底地・借地権

借地権割合について

借地権は、所有権(建物、土地ともに所有者が同じ不動産)と比べて、売却や評価、相続などにおける手続きや考え方が複雑化しやすいです。
また、借地権における重要なデータの一つに、“借地権割合”というものがあります。
今回は、借地権割合の概要や調べ方などについて、詳しく解説したいと思います。

借地権割合の概要

借地権割合とは、土地の価格に占める借地権の価格が占有する割合のことをいいます。
借地権は、土地を有償で借りて建物を建て登記した場合、その土地を利用できる権利のことで、経済的な価値のある財産とみなされ、相続や贈与の場合には課税対象となります。
また、借地権相続の際の評価額や、借地権の売却代金を簡単に算出するために設定されているのが借地権割合で、国税局が土地の所在地ごとに決定し、国税庁のホームページで公表しています。
また、一般的には、地価の高い地域ほど、借地権割合も高いケースが多いです。

借地権割合の決め方

借地権割合は、土地の利用価値などの事情に合わせて、地域によってそれぞれ決められています。
数値は%で表され、最高で90%、最低は20%です。
先ほども少し触れたように、都市部の繁華街など利用価値の高い土地ほど借地権割合が高く、郊外の不便な場所など利用価値が低い土地ほど低くなります。

表記 借地権割合 土地の例
A 90 都心部の主要駅周辺かつ目立つ場所などの一等地
B 80 都市部の主要駅周辺
C 70 交通量が多い駅前の商業地域、高級住宅地など
D 60 都市部への通勤や通学が便利な市街地
E 50 郊外にある人気の高い住宅地
F 40 地方の交通網が発達した住宅地
G 30 農業地域など生活に車が欠かせない地域
– 20 借地権の取引慣行が存在しない地域

借地権割合が必要になる場面

借地権割合が必要になるのは、主に相続や建物の売却が行われるときです。
相続をするときには、借地上の建物も対象になります。
このとき、借地権も財産評価しないといけないため、相続税を計算したり、遺産分割協議を行ったりするために借地権割合の調査が必要です。
また、借地上の建物を売却するときにも、借地権割合が重要です。
こちらの場合、建物だけではなく借地権にも財産的価値があるため、借地権割合を調べて借地権の評価もした上で、売買代金を決定する必要があります。
ちなみに、借地権割合が高い土地だと、相続評価が高くなるので相続時には不利になりますが、売却時には高額で売れるため有利になります。

借地権割合を自分で調べる場合の手順

相続や建物の売却に伴い、借地権割合を自身で調べたいという方は、以下の段階を踏むことになります。

・国税庁のホームページにアクセスする
・当該土地のある地域の路線価図を開く
・借地権割合を確認する

国税庁のホームページにアクセスする

国税庁のホームページにアクセスし、財産評価基準書 路線価図・評価倍率表を開きます。
こちらは、相続や遺贈、贈与により取得した財産にまつわる、相続税や贈与税の財産を評価する場合の路線価や評価倍率をまとめたページです。

当該土地のある地域の路線価図を開く

財産評価基準書 路線価図・評価倍率表を開くと、日本地図が表示されます。
その土地がある都道府県をクリックすると、“○○県 財産評価基準書目次”のページが表示されるので“路線価図”をクリックします。
選択した都道府県の住所が表示されるので、その土地がある住所を選んでいくと、その土地がある地域の路線価図が表示されます。

借地権割合を確認する

路線価図の右上に“記号”、“借地権割合”が記載されている表があります。
その表と路線価図を見比べて、借地権割合を確認します。

借地権価格が評価額から変動するケース

借地権割合を使って算出した借地権評価額は、あくまで基準であり、実際の借地権価格は変動する場合があります。
金額の変動には、借地権者や不動産の状況、土地の価格など、さまざまな条件が関わるため、借地権の売買価格に目安はありません。
具体的には、借地権者の方が実際に支払った地代の金額、地主の承諾の有無などにより、借地権価格が上がったり下がったりすることがあります。

借家権割合について

借地権割合と混同しがちなデータに、借家権割合というものがあります。
こちらは、賃貸マンション、賃貸戸建てなどを相続した際に土地(貸家建付地)や建物の相続税評価額の計算式に算入される割合のことで、借地権割合とはまったくの別物です。
ちなみに、借地権割合が地域ごとに細かく設定されているのに対し、借家権割合は、令和3年12月末時点で全国一律30%となっています。
ただし、こちらも借地権割合と同様、その土地を管理する国税局が定めるため、将来的には変更される可能性もあります。

まとめ

ここまで、借地権割合の概要や調べ方、活用する場面などについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
借地権者の方は、今後借地権割合がデータとして必要になるケースが極めて高いです。
そのため、どうすれば調べることができるのか、どのタイミングで利用するのかなどについては、前もって把握しておくことをおすすめします。

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