相続した土地を“資材置き場”として活用するという選択肢
相続した土地の処理方法は、そのまま居住する、売却する、活用するという3つの選択肢から選ぶことになります。
また、相続した土地でもできる可能性の高い土地活用に、“資材置き場”としての活用が挙げられます。
今回は、資材置き場の概要と併せて、この活用方法に関することをあらゆる角度から解説します。
資材置き場の概要
名前の通り、資材を保管する場所として、相続した不動産を第三者に貸し出すのが、資材置き場という土地活用の方法です。
貸し出し先となるのは、主に周辺エリアで工事などを行う業者であり、簡単な倉庫を建築した状態で貸し出すケースもあります。
相続した土地を資材置き場として貸し出すメリット
相続した土地を、資材置き場として第三者に貸し出すメリットとしては、主に以下のことが挙げられます。
・イニシャルコストが安い
・土地の形状に関係なく活用できる
・転用性が高い
・管理の手間がかからない
イニシャルコストが安い
相続した土地を資材置き場として活用するメリットには、まず“イニシャルコストが安い”ということが挙げられます。
特に倉庫などを建てず、そのまま土地を貸し出すスタイルの資材置き場であれば、イニシャルコストはほとんどかかりません。
軽く清掃する程度で、借り手さえ見つかればすぐに活用を始められます。
不動産を相続した方の中には、相続税などですでに経済的な負担が増えている方もいるため、これは非常に大きなメリットだと言えます。
土地の形状に関係なく活用できる
相続した土地を資材置き場として貸し出すメリットとしては、“土地の形状に関係なく活用できる”ということも挙げられます。
資材を置けるスペースさえあれば、ある程度狭い土地であっても、形状が歪な土地であっても、十分資材置き場として貸し出せます。
もちろん、賃貸経営を行う際には必要な採光や風通しなどに関しても、資材置き場では基本的に必要ありません。
転用性が高い
“転用性が高い”というところも、相続した土地を資材置き場として貸し出すメリットの1つです。
つまり、別の用途に転用しやすいということです。
その理由としては、やはり建物を建てる必要がないため、すぐ更地に戻せるということが挙げられます。
管理の手間がかからない
相続した土地を放置していると、ゴミを不法投棄されたり、草木が生い茂ったり、建物が老朽化したりと、景観や周辺環境を悪くしてしまう可能性があります。
そのため、相続人は定期的に土地をメンテナンスする必要がありますが、相続した土地が居住地から遠い場合、管理の負担は大きくなります。
一方、資材置き場として活用すれば、基本的には貸し出し先の企業等に管理をしてもらえるため、相続人は手間も費用も省けます。
相続した土地を資材置き場として貸し出すデメリット
相続した土地を資材置き場として貸し出すということは、非常に良い選択肢ではありますが、いくつかのデメリットもあります。
具体的には以下の通りです。
・収益性が低い
・ニーズが少ない
・相続税の軽減対象にならない
収益性が低い
数ある土地活用の中でも、資材置き場は収益性が低い部類に入ります。
これは、やはり何もない状態の土地を貸し出すがために、それほど高い賃料を取れないことが理由です。
例えば、300㎡ほどの広大な土地であったとしても、月に得られる賃料はせいぜい10万円前後でしょう。
もちろん、賃料を高額にしすぎると、借り手は見つかりにくくなってしまいます。
ニーズが少ない
そもそも、資材置き場は賃貸物件などに比べて、あまりニーズが高くありません。
これは、相続した土地の周辺エリアに建設会社などがない限り、貸し出し先は見つからない可能性が高いことを表しています。
もちろん、周辺で行われる一時的な工事の際に貸し出すこともできますが、その場合は工事が終わると収入も途絶えてしまうため、長期的な安定収入とは程遠い状況になってしまいます。
相続税の軽減対象にならない
相続した土地を資材置き場として貸し出す場合、その土地は相続税の軽減対象になりません。
これは、建物が建っている場合に受けられる“小規模宅地の特例”という制度の対象外になってしまうことが理由です。
資材置き場として活用することの注意点
先ほど、相続した土地を資材置き場として貸し出すメリットの1つに、“転用性が高い”ということが挙げられるという話をしました。
これは、建物が建っていないことが理由ですが、稀に貸し出し先によって、敷地内に建物が建てられるケースがあります。
これをされてしまうと、貸し出し先との契約が終了したとき、更地にするまで時間がかかってしまうため、賃貸借契約書には、あくまで資材置き場としての利用のみ認めることを明記しておきましょう。
まとめ
ここまで、相続した土地を資材置き場として貸し出すという選択肢について解説してきました。
非常にシンプルな活用法であり、今後別の用途で土地を使用する可能性がある方にとってもおすすめの資材置き場ですが、簡単に貸し出し先が決まるわけではありません。
また、相続税の負担も増えることが予想されるため、実践するか否かは、現状を把握して慎重に判断しましょう。