手付金の相場や支払うタイミングについて
不動産売買で発生する手付金は、契約成立の証拠として、買主から売主に対して支払われるものです。
今後不動産の購入を控えているという方は、こちらの金額や支払いに関することについて、気になる方も多いかと思います。
ここからは、手付金の相場や支払うタイミングなどについて解説します。
手付金の相場について
不動産売買における手付金の相場は、不動産売買価格の5~20%とされています。
売主が不動産会社の場合は、手付金の金額を売買価格の20%以内に設定することが法律で定められていますが、その範囲内であれば、契約時に買主・売主が協議して決定することが認められています。
つまり、相場は存在するものの、実際どれくらいの金額になるかについては、各売買契約によって大きく変わってくるということです。
ちなみに、売買契約時に不動産会社が提示してきた手付金の金額について、買主は納得いかない場合、異議を唱えることができます。
手付金の設定方法について
手付金の設定は、買主と売主が協議して決定することができるという話をしましたが、このときの設定金額については、安すぎず、高すぎない金額を心掛けるようにしましょう。
手付金には、簡単に契約をキャンセルされないようにする、一種の担保としての役割があります。
そのため、金額を安く設定しすぎると、買主・売主ともに契約解除が出やすくなり、トラブルに発展する可能性も高くなります。
かといって、金額を高くしすぎても、解約が難しくなり、解約手付のメリットを享受しづらくなるため、注意しなければいけません。
手付金を支払うタイミング
手付金を支払うタイミングは、原則不動産売買契約日の当日です。
ただし、場合によっては、前もって振り込みによって支払うこともあります。
こちらの理由としては、契約当日に買主が現金を持参することに関し、リスクが生じるからです。
不動産売買契約は、買主と売主の都合が良い日に行われるため、必然的に休日であるケースが多くなります。
土日祝日は銀行が営業していないため、買主は契約当日に備え、前もって平日の間に多額の現金を引き出しておかなければいけません。
しかし、このようなケースでは、買主は数百万円にも上る手付金を一度、自宅で保管しなければいけなくなり、窃盗などのリスクは高くなります。
そのため、休日に不動産売買契約を締結する場合は、その直前の金曜日に振り込まれることがあります。
こちらのタイミングについては、買主と売主、不動産会社が協議して決定します。
売買契約時に買主・売主が同席できない場合
手付金は、売買契約の当日に支払われるのが一般的ですが、場合によっては、買主と売主のいずれかが同席できない場合があります。
このようなケースでは、買主が直接手付金を支払うのが不可能になります。
また、買主と売主が同席しない不動産売買契約は、不動産会社が双方の元を訪れ、契約書への記名、押印をもらう持ち回り契約で行われることがあります。
ちなみに、このような契約形態により、当日支払えなかった手付金については、不動産会社に預けるという形が一般的です。
その後、不動産会社は売主に手付金を手渡し、買主から預かった預り証と、売主の領収書を交換し、支払いが完了したという証として、領収書を買主に手渡します。
このとき、買主が不動産会社に対し、預り証を手渡していないと、確実に手付金が支払われたという確認が取れず、トラブルにつながってしまう可能性もあるため、注意しなければいけません。
手付金が支払えない場合の対処法
手付金は、不動産売買において発生する金銭の一部に過ぎません。
例えば、注文住宅を建築する場合、手付金以外にも、土地の引き渡し時に残代金、工事請負契約の際に建築会社に支払う手付金、工事着工時に着工金などが発生し、これらはすべて現金で支払わなければいけません。
手元の資金が潤沢であれば一切問題ありませんが、経済的な余裕がない方は、上記の金銭を支払っているうちに、手付金を支払う分が足りなくなるおそれがあります。
また、住宅ローンを利用すれば問題ないではないかと考える方もいるかと思いますが、住宅ローンは原則、建物が完成した後でなければ融資が行われません。
そのため、もし手付金が支払えないのであれば、つなぎ融資などの利用も検討すべきです。
つなぎ融資は、住宅ローンの融資が行われるまでの間、必要な資金のために、別の借り入れ方法を使って資金を確保するというものです。
ただし、こちらは無担保での借り入れが可能なことから、金利が高めに設定されているため、できるだけ多くの金融機関を比較し、もっとも金利が低いところを選ぶ必要があります。
まとめ
ここまで、手付金の相場や支払うタイミングなどを中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
手付金は、不動産売買の中でも重要な金銭の一つです。
契約を解除されたときには、自身の負担を減らすことができ、解除しなければいけなくなったときには、相手方にかける負担を減らすことができます。
そのため、金額や支払いのタイミングなどについては、事前にきちんと把握すべきです。