを判断するには、全ての固定資産を“減価償却資産”、“非減価償却資産”の2種類に分けなくてはいけません。

減価償却資産とは、時間が経つにつれて少しずつ価値が下がっていく資産のことを言います。
無形固定資産、有形固定資産に当てはまる資産は、全てこの減価償却資産に当てはまります。
これには建物や自動車などが該当します。
特許権や商標権、ソフトウェアなども時間の経過によって少しずつ価値が下がるとされているため、減価償却資産に該当します。

これに対して、時間がいくら経過しても価値が下がることのない資産を“非減価償却資産”と言います。
非減価償却資産は、無形固定資産でも有形固定資産でもない資産です。
借家権は経年劣化して価値が下がるものではないので、無形固定資産ではなく非減価償却資産に該当します。
また、同じ資産の中に減価償却資産と非減価償却資産が混同するというケースもあります。
例えば建物でも、非減価償却資産に該当するものがあります。
まだ建設途中の建物であれば、建設が終わっている部分のみが減価償却資産となり、建設が終わっていない部分は非減価償却資産という扱いになります。

この場合、完成していない部分は“使用されていない資産”という扱いなので、無形固定資産でも有形固定資産でもありません。
この細分化がややこしいのは、“価値が上がるものと上がらないものの見極め”が難しいためです。
例えば、骨董品や書画などの有形固定資産は一見経年劣化しそうに思えますが、時間が経つにつれて逆に価値が上がる場合もあるので、非減価償却資産扱いになるものもあります。
借家権を始めとする形のないものが、無条件で無形固定資産に当てはまるというのは間違いだということです。

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