さまざまな土地の種類とその特徴について解説します
パッと見た感じは同じであっても、形状や権利など、さまざまな違いにより、土地はいくつもの種類に分類されます。
そのため、不動産売買や相続を行うにあたっては、土地に関する知識が必要不可欠です。
ここからは、さまざまな土地の種類とそれぞれの特徴について解説したいと思います。
角地
角地は、交差する2つの道路に接する、名前の通り角の土地です。
2方向が道路になっているため、角地に建てられる建物は、一般的に開放感があり、採光や風通しにも優れ、隣家の圧迫感も少ないです。
また、敷地条件や条例にもよりますが、角地に建物を建築する際には、建蔽率が緩和される場合もあります。
これらのメリットがあることから、資産性は比較的高いですが、購入価格の観点から見ると、他の土地よりは高めに設定されていることが多く、メリットばかりというわけではありません。
ちなみに、購入後にかかる固定資産税や都市計画税についても、角地は割高になります。
底地
底地は、所有する土地に建物の所有や利用を目的とする借地権、地上権が設定されているものであり、底地権とも呼ばれます。
言い換えると、地主がその土地を第三者に貸し出し、地代収入を得ている土地を指しています。
土地そのものは地主の所有物ですが、その土地を借り、そこに建物を建築し、利用している方がいる限り、その人物を無視し、地主が土地を利用することはできないなど、1つの土地に対して複数の権利関係が存在するのが特徴です。
また、底地を売却する場合、借地人に譲渡するケースと第三者に譲渡するケースがありますが、第三者の場合、さまざまな制約を負うことになるなどの理由から、更地の相場価格よりも大きく下回るケースがほとんどです。
逆に、借地人に譲渡する場合、借地人は借地契約による制約等がなくなり、借地権だった土地が所有権となるため、第三者への譲渡よりも高額な価格設定が行われることが多いです。
農地
農地は、耕作の目的に使用される土地です。
ここでいう耕作とは、土地に労資を加え、肥培管理を行い、作物を栽培することを指していて、基本的には土地の登記の地目が田もしくは畑の土地が農地となります。
また、農地では基本的に農地法が適用されることとなり、現時点で耕作がされていない状態であっても、客観的に見て土地の状態が耕作の目的に使用されていると認められる場合は農地に該当します。
ちなみに、長期間放置されていたことから、雑草等が生い茂り、容易に農地に復元し得ないような状況にある場合は、原野や雑種地といった別の地目と判定されます。
旗竿地
旗竿地は、旗状敷地とも呼ばれるもので、道路に接する出入口部分が細い通路状の敷地になっていて、その奥に建物の敷地がある形状の土地です。
竿の付いた旗のような形状をしていることが名前の由来です。
道路側から見ると、建物が奥まった部分にあり、こちらの通路を通って出入りすることになります。
また、都市計画区域内で建物を建てる際には、敷地が道路に2m以上接していなければならないという決まりがあるため、旗竿地における道路と接する通路の出口部分の幅は、最低2mを確保しなければいけません。
ちなみに、旗竿地は周囲が隣家等に囲まれることから、日当たりやプライバシーの問題、駐車スペースの確保といった点に問題があり、建築時に重機が入りにくいことから、建築コストが高額になる傾向にあります。
遊休地
遊休地は、遊休土地とも呼ばれるもので、国土利用計画法による土地取引の許可または届出をして取得した一定規模以上の土地で、取得後2年を経過してもまだ利用されておらず、周辺地域の計画的な土地利用を図るために、有効適切な利用を特に促進する必要あると都道府県知事が認めたものを指しています。
簡単にいうと、取得されたにもかかわらず、長い間利用されていない土地です。
遊休地の通知を受けた場合、所有者は6週間以内に利用または処分の計画を届けなければならず、都道府県知事は必要や助言や勧告を行い、勧告に従わない場合には、地方公共団体等と買い取りの協議を行わせることとされています。
ちなみに、市街化区域において、遊休地の有効利用を促進するために市町村が定めた地区は、遊休土地利用転換促進地区といいます。
自用地
自用地は、他人が使用する権利のない土地です。
相続税および贈与税の課税にあたり、課税対象土地を評価する場合などに用いられる言葉です。
土地の財産価値は、借地権や借家権が設定されていれば、それぞれの権利者に帰属します。
そのため、財産課税においては、土地の評価額を各権利者に分割しなければいけません。
また、その算定の基礎となるのが、所有者以外に使用する権利者がいないとしたときの土地の評価額であり、このような土地を自用地といいます。
まとめ
ここまで、さまざまな土地の種類とそれぞれの特徴について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
不動産売買では自身が購入しようとした土地、売却しようとした土地が、実は特殊な土地であったというケースも珍しくありません。
また、不動産相続においては、権利関係が複雑な土地を引き継ぐことも考えられるため、さまざまな土地の知識は頭に入れておくべきです。