不動産に関する税務・税制用語の意味について解説します
不動産の購入や売却、所有などを行う際には、さまざまな税務や税制に触れることになります。
また、これらのルールには少し複雑なものも多いため、今後不動産に関わる可能性がある方は、少しでも多くの知識を持っておく必要があります。
ここからは、不動産に関する税務や税制用語の意味について解説します。
確定申告
確定申告は、不動産に関わるにあたって欠かせない手続きです。
こちらは、所得を申告するため、確定申告書に必要事項を記入し、住所地の税務署に提出するというものです。
通常、一般の勤労者の方は、所得税の納税について自ら確定申告を行う必要はありませんが、住宅ローン控除を1年目に受ける場合、給与を2ヶ所以上から受けている場合、医療費控除を受ける場合などには、勤労者の方が自ら確定申告を行う必要があります。
また、不動産の貸付による所得である不動産所得がある個人も、必ず確定申告を行わなければいけません。
課税標準額
課税標準額は、課税において課税金額を算出する上で、基礎となる金額です。
税目に応じ、それぞれ一定の方法で算出されます。
例えば、固定資産税については、固定資産税課税台帳に登録された不動産の価格(住宅用地等のように特例措置が適用されるときにはその適用後の価額)を、消費税については課税資産の譲渡等の対価の額(その譲渡等につき、課されるべき消費税額および当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を控除したもの)を、それぞれ課税標準額としています。
住宅ローン減税
住宅ローン減税は、住宅ローン控除とも呼ばれるもので、所得税の課税にあたって、住宅ローンの残高の一部を税額から控除する制度です。
一定の要件に該当する住宅を居住の用に供した年以降13年間(一定の住宅については10年間)にわたり、当該住宅にかかる住宅ローンの一部を、各年分の所得税額から控除することができます。
対象となるのは、床面積、入居年などの要件を満たす住宅の新築、購入、増改築等のための借入金等(その住宅の敷地を取得するための借入金等を含む)の残高がある場合です。
また、所得が一定の額以上でないと適用されません。
ちなみに、控除期間は入居後13年間、もしくは10年間で、控除額は年末の借入金残高の0.7%(2021年までに入居の場合は0.1%)ですが、控除の対象となる借入金の残高については、住宅の品質、入居年等に応じて限度額が定められています。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、贈与税の納税方法で、贈与時に不動産などの贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなったときに、その贈与税と相続財産に課す相続税とを通算する制度です。
贈与税の算定は暦年ごとに行うのが通例ですが、こちらはその特例にあたります。
こちらの適用を受けるためには、親族関係や年齢に関する一定の要件を満たすこと、同制度を選択する旨を申告することが必要です。
また、贈与税額については、暦年課税では累進的な税率によって算定されますが、相続時精算課税制度を選択すると、一律の税率で課税されるようになります。
登録免許税
登録免許税は、不動産の所有権を登記する場合や、抵当権を登記する場合に、登記所で納付する税金です。
一般的には、登記料と呼ばれることも多いです。
原則的には現金で納付し、その領収書を登記申請書に貼付しますが、その税額が3万円以下の場合には、印紙によって納付することができ、登録免許税の税率は、登記の種類ごとに登録免許税法によって定められています。
ちなみに、住宅の建物部分や土地に関する所有権の移転、保存などの登記については、時限的に登録免許税の軽減措置が講じられています。
また、土地を相続登記する場合の登録免許税は、法務大臣が指定する土地について免除されます。
物納
物納は、税金を金銭以外のもので納める方法です。
税金は、金銭で納付することが大原則ですが、相続税についてのみ、例外的に相続財産による物納が認められています。
その際には、延納(納税の延期)によって金銭で納付するのが困難である理由と、税務署長の許可が必要になります。
また、物納できる財産としては、不動産や船舶の他、国債や地方債、社債や株式、証券投資信託または貸付信託の受益証券、動産が挙げられます。
ただし、管理処分に不適切な財産は除外されます。
各財産の評価額については、相続税課税の際の評価によるとされ、納められた財産は通常競売に出され、換金されます。
ちなみに、税の滞納などの際、財産が差し押さえられることがありますが、こちらは物納とはまったく異なる手続きです。
まとめ
ここまで、不動産に関する税務や税制用語について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
不動産に関わる方は、前述したこと以外にも、さまざまな税金やその関連手続き、制度や特例などの知識が必要です。
これらの知識が不足していると、不動産売買において損失を被ったり、マイホーム出の生活においてトラブルが発生したりすることも考えられるため、注意しなければいけません。