事業用借地権の契約にはどんなメリットがある?
皆さんは“事業用借地権”というものをご存じですか?
地主は借地権者と契約を結び、借地権者は居住用の建物でなく事業用の建物だけを建設することができます。
これが定期借地権の一種である事業用借地権です。
事業用借地権は、以前と比べ非常に契約しやすくなったことで注目を集めています。
今回は、事業用借地権を契約することによって得られるメリットについて解説します。
事業用借地権は地主にとって大きなメリットがある契約方法
事業用借地権は、主にロードサイドショップ、ガソリンスタンドなどで多く利用されています。
地主が建物を建設し、その建物を第三者に貸し出して賃料を得るという方法もありますが、その方法ではとてもコストがかかります。
地主は建物を建設するために融資を受ける場合がほとんどなので、賃料で利益を上げてもしばらくは借入金の返済に充てる資金が必要になります。
事業用借地権を借地権者と契約すれば、地主自ら建物を建設する必要がないので、融資を受ける必要もありません。
また事業用借地権を契約すると、年間で土地代の3%~6%の地代を得ることができ、元々高い収益性を兼ね備えています。
したがって地主が建設をして賃料を得る方法と比べると、非常にローリスクハイリターンな方法であることが分かります。
事業用借地権は改正によって借地権者にもメリットがある契約に
事業用借地権は、2008年に借地借家法が改正されて以降、非常に契約しやすくなりました。
それまでの事業用借地権では、借地期間が“10年以上20年以内”と短く設定されていました。
借地権者は借地期間が終わると、建物を取り壊して土地を地主に返還しなくてはいけません。
しかし、建物の償却期間は20年以上に設定されていることが多く、期間満了時の借地権者の負担がとても大きかったのです。
よって、なかなか事業用借地権を契約する方はいませんでしたが、改正後は借地期間が“10年以上50年以内”となり、期間満了時の負担が解消されています。
またこれまでの事業用借地権は、コンクリートや鉄筋の建物が建設しにくい契約でした。
どれだけ耐久性に優れた建物を建設しても、20年後には必ず取り壊さないといけなかったからです。
借地期間が延びたことで、借地権者は安心して耐久性に優れた建物を建設できるようになったのです。
改正前は地主へのメリットが非常に大きい契約でしたが、改正後は地主と借地権者の両者にとってメリットのある契約へとなっています。
事業用借地権の契約をおすすめする地主は、大きな幹線道路沿いなどに土地を所有している方です。
幹線道路沿いであれば、ガソリンスタンドやロードサイドショップの需要は高く、効率的な土地活用となります。
また事業用借地権を契約することで、同じ建物を長い期間存続させることができるので、地域の活性化や街づくりにも一役買うことができます。