土地を有効活用するために、造成地について知っておこう
山林や畑などに使われていた広い土地が、気付いたら住宅地へと変化していた、という光景に見覚えは無いでしょうか?
また、相続などで自分が所有している土地の中で、整備されていない土地などがある場合、土地の価値を高めるために何をしたらいいのでしょうか?
今回は、そういった時に深く関わることになる、造成地について解説していきます。
造成地とは?
土地の種類としては様々なものがありますが、中には山林や斜面など、そのままでは住宅を建てたりすることができないような土地があります。
このような土地を、住宅地などに変更したい場合には、土地を人工的に造り変える作業が必要となります。
この、土地を人工的に造り変えることを造成といい、造成された土地のことを造成地といいます。
山林や丘陵地などの斜面などを切り崩した造成地が分かりやすい例ですが、それ以外にも畑や田んぼ等に使われている土地を住宅地として造る場合も、造成地となります。
畑や田んぼなど、農地として使われている土地の多くは、道路よりも土地が低くなるように造られています。
また、地盤も柔らかいところが多いので、宅地として利用するにはそのままだと問題があるのです。
造成地は、造成によって宅地にするために不要な部分を削ったり、必要な部分を足したりすることで、住居を建てることができるようにした土地の事です。
このような土地を造成する場合は、何種類かの工事が行われます。
造成地を造り上げるために行われる工事は、主に3種類があります。
伐採・剪定・抜根、切り土、盛り土がその主な工事に当たります。
伐採・選定・抜根については、3つの工事をまとめて行うことが多いので、まとめて1つの工事として考えた方が良いでしょう。
伐採・剪定・抜根というのは、主に畑の中でも休耕地となっている土地や、山林などを造成する際に行われます。
このような土地は、植物などが多く生えているため、それを除去するための工事となります。
伐採というのは、大きくなっている木を切り倒すことをいいます。
また、樹木本体はそれ程邪魔にならないものの、枝などが邪魔となるようであればその枝を切り落とす、剪定が行われます。
樹木を伐採した後は抜根といって、根を除去する工事が行われます。
大規模な造成工事の場合、樹木は全て伐採して抜根することが多いのですが、雑木林を切り開いて住宅1軒分のスペースを確保するような造成工事の場合、樹木は邪魔になる部分だけ伐採・抜根を行い、残りは最低限剪定するだけになります。
造成地が傾斜地の場合、切り土と盛り土の工事が行われます。
切り土は、斜面を削り取ることで地盤が低くなるよう調整して、平坦地へと作り変える工事です。
斜面をすべて切り崩すのではなく、一部を削り取る工事なので、山の中腹に平坦地を造成するような形となります。
削り取った土は、別の場所に運ばれていくこともありますが、斜面の下部を埋めて地盤を高くして、平らな土地を増やす盛り土工事に使われることがほとんどです。
別のところから土を運んでくると別途費用が掛かるので、同じ場所で使ってしまった方が効率的でしょう。
また、盛り土工事は斜面だけではなく、田んぼや畑、池などを埋め立てる際にも行われます。
周囲より土地が低いため、高さを合わせるために盛り土を行うのです。
注意が必要な点
本来であれば、住宅地には不向きな土地であっても住宅地として利用できる造成地は、土地の活用を考えても活用できる幅が広がるので非常に便利です。
しかし、注意が必要な点もあります。
特に注意が必要なのが、盛り土によって造成された造成地です。
土地というのは、徐々に土が堆積して長い年月をかけて固まっていき、自然にできていくことで地盤も安定していきます。
しかし、盛り土を行った造成地は一見すると普通の土地であっても、その中身は普通の土地よりも柔らかいため、安定しているとは言い難いでしょう。
数年もすれば、地盤が落ち着いて安定するようになるとは言われているのですが、通常造成地というのは造ってから何年もそのままにしておくことはなく、すぐに建物を建て始めるので良くチェックしてみましょう。
盛り土によって起こりやすくなる問題点としては、まず地滑りがあります。
地震による地盤のゆるみが起こったり、大雨などで地盤に水がしみ込んだりしたときに起こりやすい地滑りは、元々地盤が弱い造成地では起こりやすくなるのです。
また、地震の時には地滑りだけではなく、内部に空洞ができてしまい崩落する危険性もあります。
地震の規模や場所によっては、液状化現象が起こる可能性もあるでしょう。
崩落とまではいかなくても、数年をかけて徐々に地盤が沈下してしまうこともあります。
これは不同沈下といいますが、これも盛り土の造成地で起こりやすい現象です。
いずれも、地盤の弱さが主な原因となって起こり得るトラブルです。
ただ、切り土工事が行われた造成地に関しては、元々そこにある地盤を掘り進めたというだけなので、地盤が弱いということはありません。
そのため、このようなトラブルは切り土の造成地ではあまり起こらず、盛り土の造成地で起こりやすいトラブルとなります。
こうしたトラブルを防ぐために、土地の造成工事をする前には必ず地盤などを確認してから行いましょう。
特に、斜面を造成地とする場合は念入りに地質調査などを行って、地滑りの心配がないと判断されてから工事を行いましょう。
また、地盤が緩いと判断された場合でも、対策として地盤を強化する工事を行うことで、補強ができます。
造成地を選ぶ場合、盛り土をした後で対策工事が行われているかどうかもチェックされることがあるので、必要なら補強のための工事も行いましょう。
地盤をしっかりとチェックして、安心できると分かれば造成地としての価値が高くなります。
しかし、自分では中々調査するのが難しいでしょう。
その場合は、地盤調査を専門にしている会社へと依頼することも考えましょう。
地盤のチェックは、おそらく大丈夫だろうと考えてしまうと、何かあった時に取り返しがつかないことになります。
災害時には多くの命が失われるような取り返しのつかないことにもなりかねませんし、危険性があることを知って放置していたとみなされた場合は、管理責任などを問われる可能性もあります。
地盤が弱い土地の場合は、工事によって地盤を改良することもできます。
そうすることで、災害などいざという時にも強い土地にもなるので、土地を造成地にする場合は必ず、地盤の状態をチェックして適切な対応を心がけましょう。
まとめ
所有している土地の中で、住宅を建てるには不向きな土地などもあります。
そういった土地は価値が低いことが多いのですが、造成地とすることでその価値を高めることができるので、土地活用のために造成工事をすることも考えましょう。
しかし、通常の土地とは違い、造成地の場合は地盤が弱いことがあります。
地盤の弱さはそのまま土地の価値を下げることにもなり、災害時などは被害が拡大してしまう恐れもあるので、造成する前にきちんとチェックしておきましょう。